こんぱーとめんとしょうこうぐん

コンパートメント症候群

同義語
四肢コンパートメント症候群
最終更新日:
2023年08月14日
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2023/08/14
更新しました
2023/06/30
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概要

コンパートメント症候群とは、腕や脚などに外傷を負うことで筋肉が腫れ、コンパートメント(骨、筋膜、(きん)(かん)(ちゅう)(かく)に囲まれた区画)の内部の圧が高まって筋肉、神経、血管などが圧迫されてダメージを受ける病態の総称です。重症な場合には血流が途絶えて筋肉などの壊死(えし)を引き起こすこともあり、早急な治療が必要です。

発症すると非常に強い痛み、腫れ、しびれなどが生じ、進行すると感覚の麻痺なども生じます。また、筋肉組織がどんどん破壊されることで横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)高カリウム血症をきたし、治療が遅れると死に至るケースもあります。

治療は筋肉の区画内の力を下げるために“筋膜切開”が行われますが、すでに筋肉組織などの壊死が広がっているときは腕や脚の切断を余儀なくされることもあります。

発症部位は主に前腕(肘から手首にかけての部位)と下腿(ひざ下の部位)、大腿部です。お腹に起こること(腹部コンパートメント症候群)もありますが、このページでは手足に起こる四肢コンパートメント症候群について解説します。

原因

腕や脚にはいくつもの筋肉が存在しますが、それらはいくつかにまとまって筋膜や骨などに包まれることで“区画”に分かれています。骨折打撲などの外傷によって筋肉などの組織が腫れると区画内の圧力は上昇し、内部の筋肉組織、神経、血管などを圧迫します。このような状態に至ったものがコンパートメント症候群です。

血管が圧迫されることで組織への血流が少なくなり、それがさらにむくみを引き起こして区画内の圧が上昇するという悪循環に陥るのが特徴です。

このような状態に至る主な原因は骨折や打撲などの外傷ですが、まれにやけど、ギプスや包帯などでの過剰な圧迫などが原因で引き起こされることもあります。

症状

コンパートメント症候群は、患部やその周辺に強い痛みと圧迫感を引き起こします。コンパートメント症候群を発症すると、傷を負った後に痛みがどんどん強くなり、外傷の程度と痛みの強さが不釣り合いになっていくのが特徴です。また、区画内の圧力がさらに高まると皮膚の感覚が鈍くなる、麻痺が生じる、皮膚の血色が悪くなる、脈拍を()れなくなるといった症状が現れてきます。

さらに、長時間にわたり血管が圧迫されて区画内の組織への血流が途絶えた状態になると、筋肉組織などの壊死を引き起こすことがあります。また、横紋筋融解症高カリウム血症などを合併すると命にかかわる場合もあります。

検査・診断

コンパートメント症候群が疑われるときは次のような検査が行われます。

区画内圧の測定

症状からコンパートメント症候群が疑われる場合は、針を区画内に刺して内部の圧力(コンパートメント内圧)の測定を行います。正常な区画内圧は8mmHg以下ですが、約30mmHg以上になるとコンパートメント症候群と診断されます。

画像検査

コンパートメント症候群は骨折打撲などの外傷によって引き起こされることが多いため、外傷の状態を確認するためにレントゲンやCTなどを用いた画像検査が行われます。

血液検査

コンパートメント症候群は進行すると横紋筋融解症高カリウム血症などを合併することがあるため、腎機能や電解質バランスの状態などを調べる目的で血液検査が行われます。

治療

コンパートメント症候群は進行すると筋肉組織の壊死などを引き起こすため、早急な処置が必要です。外傷を負った直後は、いわゆる“RICE療法”と呼ばれる安静(Rest)・冷却(Icing)・圧迫(Compression)・挙上(Elevation:患部を高く上げる)といった処置を行いますが、血流が低下する可能性があるためコンパートメント症候群では挙上はすすめられません。

区画内圧が40mmHg以上の場合は皮膚と筋膜を切開して内圧を下げる“減張切開”と呼ばれる手術が必要です。また、四肢の広い範囲で筋肉組織などが壊死している場合は、運動障害や知覚障害が生じる可能性があり、再建のために大きな手術が必要になることもあります。

予防

コンパートメント症候群は外傷を受けた後などに発症します。処置が遅れると四肢の著しい機能障害を引き起こす可能性が高くなります。また状況によっては生命にかかわることがあるため、外傷を受けた後の痛みや腫れがひどくなっている場合は軽く考えずにできるだけ早めに医療機関を受診することが大切です。

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