皮膚

多汗症(たかんしょう)

多汗症とは

多汗症とは、異常な量の汗をかくようになった状態を指します。通常、汗は熱や運動に関連してかくものですが、多汗症では必ずしも生理的に理解できる状況でなくとも大量の汗をかくようになります。

多汗症には脇や手などの限定された局所にのみ汗をかく場合と、全身各所で汗をかく場合があります。思春期前後から多汗症の発症を見ることもあれば、成人期になってから多汗症を発症する場合もあります。家族内に多汗症の人が集簇することもあるため遺伝的な側面が原因として疑われることがある一方、甲状腺疾患や薬剤などが原因となって多汗症を発症することもあります。

汗を大量にかくため、日常生活に支障が出てしまい、精神的にも参ってしまうことも稀ではありません。したがって、多汗症の原因を正確に判断し、適切な対処法をとることが重要であるといえます。

より詳細には、こちらの記事を参照下さい。

https://medicalnote.jp/contents/160621-003-LM

原因

汗は、皮膚に存在する「汗腺」と呼ばれる腺から分泌されます。汗には火照った体をクールダウンさせる役割を持っており、汗が適切に出ることは体内に熱がこもりすぎないようにするためにも重要です。そのため、運動や気温が高い状況などにおいて汗の分泌が促進されることで、体の体温を一定に保つことができます。汗の分泌には自律神経が関与しており、自分自身の意識とは関係なく分泌が調整されています。

多汗症では、通常の生理的な状況とは関係なく大量の汗が出てしまう病気を指します。大きく分けて、全身性多汗症と局所性多汗症に分類されます。

全身性多汗症

背中や足、腹部など、全身に多量の汗をかく疾患であり、多汗症全体の中で全身性の多汗症が占める割合は少ないです。全身性多汗症の中でも何かしらの原因が特定できるものを続発性全身性多汗症と呼びます。原因としては、甲状腺機能亢進症や低血糖、更年期、褐色細胞腫、感染症、薬剤(オピオイドの離脱症状など)といったものを例として挙げることができます。

局所性多汗症

主に手のひらや足の裏、腋下など、ある一部から多量の汗が出る疾患を指します。なかでも原因の同定できないタイプの「原発性局所性多汗症」が最も頻度が高いです。原発性局所性多汗症では自律神経の調整がうまくいかないことを原因として大量の汗が出ており、家族内で同じ症状を呈することもあるため遺伝的な要素が疑われています。汗が出る症状は、精神的なストレスや緊張で増悪します。

より詳細には、こちらの記事を参照下さい。

https://medicalnote.jp/contents/160621-003-LM

症状

運動時や気温の高い状況で汗をかくのは生理的な反応ですが、多汗症においては生理的範疇を超えて多くの汗をかくようになってきます。多汗症では、運動や気温的な要因がない状況においても手のひらやワキ、なかには全身性に大量の汗をかくようになります。手や足の汗には滑り止めとしての役割を持っていますが、汗が大量に出ることからものを持つときなどに滑ってしまうことがあります。その結果、日常生活におけるちょっとした動作で支障が生じるようになります。

また、多汗症の汗の量は精神的なストレスや緊張下において増悪することがあります。原発性局所性多汗症の場合は、幼少期や思春期に発症することが多いです。日中には大量の汗をかく一方、就寝中には汗が止まります。

より詳細には、こちらの記事も参照下さい。

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検査・診断

多汗症の診断では、ご本人の訴えが最も重要になります。患者さんが病院を訪れた際に汗をかいているとは限りませんし、診断のために確立した検査方法はありません。汗が多い部位を客観的に見るために、ヨード紙や発汗記録計を使用します。多汗症は、汗をかくことに対してどの程度本人が困っているか、といった視点が重要視される疾患であるといえます。

しかしなかには甲状腺機能亢進症や低血糖など何かしらの基礎疾患が隠れていることもあります。基礎疾患に応じて汗以外の症状があり、基礎疾患の存在が疑われる際には想定される疾患により特化した検査が追加検討されることになります。

より詳細には、こちらの記事も参照下さい。

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治療

多汗症では原疾患の有無によって治療方法が異なってきます。多汗症の原疾患が先甲状腺機能亢進症であれば、内服薬を中心とした治療になります。

多汗症で出てくる汗に対しての治療として、水に浸した皮膚表面に電流を流して発汗を抑制する「イオントフォレーシス療法」という方法があります。イオントフォレーシス療法で用いるのは微弱な電流ですので痛みや副作用はありませんが、繰り返して治療する必要があります。このほか、手のひらにボトックス(ボツリヌス菌)を注射するという方法も行われています。このほか、前項でも触れた通り、皮膚を切開して皮膚の裏の汗腺を目で確認しながら切除する皮弁法も、効果は腋臭症治療ほどには得られないものの、多汗症治療のひとつの選択肢として用いられることがあります。その他、汗が出るに至るまでの神経刺激経路である「胸部交感神経」をブロックする「交感神経遮断術」があります。

症状の出現する部位や日常生活への支障具合を見極めつつ、治療方法を選択することになります。多汗症はQOL(生活の質)に大きくかかわってくる問題であり、ご自身が何に最も困っておりどの程度治したいのか、治療法にはどのような副作用があるのか、十分に認識し考えたうえで治療法を選択することが重要です。

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