治療
軽症の場合でも、中等症、重症と進行していくため注意が必要です。中等症や重症の場合は、基本的に入院をして薬物療法や血漿交換療法などを行います。
入院が必要となる理由は、治療薬の投与などによって合併症が起こる可能性があるためです。初期の段階で適切な治療を受け、退院後も継続的に治療薬を服用することで、再発の予防が期待できます。
薬物療法
入院中に行われる初期治療としては、ステロイド薬(飲み薬)の投与が挙げられます。ステロイド薬にはさまざまな副作用が存在するため、免疫抑制薬を併用し、ステロイド薬を減量しやすい状態にする場合もあります。病状が落ち着いてきたら、ステロイド薬の投与量を少しずつ減らしていきます。
治療を始めてから2週間ほどたっても病状がよくならない場合は、ステロイドを点滴で投与する“ステロイドパルス療法”や、正常な免疫機能を維持しながら治療する“免疫グロブリン製薬静注療法”、そのほか血漿交換療法などが検討されます。
退院後も定期的に通院し、天疱瘡による症状が新しく発生しないようステロイドの飲み薬を服用し続けることが一般的です。
また近年、抗体を産生するB細胞の表面マーカー“CD20”に対する抗体療法(リツキシマブ)が難治性の天疱瘡に有効であることが示されました。リツキシマブは点滴で投与する生物学的製剤で、2021年12月に日本でも保険適用となりました。
血漿交換療法
血漿交換療法とは、血液中の病気に関連する物質を除去することで病状を改善させる治療方法です。患者から血液を抜き取り、血漿分離器を使って血液から血漿だけを分離・破棄して、新鮮な凍結血漿、または5%アルブミン製薬を補充して患者の体の中に血液を再び戻します。
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