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けっかんにくしゅ

血管肉腫

最終更新日:
2023年08月29日
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2023/08/29
更新しました
2023/08/22
更新しました
2017/04/25
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概要

血管肉腫とは、血管の内側を覆う“血管内皮細胞”から発生するがんのことです。皮膚に生じるものが多く全体の半数を占めるとされていますが、肝臓や心臓など全身のどこにでも発生する可能性はあります。2018年の調査では、国内で皮膚に生じた血管肉腫の発症者は1年間で数百人程度と換算されています。

血管肉腫は高齢者の頭皮や顔に発症することが多いとされています。進行が早く、内出血のような病変がどんどん大きくなり、次第に血豆のようなしこりや潰瘍(かいよう)を形成するようになります。治療は抗がん薬と放射線療法を併用することが多く、必要に応じて手術を組み合わせます。

原因

血管肉腫の原因は、血管の内側の血管内皮細胞ががん化することです。高齢者の頭皮や顔にできる血管肉腫は、けがが発症の引き金になると考えられています。

また、乳がん子宮がんなどの手術後に手足のむくみが続くことで発症することもあり、このような血管肉腫を“スチュワート・トリーブス症候群”と呼びます。そのほか、放射線照射を行った部位に長い年月を経てから血管肉腫を発症することもあります。

症状

血管肉腫を発症すると内出血のような病変が現れます。進行するスピードは速く、内出血のような病変がどんどん広がり、病変部の一部がえぐれて潰瘍ができたり、赤黒いしこりができたりするようになります。通常、病変部の痛みやかゆみなどの症状は進行するまで現れにくいため、頭皮に発症した場合は髪の毛に隠れて発見が遅れることも少なくありません。

また、血管肉腫は血管やリンパ管を介してほかの部位に転移することも多く、特に肺に転移しやすいとされています。肺に転移した場合は肺の組織を破壊して空洞を形成し、気胸(肺の中の空気が漏れ出して膨らまなくなること)や出血を引き起こして呼吸困難などの症状が生じることがあります。

検査・診断

血管肉腫が疑われるときは以下のような検査が行われます。

病理検査

病変部の組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく観察する検査です。血管肉腫の確定診断に必要な検査であり、発症が疑われる場合は速やかに実施します。

画像検査

血管肉腫は肺などに転移を起こしやすいため、病変の広がりや転移の有無を確認する目的でCTなどによる画像検査を行います。

血液検査

血液検査で血管肉腫の診断を下すことはできませんが、貧血や転移による肝障害の有無など全身の状態を評価するために血液検査を行います。

治療

血管肉腫は非常に珍しい病気であるため、治療法は確立していないのが現状です。

以前は病変部を切除する手術が積極的に行われてきました。しかし、血管肉腫は血管から発生するがんであるため比較的転移しやすく、手術による切除のみでは不十分であると考えられています。

現在では全身に効果を及ぼす抗がん薬治療と、病変部局所の広い範囲に有効な放射線治療を行うのが一般的です。

予防

血管肉腫は明確な発症メカニズムが解明されていないため、現時点で確立した予防法はありません。一方で、頭のけがやがん治療後のむくみなどが原因で引き起こされることも指摘されています。そのため、頭のけがを避けることやむくみの対策・治療を継続することで発症を予防できる可能性があります。

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血管肉腫を得意な領域としている医師

  • 京都府立医科大学附属病院 皮膚科 講師

    • 悪性黒色腫
      • 手術療法(センチネルリンパ節生検、リンパ節郭清術含む)
      • 薬物療法(免疫チェックポイント阻害薬、BRAF/MEK阻害薬など)
    • 乳房外パジェット病
      • 手術療法(センチネルリンパ節生検、リンパ節郭清術含む)
      • 集学的治療(化学療法、放射線療法、化学放射線療法など)
    • 基底細胞がん
      • 手術療法(植皮、皮弁等による再建術含む)
    • 血管肉腫
      • 集学的治療(化学療法、放射線療法、化学放射線療法など)