「9か国語で覚える医学図典(Medical Picture Dictionary Project監修)」は東京女子医科大学美術部と聖心女子大学アートクラブの学生たちが中心となって作成したイラスト付きの医学図典です。東京女子医科大学・聖心女子大学で教鞭をとられていた中村玲子先生発案のもと、学生たちが中心となって作成し、その収益を寄付するボランティア活動により出版されました。また、その内容の素晴らしさから、初版3000部は1年で完売、2016年には第2版が発売されました。
今回は、この医学図典の発行に携わっているMedical Picture Dictionary Projectにお話を伺いました。
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「9か国語で覚える医学図典(以下、医学図典)」とは、東京女子医科大学美術部と聖心女子大学アートクラブの学生たちが中心となって作成したイラスト付きの子ども向け医学図典です。英語・スペイン語・フランス語・ドイツ語・ロシア語・アラビア語・韓国語・中国語・日本語の9か国語で簡単な医学用語の翻訳が表示されています。英語のアルファベット順を軸に600語近くの単語と、付録として実際に病院を受診するときに必要となる症状・病院内にあるものの呼称などを掲載しています。
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はじめにこの医学図典を作成するアイデアを発案したのは東京女子医科大学・聖心女子大学におられた中村玲子先生です。実際に作成がスタートしたのは2005年頃ですから、歴代の学生たちが協力し、完成までに10年近くの時間を費やしたことになります。
医学図典の作成は学生たちが、今の自分たちができるボランティア活動はどんなことだろうかと考えたことからスタートしました。
この医学図典作成の最大の特徴は手本となるスタイルの書籍がなく、学生たちがすべてを1から構想し制作したことです。例えば、この医学図典には600語ほどの掲載がありますが、どの単語を収録すべきかというところから学生たちが手探りで考えました。また、学生たちに少しでも多くの学びがあるよう、9か国語への翻訳も留学生らの手を借りながら、まずは自分たちで行いました。その上で、教授・専門医レベルの方たちにボランティアで校正にご協力いただき、発行に至りました。「図典」というだけあり、カラフルなイラストが多数掲載されていますが、これらもすべて学生の手描きによるものです。
完成した医学図典は大変魅力的な内容と評され、多数の出版社から出版のお声がかかりましたが、あえて自費出版という道を選び、参加した学生が多くを学べ、かつ収益をより多く寄付に繋げられるようにしました。
この「医学図典」の対象は子どもに限らず、大人が読んでも、あるいは他国の方が読んでも楽しめるような内容になっていると自負しています。単に言語を調べるのであればインターネットを使えば簡単ですが、オールカラーのイラスト付きで、かつ一度に9か国の言葉で知ることができるのは、子どもにとっても大人にとっても興味深いと感じるのではないでしょうか。
また、医学や看護を学ぶ学生が中心となって作成しているものの、医学への興味だけではなく語学への興味も喚起することができます。国が違っていても語源が近いために近い響きを持つ言語などに気づく楽しみを味わってほしいと考えています。これには発案者である中村先生が日頃よりおっしゃっていることですが、子どもたちにはひとつの分野にとらわれず、広い視野で考えることができるようになってほしいという思いが込められています。
更にこの医学図典の収益はチャリティとして施設に寄付しています。初版の売上は国立成育医療研究センターが運営する子どものためのホスピス「もみじの家」へ寄付しました。
初版は作成スタートからおよそ10年後の2015年の5月に発売されました。このときは3000部を出版しましたが、わずか1年で売り切れてしまいました。自費出版においてこれだけの部数がこのスピードで売れるということは珍しく、周囲にもかなり驚かれました。また、自分たちの作ったものを売るということを通じて学生たちにも新たな学びがあったように感じます。
3000部あった初版は様々な方の目に止まり、多方面で活用していただきました。ここではその一例をご紹介させていただきます。
全日空のビジネス・ファーストクラスの機内に導入されています。
2017年3月に尽誠学園高等学校衛生看護科において、佐藤隆之
佐藤先生は医学図典をご参考に、「子どもとあそぼうメディピディ
医学図典やこれらのカルタを用いての、学んでおきたい看護英語や
安倍晋三首相が伊勢志摩サミットの際に他国から来日する参加者に対し、お土産に贈りたいと打診をくださったこともありました。初版完売直後であったため実現はしませんでしたが、首相からそのようなお言葉をいただけたのは大きな自信になりました。
また、ケネディ元駐日大使にお送りしたところ、母国にお持ち帰りくださり、後日、ご本人から謝礼のお手紙を頂戴しました。このように政界の方々からも認めていただけたことはとても光栄でした。
日本の病院では多くの病院やクリニック待合室に置かれています。また、内容が実用的であるため、実際の診療に利用したという声もありました。
更に海外の病院ともご縁があり、香港やブラジルなどの病棟でもご活用くださっているという報告をいただいています。
この他、観光ホテルの全客室に置いていただいたり、保育園やインターナショナルスクールの図書館においていただいたり、また、銀行の海外駐在員がまとめ買いしてくださったこともありました。このよう、初版は医療業界だけでなくあらゆる分野の方からご活用いただいています。
初版を出して、実際にご購入くださった方や、使用してくださった方からの温かい声をたくさんいただきました。お話を伺っていると、この医学図典が私たちの思っていた以上にニーズが高いものだと感じました。
例えば英語圏でない海外からお越しの患者さんと医師が症状や病状を伝え合う際に、この本が役に立ったというお声をいただくこともありましたし、図典そのものではなく、巻末の付録にある病院のかかり方や症状の伝え方に関する部分が実用的で役に立ったというお声もいただきました。また、これから海外に赴任する方や、お子さんが生まれたときのプレゼントとしても、とても喜んでいただけるとのことでした。
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初版の好評を受け、第2版を2016年9月に出版しました。実は初版を出版した当初は初版のみで企画は終了になる予定でした。しかし、実際に販売した際の反響の大きさからニーズを感じ、第2版への継続に踏み切りました。これから2020年の東京オリンピックなどに向け、更に注目されていくのではないかという期待も込めています。このように少しずつでも学生たちの作った医学図典が多くの方に親しまれ、最終的には電子化なども含め幅広く活用されることを願っています。
「9か国語で覚える医学図典」は団体のお客様はもちろん、個人のお客様でもご購入が可能です。ホームページよりお申込みください。
【ホームページ:9か国語で覚える医学図典公式HP】
【問い合わせ先:picturedictionary9@gmail.com】