概要
袋耳とは、耳介の上半分が皮膚に埋もれた状態を指します。別名「埋没耳」と呼ばれ、日本人を含むアジア人に多く見られる耳の形態異常です。
日本では、400人に1人程度の割合でみられるとの報告もあり、頻度の高いものであると言えます。
袋耳は、機能面や美容的観点から問題が生じることが多いですが、治療を行うかどうかは、両側面における状況を加味しつつ判断することになります。
原因
袋耳は先天的な耳の形態異常であり、生まれつきの耳の変化として認識されます。片側だけに起こることもあれば、左右両側ともに変形が見られるケースもあります。
耳介の形状を正常に保つためには、軟骨や筋肉など多くの構造物が正常に発生することが求められます。
袋耳は、耳介の後方に存在する筋肉が異常を示すことを原因として発症すると考えられています。
症状
袋耳は、耳介の上半分が変形した状態です。埋め込まれた部分を手で引き出して露出させることも可能ですが、手を離すともとの状態に戻ってしまいます。
耳介は、周囲の音を効率よく聴くために重要な形態をしています。具体的には、空気の振動である音をうまく集め、外耳道から中耳、内耳、脳へと伝えるのに重要な役割を担っています。
袋耳で見られる形態の変化は、耳介の上にのみ見られるものであり、こうした聴こえに関して大きな支障をきたすことはありません。
しかし、耳の上半分の形が歪んでいることから、見た目が気になってしまったり、マスクやメガネをかけるなどの行為に支障がでたりすることがあります。
袋耳では、こうした耳の聞こえとは異なった面からの機能障害が考えられます。
検査・診断
袋耳は耳の変形であるため、特別な検査をおこなわなくても見た目で判断が可能です。耳の形態を詳細に確認することで、診断されます。治療方針を決定するためにも、詳細な評価を受けることはとても大切です。
ただし、耳の形の変化に限らず、聴こえにくいなどの症状がみられるケースもあるため、状況に応じてレントゲンやCT検査などの画像検査が検討されることもあります。
治療
治療を行なうかどうかは、機能面(メガネやマスクがかけにくいなど)と美容的な面の両側面を考慮して判断されます。
年齢によっては保存的な治療方法で改善することも期待できます。具体的には、皮膚に埋もれている部分を引き出し、その状態で形態を保つ装具を着用します。
特に1歳ぐらいまでのお子さんであれば、装具を装着することで完治することも期待できます。
一方で、手術的な治療介入が行われることもあります。どのような手術方法を選択するかは、耳の状態や年齢的な要素などで決定されます。
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