概要
類骨骨腫とは、骨に発生する良性の骨腫瘍です。10歳代~20歳代の方に発生しやすいといわれています。
類骨骨腫は全身のさまざまな骨に生じる可能性がありますが、特に下肢長管骨といわれる大腿骨や脛骨など、足の長い骨に発生することが多くなっています。また背骨に発生することもあり、背骨のなかでは腰椎が好発部位とされます
類骨骨腫の主な症状は、腫瘍が生じている部分の痛みです。類骨骨腫による痛みは、夜になると強くなる特徴があります。
治療では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使い、痛みを和らげることが一般的です。また腫瘍を除去するための腫瘍掻爬術など、外科治療が選択されることもあります。
腫瘍のサイズは通常1cmほどと小さいため、画像検査などにより病気の有無を確認することが難しく、なかなか診断に至らないこともある病気です。
原因
類骨骨腫など多くの良性骨腫瘍の原因は、現時点ではわかっていません。(2018年6月時点)
痛みの原因は、骨の皮質がふくらんだ部分の中心にあるnidus(ナイダス)です。画像検査で、骨のふくらんだ部分の内部に透明な病巣として写るナイダスが腫瘍の本態です。骨がふくらんだようにみえる理由は、骨皮質が分厚くなり硬化しているためです。
症状
腫瘍がある部位の痛みを主症状とします。痛みが生じる理由は、ナイダスでプロスタグランジンという物質が作られるためと考えられています。痛みは夜間に強くなることが多いです。
痛みを訴えられない小さなお子さんでは、足が痛む場合、片足をひきずるように歩くこともあります。これを跛行といいます。
類骨骨腫が背骨に生じた場合、背骨が左右に湾曲する側弯や、しびれなどの神経根症状が現れることがあります。
また、患者さんご本人が感じる症状とは異なりますが、未熟な骨や血管が増えることがわかっています。
検査・診断
類骨骨腫の検査では、単純X線(レントゲン)検査により、骨皮質が分厚くなっていることや、円形のナイダスが存在することを確認します。
ナイダスは、レントゲン写真で白く写る骨皮質の内部が抜けたように、透明の像として写ります。X線検査では確認できなかったナイダスが、CT検査で描出されることもあります。
また類骨骨腫の近くでは、関節炎の所見がみられることがあります。
ただし、類骨骨腫はこれらの画像検査で見落とされることもあるほど小さな腫瘍です。そのため、10歳代~20歳代の若い方が原因不明の痛み(夜間痛)を訴えている場合は、類骨骨腫の可能性を念頭において検査を行うことが重要とされています。
治療
保存療法
類骨骨腫の痛みには、基本的に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられます。
NSAIDsを使用しても痛みが続くときには、腫瘍を取り去る手術や、腫瘍をラジオ波で焼くCTガイド下経皮的焼灼術が検討されることもあります。
腫瘍を取り去る手術
骨皮質を削り、腫瘍を十分に掻爬します。その後、ご本人から採取した骨や人工骨を使い、骨移植を行って欠損した部位を補います。
CTガイド下経皮的焼灼術
皮膚から腫瘍へと針を刺し、高周波のラジオ波で腫瘍を焼く方法です。腫瘍の位置をCT画像で確認しつつ小さな傷口からアプローチするため、手術に比べ患者さんの負担(侵襲)は少なくなります。
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