かんせつえん

関節炎

最終更新日
2017年08月08日
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2017/08/08
掲載しました。

概要

関節炎とは、関節内に炎症を生じる病気のことです。原因は多岐にわたり、リウマチなどの関節に炎症を生じる病気、外傷や関節の変性、細菌感染などが挙げられます。

関節炎は全身のさまざまな関節に起こり得ます。そのため、関節炎は原因や発症部位によって症状は大きく異なり、治療法にも違いがあるため、正確な診断が必要です。

原因

関節炎の原因は非常に多くのものが挙げられます。その分類方法も多々ありますが、発症の経過による急性・慢性、発症する関節の数によって分類されること多く、それぞれの原因は以下の通りです。

急性単関節炎

主な原因は、関節内への細菌感染や過度な運動による関節内摩擦などです。また、痛風偽痛風など、関節内に結晶を形成する病気でも関節炎を発症することがあります。

急性多関節炎

多くはウイルス感染が原因です。代表的なウイルスには、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIVや風疹、パルボウイルスなどが挙げられます。また、感染性心内膜炎によって血行性に関節内細菌感染を生じて、二次的な関節炎を生じることがあります。

慢性単関節炎

加齢による変形性関節症外傷などによる非炎症性と結核感染などによる感染性に分類されます。

慢性多関節炎

関節リウマチやエリテマトーデスなどの自己免疫疾患が主な原因として挙げられますが、痛風や偽痛風などの関節内結晶による関節炎がいくつかの関節に生じて炎症が慢性化することもあります。

また、皮膚疾患である乾癬(かんせん)も関節炎を引き起こすことが知られています(乾癬性関節炎)。最近では乾癬性関節炎と類似疾患をまとめて脊椎関節炎と総称することも多くなっています。

症状

関節炎では、骨・関節軟骨・関節包・滑膜・靭帯など、関節を構成する構造の組織にダメージが生じることでさまざまな症状が引き起こされます。

関節内で骨と骨同士のクッションのような役目をする関節軟骨は、神経や血管、リンパ管がないため、ダメージに対する修復能力が極めて低く、破壊・変性の変化を生じます。その結果、骨同士の摩擦が増えて痛みを生じたり、関節の可動域が低下したりします。

また、滑膜は関節包の内張りの組織であり、滑らかな関節運動を可能にしています。滑膜は関節内で重要なはたらきを担いますが、滑膜に炎症が起こると関節液が増加する症状が現れます。炎症が慢性化すると滑膜自体が肥厚し、関節の動きが悪くなることもあります。

さらに、関節液が過度に溜まることで関節包や靭帯が引き伸ばされて関節が緩くなったり、関節包や靭帯(じんたい)に炎症が及んで組織が脆弱(ぜいじゃく)化したり、組織同士が癒着を生じると関節が硬くなって関節運動に制限が生じることがあります。

また、感染性疾患や自己免疫性疾患などが原因の場合には、発熱や倦怠感などの全身症状を現すことが特徴です。

検査・診断

関節炎の検査では、関節の状態を確認する検査と、関節炎の原因を調べる検査が行われます。

関節の状態を確認する検査では、関節の腫れや圧痛、関節液貯留の有無などを調べる身体診察、レントゲン・CT・MRI・超音波などの画像検査が行われます。

また、原因を調べる検査では、炎症状態や自己抗体の有無などを確認するために血液検査が行われ、関節液が溜まっている場合には、穿刺(せんし)して関節液の性状を調べる検査が行われます。

関節液検査は関節炎の原因を鑑別するうえで重要な検査であり、色や性状、含まれる白血球数、結晶の有無などによって、ある程度の鑑別(見わけること)を行うことができます。また、細菌性が疑われる場合には、培養を行って原因菌を見きわめる検査が行われます。

治療

感染性によるものでは、原因菌に適した抗菌薬の投与や手術による関節内部の洗浄が行われます。また、痛風偽痛風などの関節内結晶が原因の場合には、原因疾患に対する治療を第一に行います。関節の痛みが強い場合には鎮痛薬の内服などの対症療法が行われます。

また、軟骨の破壊が著しい変形性関節症では関節内にヒアルロン酸注射などが行われます。対症療法によっても症状が改善せず、歩行障害など日常生活に支障を生じているようなケースでは、人工関節置換のための手術が行われることもあります。

さらに、リウマチをはじめとした自己免疫性疾患が原因の場合には、それぞれの病気に合わせた治療が行われます。症状が悪化して、関節の変形や不安定性が生じた場合や痛みがひどい場合には、手術が行われることもあります。

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