びーがたかんえん

B型肝炎

最終更新日:
2024年05月13日
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2024/05/13
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2021/03/19
更新しました
2017/04/25
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概要

B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することで肝臓に異常が生じる病気の総称です。

HBVに感染しても自覚症状が現れないケースが多いものの、肝炎を発症すると肝硬変肝がんといった肝臓の病気を引き起こす可能性が高くなります。気付かないうちに重篤な病気へと進行する例も見受けられるため、注意が必要です。

近年はワクチンの活用や妊娠時の血液検査の徹底により、新規に罹患する患者数は大幅に減少傾向にありますが、引き続き予防や検査の啓発が求められています。

原因

HBVは主に血液など体液を介して感染します。感染経路として垂直感染・水平感染が挙げられます。

垂直感染として挙げられるのは母から子への感染です。出生時に産道で感染する場合や妊娠中に子宮内で感染する場合などが挙げられます。

一方、水平感染としては性行為による感染や不衛生な医療器具を使用したことによる感染、入れ墨やピアスの穴開けなどによる感染などがあります。

症状

B型肝炎は、感染の状態により一時的な症状で終わる一過性感染と、HBVを保有し続ける持続感染に分けられます。

急性肝炎:一過性感染

一過性感染は、主に免疫機能が発達した成人が感染した場合に認められます。具体的な症状として、1~6か月の潜伏期間を経て、全身の倦怠感や食欲不振黄疸(おうだん)、褐色尿などが現れます。症状の程度はさまざまで、軽度の倦怠感で終わる人もいますが、約3割は肝機能が低下し黄疸を発症します。

一般的には数週間でピークを迎え、その後回復に向かいますが、1~2%程度は症状が進行し、劇症肝炎を発症します。劇症化すると、肝性昏睡(かんせいこんすい)肝性脳症)という肝機能低下による意識障害が起こり、命に関わる可能性があります。

慢性肝炎:持続感染

持続感染は、母子感染や3歳以下の幼少期に感染した場合に起こりやすいといわれています。持続感染の場合、ウイルスを保有しているものの、肝機能が正常で特別な症状が認められない“無症候性キャリア”が約80~90%を占めているとされます。

残りの約10~20%では、継続的な炎症が続く慢性肝炎の症状が現れます。このうち年間約2%が肝硬変へと移行し、肝細胞がんや肝不全に進行するとされています。

検査・診断

診断時の検査では、血液検査でHBs抗原の有無を調べます。HBVに感染すると、増殖するウイルスに由来するHBs抗原が血液中に確認できます。ただし、急性肝炎の場合、HBs抗原は感染後比較的早い段階で消失することがあるため、HBs抗原陰性の急性肝炎の診断には、感染初期の3~12か月間に見られるIgM型HBc抗体の測定を行います。

慢性のB型肝炎と診断されたら、HBe抗原とHBe抗体を測定します。HBe抗原はHBVが増殖するときに過剰に作られるたんぱく質で、HBe抗原が陽性であれば、肝臓内でHBVの増殖が活発で感染力が強い状態であることを示します。一方、HBe抗体はHBe抗原に対する抗体です。HBe抗体が陽性であれば、一般にHBVの量と増殖が落ち着いて感染力が弱くなった状態であることを示しています。

そのほか、リアルタイム(TaqMan)PCR法でHBV-DNAを測定しHBウイルス量をモニターするほか、AST・ALTを測定して肝炎を発症しているかを評価します。さらに4型コラーゲン7Sなどの肝線維化マーカーの測定や、エコー・CTなどの画像検査を行い、無症候性キャリア・慢性肝炎・肝硬変のどの状態にあるかを評価します。

また、肝炎の進行具合を調べるために、肝生検が併せて行われることもあります。

治療

急性肝炎の多くは自然に回復に向かいますが、慎重な経過観察が必要です。劇症肝炎に移行する可能性があるため、入院による安静と経過観察を行います。

また、HBVは一度持続感染の状態になると、体の外に排除することは難しいといわれているため、慢性肝炎の場合は肝硬変肝がんへの進展を予防し、生活の質を維持することが治療の目的となります。

慢性肝炎の治療方法は、抗ウイルス療法が主体です。抗ウイルス療法では、インターフェロン(IFN)や核酸アナログ製剤などが用いられます。抗ウイルス療法によりHBVの増殖が抑制されるとほとんどの慢性肝炎はコントロールされます。そのため、ASTやALTの異常を認める場合はグリチルリチン製剤やウルソデオキシコール酸などの肝庇護療法(かんひごりょうほう)*を漫然と行わず、抗ウイルス療法を行うことが推奨されます。ただし、無症候性キャリアの方には抗ウイルス療法を行う必要はありません。

抗ウイルス療法はHBV量と肝臓の状態を総合的に判断して行われるので、B型肝炎の治療を行う医師には専門的な知識が求められます。

*肝庇護療法:注射薬や内服薬を用いて肝機能の正常化を目指し、肝炎の進行を抑える治療。

予防

B型肝炎の予防にはワクチン接種が有効です。垂直感染が懸念される新生児は産後なるべく早いタイミングでHBV免疫グロブリンを筋肉注射し、HBワクチンを皮下注射するほか、その後も1か月後と6か月後にワクチン接種を受けることになっています。また、医療従事者など感染リスクが高いと判断される方は、ワクチンの接種が推奨されています。さらに水平感染を予防するために、日本では2016年10月より0歳児全員を対象にB型肝炎ワクチン接種が行われています。

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