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かんこうへん

肝硬変

最終更新日
2021年03月30日
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2021/03/30
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

肝硬変とは、慢性肝炎を発症して肝臓に長く炎症が生じることで、肝臓の組織が線維化して硬くなる病気のことです。原因は、B型肝炎ウイルスC型肝炎ウイルス感染、アルコールの多飲、過剰な脂質の摂取や肥満、免疫の異常が生じる病気など多岐にわたりますが、最終的には肝機能が著しく低下するだけでなく、肝臓がんを発症するリスクも高くなります。また、食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)肝性脳症など命に関わる重篤な合併症も起こしやすくなります。

肝臓は何らかの原因によって炎症が生じることでダメージを受けても、軽度であれば元の状態に戻ることが可能です。しかし、肝硬変が進行すると元の状態に戻ることはなくなるため、死に至る患者さんも多くなります。肝硬変を予防するには、慢性肝炎の段階で適切な治療を行うことが大切であり、そのためには定期的な検診や肝炎ウイルス検診などを受けることが推奨されています。

原因

肝硬変は、一般的に肝臓に慢性的な炎症が生じる“慢性肝炎”が進行することによって発症します。長期間にわたって慢性的な炎症が生じることで、肝臓の細胞は破壊され、その部位に硬い組織が蓄積していくため肝臓が全体的に硬くなるのです。

また、肝硬変の根本的な原因である慢性肝炎にはさまざまな原因があり、その中でも肝硬変の原因の約半数を占めるのはC型肝炎ウイルス感染によるものです。次いで多いのは、アルコールの多飲、B型肝炎ウイルス感染とされていますが、原発性胆汁性胆管炎自己免疫性肝炎なども肝硬変に進行することも珍しくありません。

症状

肝硬変になっても、初期のうちは肝機能の低下が軽度であるため、まったく症状が認められないないことが多く見られます。肝臓が“沈黙の臓器”と言われるのは、そのためです。肝硬変が進行し肝臓の機能が著しく低下すると全身にさまざまな症状を引き起こします。肝臓はアルコールや薬剤など体内に取り入れられたさまざまな物質の解毒を行うほか、出血を止める凝固因子、血液中の浸透圧を調節するアルブミン、消化吸収を助ける胆汁の産生などを行っています。そのため、肝臓の機能が低下すると、体内で産生されたビリルビン色素の胆汁中へ排泄が低下することで黄疸(おうだん)(目や皮膚が黄色くなる症状)や出血しやすさといった症状が見られるようになります。また、アルブミンが減少することで体内に水分が溜まりやすくなり、腹水が生じるようになります。

そのほか、肝臓の組織内で血液が流れにくくなるため肝臓に流入してくる血管の圧が高くなり、本来肝臓に流れるはずだった大量の血液がほかの血管に流れることになります。その結果、食道や胃の静脈に過度な負担がかかって瘤が形成される“胃静脈瘤”や“食道静脈瘤”を発症しやすくなり、破裂すると大量出血で死に至ることも少なくありません。また、体内で産生されたアンモニアなどの有害物質が肝臓で十分に処理できなくなると、意識の混濁などを引き起こす“肝性脳症”を併発することもあります。

さらに、肝硬変は将来的に肝臓がんに移行するリスクが非常に高いとされているため注意が必要です。

検査・診断

肝硬変が疑われるときや診断されたときは次のような検査が必要になります。

血液検査

肝臓の機能や肝炎ウイルス感染の有無などを評価するためにまずは血液検査が行われるのが一般的です。また、検査は一度だけではなく、診断が下った後も肝機能の状態を評価するために繰り返し行われます。

画像検査

肝臓の大きさやがんなどの病気の有無を調べるため、画像検査が必要となります。簡易的に肝臓の大きさやがんの有無などを調べるには超音波検査が適していますが、さらに詳しい評価を行うには、造影剤を使用したCTやMRIなどでの精密検査が必要となります。

また、これらの画像検査では肝硬変によって引き起こされる腹水の有無、脾臓(ひぞう)の腫れなどを評価することも可能です。

肝生検

肝硬変の確定診断やその原因を調べるために肝臓の組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく観察する肝生検を行います。

肝臓の組織は、体表面から肝臓に目がけて針を刺して採取しなければならないため体への負担は大きくなります。また、肝機能が著しく低下しており、出血しやすくなっている状態の場合は検査を行うことができない場合もあります。

上部消化管内視鏡検査

上述したとおり、肝硬変は破裂による大量出血を伴いやすい胃・食道静脈瘤を併発しやすくなります。そのため、肝硬変と診断された場合は、定期的に内視鏡検査を行うことで静脈瘤の有無を調べることが必要となります。

治療

肝硬変と診断された場合は、その原因を調べ、その原疾患に対する治療を行うことがもっとも重要です。ウイルス性肝炎であれば抗ウイルス剤を使用し、アルコール性であれば断酒することが大事であり、これら原疾患に対する治療がうまくいけば、肝硬変に対する特殊な治療を行わなくても肝機能の改善が認められます。

まず、肝硬変に対する一般的治療として食事・運動・睡眠などの基本的な生活習慣を整えることが必要です。そして、肝硬変を発症するとたんぱく質の基となるアミノ酸の一種である分枝鎖アミノ酸が不足するため、それらを補う治療が行われます。肝機能の改善を目的に亜鉛製剤やカルニチン製剤の投与が行われることもあります。

また、腹水がある場合は利尿薬などそれぞれの症状に合わせた治療が行われます。

一方で、肝硬変が進行するとこれらの治療を行っても十分な効果を得ることができなくなります。そのような場合には、肝移植の適応となることもありますが、日本では死亡した後に肝臓を提供するドナーの登録が少ないため移植手術件数も少なく、一般的な治療法とは言えないのが現状です。

予防

肝硬変は一般的に慢性肝炎が進行することによって発症する病気です。そのため、肝硬変の発症を防ぐには、定期的に健康診断などを受けて肝機能の状態をチェックし、異常がある場合はできるだけ早めに精密検査を受けて慢性肝炎の時期から適切な治療を続ける必要があります。

また、肝硬変は食生活の乱れなどが原因で引き起こされることもあるため、適度な飲酒、バランスよい食生活、運動習慣などを心がけるようにしましょう。

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