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インタビュー

肝硬変の原因・症状

肝硬変の原因・症状
上野 義之 先生

山形大学 医学部内科学第二講座(消化器内科学) 教授

上野 義之 先生

この記事の最終更新は2018年01月23日です。

肝硬変とは、肝臓が炎症と修復を繰り返すうちに徐々に硬くなった状態です。肝硬変が進行すると、肝機能の低下によってさまざまな症状があらわれます。肝硬変の原因と症状について、山形大学医学部の上野義之(うえの よしゆき)先生にお話を伺いました。

肝臓は本来、平らな形をした柔らかい臓器です。肝硬変とは、肝臓が炎症によって壊れたあと修復・再生を繰り返すうち、徐々に硬くなり、つぶつぶの結節状になった状態をさします。肝硬変の患者数は、全国に40〜50万人くらいいると推定されます。

肝がん
肝がん 画像提供:上野義之先生

肝硬変の前段階として、慢性肝炎(肝臓の炎症が6か月以上持続する)という状態があります。しかし、慢性肝炎と肝硬変に明確な区切りはありません。慢性肝炎のうちはあまり症状が出ませんが、肝硬変になり、進行するとさまざまな症状があらわれます。さらに、肝硬変が存在すると肝がんのリスクが高まります。

素材提供:PIXTA

肝硬変は、ウイルス性(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス)と、アルコール性、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)など、さまざまな原因によって起こります。2000年頃までは、肝硬変の原因を解決する治療法がなく、不可逆的に進行する病気とされていました。しかし近年では、原因を解決する治療が可能となる場合もあり、肝硬変の線維化が回復する症例もみとめられています。

ウイルス性(B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス)

B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの感染による炎症を原因とする肝硬変です。

アルコール性

長期にわたる過剰の飲酒をおもな原因とする肝硬変です。

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

ウイルス性でもなく、アルコール性でもない肝硬変です。非アルコール性脂肪肝炎の患者数は、世界中で増加しています。その要因は、ライフスタイルや生活習慣が変化したことによる過栄養(栄養素の過剰な摂取による病的状態)であると考えられています。

非アルコール性脂肪肝炎
非アルコール性脂肪性肝炎の診断画像 画像提供:上野義之先生

肝臓は、血管拡張、女性ホルモンや毒素の分解、水分代謝といったさまざまな機能を持っています。肝硬変になると、それら肝臓の機能が低下し、以下の症状があらわれます。

くも状血管腫

首、前胸部、顔にくも状の(毛細)血管が浮き出ます。

・手掌紅斑

手のひらの両側面が赤くなります。

・下腿部のむくみ

下腿部(かたいぶ:膝の下部)にむくみが出ます。

・ばち指

手足の爪が太鼓の撥(ばち)のような形状になります。

・乳房の女性化

エストロゲンという女性ホルモンを分解できず、乳腺が張って乳房が大きくなります。

・黄疸(おうだん)

消化液である胆汁(たんじゅう)が肝臓にうっ滞(流れが悪くなり、滞る)し、肌や白目が黄色くなります。

・腹水

おなかに水が溜まり、体重が増加します。もっとも多くみられる症状です。腹水が進行すると胸に水が溜まり(胸水)、呼吸に障害が起こることがあります。

腹水 画像提供:上野義之先生
腹水 画像提供:上野義之先生

記事2『肝硬変の合併症とその治療』では、肝硬変の合併症(ある病気が原因となって起こる別の症状)とその治療についてお話しします。

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