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データでみる大腸がん――がんの種類や特徴は?

データでみる大腸がん――がんの種類や特徴は?
渡邉 純 先生

横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター外科 准教授

渡邉 純 先生

目次
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この記事の最終更新は2016年08月10日です。

日本人のがんの死亡原因の第2位(男女計)は大腸がんといわれています。この大腸がんとは、どのような病気なのでしょうか。死亡率やリスクファクター(病気を引き起こすリスク要因)、大腸がんに対する基礎知識や治療方法について、横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター外科 准教授の渡邉純先生に教えていただきました。

口から入った食物は、食道、胃、小腸を経て大腸へ到着します。大腸の役割は食物の栄養分の残りと水分を吸収し、残ったものを便にして肛門(こうもん)へ運ぶことです。具体的には、糞便を硬くするために、腸管の壁にある血管で水分と塩類を吸収したり、反対に糞便をなめらかにするために粘液を分泌したりしています。この一連の大腸の運動は、自律神経により調節されています。

大腸は結腸・直腸に分かれ、広げた長さは全長1.5~2mにも及びます。

結腸は、次のとおりさらに細かく分類されます。

  • 盲腸(小腸から流れてきた食物が最初に到達する部分)
  • 上行結腸(盲腸から上に向かう部分)
  • 横行結腸(おうこうけっちょう)(折れて横に向かう部分)
  • 下行結腸(下に向かう部分)
  • S状結腸(S字状に曲がっている部分)

直腸は、結腸の後に続く約15cmの真っすぐな部分のことをいいます。そして、最後の肛門括約筋のあるところが肛門管です。

食物は、筋肉の運動によって盲腸から直腸へ移動します。直腸が拡張することで便意が生じ、溜まった便を肛門から押し出します。これが排便の流れです。

先に書いたとおり、大腸は「結腸」と「直腸」に大きく分かれていますが、結腸に発生したがんを「結腸がん」、直腸に発生したがんを「直腸がん」といいます。ここでは、その違いを簡単にまとめてみましょう。

結腸に発生したがんを「結腸がん」といいます。盲腸と上行結腸のがんは腸内の直径が太く、便通異常が起こりにくいため、発見が容易ではありません。一方、下行結腸やS状結腸では、がんにより腸内管の直径が狭くなると便が通過しにくくなるので、下痢などの異常がみられ、比較的発見しやすいとされています。

直腸に発生したがんを「直腸がん」といいます。直腸がんは、出血により便に血液が付着して発見されることが多いがんです。直腸がんによる出血は比較的赤い鮮血のことが多いといわれています。

このように大腸がんは「結腸がん」と「直腸がん」に分けられますが、罹患率の割合では、結腸がんが約60%(盲腸約6%、上行結腸約13%、横行結腸約8%、下行結腸約5%、S状結腸約28%)、直腸がんが約40%と、結腸がんのほうが若干多くなっています。

渡邊先生

「結腸がん」と「直腸がん」では症状の出やすさに違いがあります。一般的に肛門から遠ければ遠いほど症状が出にくく、そのため上行結腸や横行結腸のがんは初期症状が少ないといわれています。便の中に混ざる血液も、肛門から遠いほど酸化して黒くなり、また便にまぎれてしまうために目に見える血便は現れにくいとされています。

一方、肛門に近いS状結腸や直腸にできたがんによる出血は、血が赤いうちに体外に排出されるため、目で確認できることもあります。

しかし、治療で考えると、結腸がんより直腸がんのほうが大がかりになることが一般的です。理由としては、直腸は骨盤の深いところに位置し、周囲に神経や筋肉が多いためです。また、術後に排尿障害や性機能障害などが起こることもあります。がんの進行具合により肛門まで切除することがありますが、この場合、人工肛門(ストーマ)を造る必要があります。

これは全ての病気にいえますが、大腸がんはなるべく早く見つけることが重要です。そのために、定期的な検査はもちろん、毎日の便の色を観察するなど、自分でできる確認がとても大切なのです。

大腸がんの罹患率は1990年代前半まで増加の一途をたどり、その後は横ばいになりました。

出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

死亡率は1990年代半ばをピークに、その後は減少傾向にあります。

国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

がんは日本人の死因の1位です。部位別にがんによって死亡した方の数をみると、大腸がんは肺がんに次いで第2位となっています。また、女性だけでみると乳がん子宮がんをおさえ、死因第1位です。それほど日本人にとって身近な「がん」といえます。

日本人の死因に大腸がんが多い理由として、自覚症状が少ないことが挙げられるかもしれません。大腸がんは悪性度こそそれほど高くはないものの、自覚症状に乏しく発見されたときには進行した状態であることも多いため、死亡数が多くなると考えられています。

平成 29 年(2017)人口動態統計月報年計(概数)の概況. 厚生労働省.

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai17/index.html.

国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」. 2019-05-16.

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    渡邉 純 先生

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