
食道は胃とのどをつないでいる管です。食道の極めて近い位置には、肺や心臓というとても大事な臓器があります。さらには気管の後ろ、背中の近くというかなり深い部分にあるのです。そのために、食道がんの手術は非常に難しい手術であり、術後の合併症も多く起きてしまっていました。
そのようななかで、東京大学胃食道外科教授の瀬戸泰之先生は患者さんの負担を少しでも軽くできるような食道がんの手術をするために、どうすべきかを常に考え続けてこられました。患者さんのために尽力し続けてきた瀬戸先生が世界で初めて開発された、ダビンチ®による食道がんの最新治療について4回にわたってお話し頂きます。第3回ではダビンチ®が食道がんの手術をどう変えたのか、ダビンチ®による手術はどのような方が対象になるのかについてご説明します。
現在まで、東大病院では42人の患者さんにダビンチ®による食道がんの手術を受けて頂きました。なぜこの手術をやっていくのか。私たちの一番の目的は患者さんにかかる負担を減らすことです。
食道がんは「いちばん難しくて大きな手術」です。他にも大きな手術はあります。たとえば、肺がんです。しかし肺がんは大きな手術ではあるけれど、開くのは胸だけです。また膵がんも大きな手術です。それでも開くのはお腹だけです。さらに肝臓がんでも、開くのはお腹だけです。
ここで食道がんについて考えてみます。食道がんでは胸を開きます。お腹も開きます。さらには頸も開きます。大きな手術の中でもさらに、開く部分が3ヶ所もあり、非常に「大きな中でも大きな手術」なのです。やはり、このような大きな手術では、手術後に合併症が起きてしまう確率が高くなります。具体的には40%ほどの可能性で合併症が起きます。特に起きやすい合併症は、肺炎を代表とする呼吸器の合併症です。
ダビンチ®による食道がんの手術では、片肺換気をなくすことができました。胸膜の切開もしなくなりました。するとどういうことが起きたか、ご想像いただけるでしょうか。
結論を言うと、重篤な肺炎になる患者さんがいなくなりました。よく集中治療室の看護師さんには「この方は本当に食道の手術を受けたのですか?」と驚かれます。このように、患者さんの負担は確実に減らすことができたのではないかと考えています。
患者さんの負担を少なくするのはもちろん大切です。しかし、何よりも大切なのは、がんをきっちりと治すことです。私たち外科医は、手の感覚が特に研ぎ澄まされています。しかし、ダビンチ®による食道がんの手術は「自分の手で直接触る手術」ではなく、機械の手で剥離操作をする手術です。するとがんの周囲の触覚が伝わってきません。そのため、がんが大きくなり、どこまで広がっているかという部分を自分の手で直接さわって感触を確かめたいときにはこの術式は向きません。
つまり、ロボット手術はどちらかというとがんが小さい段階の方が対象になります。
がんの進み具合は、がんの「Tumor(腫瘍)」のTをとってT1、T2、T3、T4と表現します。日本のがん取り扱い規約では、T2(消化管の外側までは至らずに筋層まで)という段階がダビンチ®による手術の対象になります。T3(消化管の外側まで進んでしまった場合)の対象には現時点ではしていません。
あえてダビンチ®の弱点を言えば、前述のとおり、手で直接触った時のようなリアルな触覚が伝わってこないことです。胸腔鏡手術や腹腔鏡手術の達人であれば、研ぎ澄まされた触覚を持っているものと考えています。それは、たとえばおもちゃのマジックハンドを使って何かに触れた場合、硬いか柔らかいかはある程度わかることと似ています。それに対し、ダビンチ®は完全に触覚が伝わってこない手術です。そこが弱点とも言えるでしょう。
国立がん研究センター中央病院 病院長、元東京大学医学部附属病院 胃食道外科 科長
日本消化器内視鏡学会 会員日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器外科指導医日本外科学会 外科専門医・指導医日本癌学会 会員日本癌治療学会 会員日本内視鏡外科学会 会員日本胃癌学会 会員
東京大学医学部附属病院長の医師としてのキャリアは縁から生まれた
胃がんや食道がんを中心とした上部消化管の領域の専門。研修医時代の友人の薦めで上部消化管を専門にすることを決意した。それがのちにさまざまな縁となり、上部消化管を専門にする医師としてのキャリアが積まれることになる。今の自分を作り出した縁を大切にしたいという思いから、若手の医師との縁も大切にしている。
瀬戸 泰之 先生の所属医療機関
周辺で食道がんの実績がある医師
大森赤十字病院 外科(上部消化管)部長
大森赤十字病院―大田区・品川区においていのちと健康、尊厳を守るがん診療を提供する
東京都大田区・品川区の医療を支える大森赤十字病院による大腸がん・胃がんの治療をテーマにした特集です。
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国立がん研究センター中央病院 病院長、元東京大学医学部附属病院 胃食道外科 科長
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NTT東日本関東病院 消化管内科・内視鏡部 部長
NTT東日本関東病院―“チーム医療”でがん患者さんを総合的に支え、社会復帰をサポートする
NTT東日本関東病院による大腸がん・胃がん・食道がんをテーマにした特集です。
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国立国際医療センター 食道胃外科 医長
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NTT東日本関東病院 消化管内科 医長
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食道癌で術後1カ月半
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みぞおちあたりがしみる
2ヶ月前ぐらいなら、たまに飲み物を飲むとみぞおち辺りがしみたりします。もともと逆流性食道炎があるのですが、日によって熱いものや冷たいものがしみたりしみなかったりよくわかりません。食べ物がつまるようなことはありません。食欲もあります。夜間に胸焼けをすることがたまにあります。食道がんなんではないかと心配ではあります。胃カメラのもうかとは思ってます。
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三週間前に昼頃急に飲み込むと右側肩甲骨部分と右側右側胸が痛くなり病院に行ったら筋肉痛と言われました。飲み込むと筋肉を使うから飲み込むと痛くなると言われ筋肉注射と飲み薬で楽になりましたがまだじわじわと痛いです。 以前程痛くはないですが、肉やご飯を飲み込むと痛かったり痛くなかったり胸焼けとかもありません。つっかえる感じもあったりなかったり、多分実際は詰まってないと思います。空気を沢山飲み込んでいるのか詰まった感覚がある時はゲップをすると楽になります。風邪薬のカプセルとかは詰まった感覚が全くありません。ゲップを、無理に出そうと力を力が入ったり胃の部分が押し出そうとした時に肩甲骨辺りが痛くなります。飲み込む時も意識してご飯を大きく飲み込んでも痛くなかったりとずっと意識してしまい、痛いかも痛くないって気になってしまいます。一番心配なのは食道がんですが可能性はありますか?宜しくお願い致します。 因みに禁煙してから25年、アルコールは、20年以上飲んでません。
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