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インタビュー

公開日 : 2016 年 05 月 18 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

陽子線治療とは? 肝臓がんをはじめ、様々ながん治療に用いられ始めた先進医療

近年、がん治療には手術や抗がん剤治療以外にも、さまざまな選択肢が生まれています。患者さんは、ご自身のライフスタイルや就業状況など、ご自分の置かれる環境に応じて治療法を選択することができる時代になりつつあります。今回はがん治療の中でも近年急速に発展している「陽子線治療」について、筑波大学附属病院陽子線治療センター部長の櫻井英幸先生にお話をうかがいます。

標準的な放射線治療はX線を用いる

一般的に「放射線治療」という場合、99パーセントはX線治療を指します。X線の特徴は、エネルギーのみで構成されており「重さ」がない点にあります。X線は検査や診断にも使われますが、体の中を通り抜けるような性質を持っています。そのため、ある特定の場所を照射したい場合、あらゆる方向から狙い撃ちや挟み撃ちにしなければなりません。放射線治療は体の特定の部分だけを狙うことが目的であるのに、照射の際に体を通り抜けるため狙った部分以外にもX線がかかってしまうのがひとつの欠点です。

陽子線の構造と陽子線治療のメリット

一方、陽子線は原子の一種です。そのため、+の電子を持っていて「重さ」があります。陽子線はX線のように通り抜けず、途中で停止する性質を持っています。高エネルギーで照射すれば深い所まで届いて停止し、低いエネルギーで照射すれば浅い所で停止するのです。

つまりエネルギーの強さをコントロールすれば、陽子線の停止位置を操作することができるといえます。陽子線治療は、この原理を利用した治療法です。「放射線が体を通り抜けずに停止する」ということは、放射線ががん細胞以外の正常な組織に当たりにくくなるということです。

たとえば、X線と陽子線を同じ分だけ照射すると仮定した場合、陽子線のほうが周囲への放射線量が少ないため副作用も少なくなります。これは「副作用が出るまでの許容範囲が広い」ということです。したがって、陽子線治療ではX線治療よりも病巣に対して多い放射線の量を使うことができ、結果として治癒率を上げることにつながります。陽子線は治療効果や安全性を確保しながら病気を治療できる方法といえます。

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