前の記事「胆管がんの原因と生存率-なぜ生存率が低いのか」で、胆管がんの原因について説明しました。本記事では、胆管がんの症状について、がん研有明病院 消化器センター 肝・胆・膵外科部長の齋浦明夫先生にお話しいただきました。
胆管がんでもっともみられる症状は「黄疸」です。黄疸には4つのタイプがあります。
胆管がんでの黄疸は①に該当します。ビリルビンと呼ばれる古くなった赤血球が壊されるときに生成される黄色い色素が、血管内に流れ出てしまうことであらわれます。胆管内にがんができると胆管が狭められ、胆汁が流れにくくなります。狭められた胆管より上流(肝臓側)の胆管は圧力がかかり拡張し、胆汁が胆管から逆流して血管の中に入ってしまいます。その結果、血液の中のビリルビン濃度が高くなり、皮膚や目の白い部分が黄色くなります。
また、胆管がんでみられる次の症状は黄疸によって引き起こされます。
黄疸という症状は自覚症状として気づきやすい症状ですが、胆管がんの患者さんすべてにあらわれるということではありません。
また進行度合いに関係なく黄疸があらわれることがあります。黄疸の発現のしやすさは浸潤性発育、胆管内発育、腫瘤(しゅりゅう)形成性発育などの腫瘍の発育形式によって異なります。(参考記事「胆管がんとは-胆管の役割と胆管がんの分類」)
たとえば胆管内発育は、胆管内に腫瘍ができて胆管内が狭められるため、比較的早くに黄疸がみられる場合があります。一方、浸潤性発育は胆管内には腫瘍がみられなくても、胆管の組織の下(血管やリンパ管)にまで及んでいる場合があります。つまり、黄疸がみられずにがんが進行しているケースが多いのです。ですから、黄疸が出たときに進行しているかどうかはがんの発育形式をみないとわからないということになります。
しかしながら胆管は1センチ程度の細い管ですので、腫瘍が小さくても黄疸の症状がでる場合があり、膵臓がんと比べるとがんに気がつきやすいといえます。膵臓がんは膵管とよばれる膵液の通る管に腫瘍ができてもほとんど症状がでないため、がんに気づきにくいのです。とはいえ全体のがんでみると胆管がんは難治性のがんのひとつですので、多くのがんに比べ早期発見が難しいといえます。
胆管がんが発見される契機には、健康診断での肝機能異常値の指摘が挙げられます。
血液検査でγ-GTPやALPなどの胆道系酵素の上昇がみられた場合に、胆道がんに気づくケースがあります。そのほかにも、超音波検査で胆管の拡張が発見の契機になります。
順天堂大学大学院医学研究科 消化器外科学講座 主任教授、順天堂大学医学部附属順天堂医院 肝胆膵外科 教授
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