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インタビュー

胆嚢がんの症状ーなぜ早期発見は難しいのか?

胆嚢がんの症状ーなぜ早期発見は難しいのか?
渡邊 五朗 先生

国際医療福祉大学 教授、東京大学 医学部肝胆膵・移植外科 非常勤講師

渡邊 五朗 先生

目次
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この記事の最終更新は2015年08月19日です。

胆嚢がんは早期のうちに見つけて手術をすればほぼ完治できる病気ですが、その一方で、症状のないうちに発見することの難しさもあります。
また、胆嚢がんと並んで話題に上ることの多い病気として「胆管がん」があります。2015年7月には55歳の若さで亡くなった任天堂の岩田聡社長が胆管がんであったことが報じられました。これらのがんの違いはどんなところにあるのでしょうか。

外科医として、また超音波検査の専門家として、術式も診断も患者さんに優しいことをモットーとされている山王病院 一般・消化器外科の渡邊五朗先生にお話をうかがいました。

胆嚢はふくろ状の臓器であるため、中でポリープが大きくなっても直ちに症状が出ることはありません。がんが進行して胆管や肝臓にまで広がってしまうと、痛みや黄疸(おうだん)の症状があらわれます。しかしポリープの大部分は良性のものであり、大きくなる場合も時間がかかるため、定期的な超音波検査で見つけ出し、悪いものでないかどうかをしっかりと見極めていくチャンスが十分にあります。

胆嚢がんは早期のうちに発見・治療できればほぼ完治することができます(5年生存率95%以上)。しかし、進行した状態での手術では、5年生存率は約半分となります。

早期の良い状態での手術では患者さんの負担が少ない術式(腹腔鏡下胆嚢摘出術)で行うこともできますが、胆管や肝臓、リンパ節まで広がってしまっている場合には開腹手術で拡大胆嚢摘出術を行い、あわせてリンパ節郭清術も行うなど、確実にがんを取り除いてしまう必要があります。これは患者さんにとって負担の大きい手術となります。
(参照:「胆嚢がんの治療法。第一選択は手術」)

胆嚢がんの中には、1年や半年ごとのペースで経過観察していては間に合わないほど、急速に大きくなっていくような進行の早いがんがあります。胆嚢の壁から大きく突出しているのではなく、内部に潜り込んでいるような状態のものを平坦浸潤型といいますが、このタイプのがんは隣り合っている肝臓や胆管だけでなく、リンパ節への遠隔転移も早く、早期のうちに見つけることは非常に難しくなります。

平坦浸潤型胆のうがん
平坦浸潤型胆嚢がん

胆管に発生する胆管がん胆嚢がんと合わせて「胆道がん」と呼ぶ場合があります。しかし胆管がんは発生する部位の違いだけでなく、その性質も異なっています。

胆管がんは早期のうちに発見することがきわめて難しく、見つかった時にはすでに手術することができない状態か、あるいは手術で切除できた場合でも完治せず患者さんが亡くなってしまう割合が高くなります。その一方で、胆嚢がんには通用しない抗がん剤が、胆管がんには一定の効果があることもわかっています。

胆嚢がんを無症状のうちに見つけるためには、人間ドックなどで広く一般的に行われている超音波検査を積極的に受けることが大切です。日本で胆嚢がんの治療成績が高いのは、超音波検査が広く普及している医療体制、健診システムによるところが大きいのです。安心して日常生活を送るためにも、再検査を勧められた場合は必ず受診しましょう。

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