大腸がんの手術では、従来から行われてきた開腹手術と共に、腹腔鏡を用いた腹腔鏡下手術が一般的になっています。近年では、腹腔鏡下手術によって、より患者さんにとって負担の少ない手術が可能になってきていると考えられています。
大腸がんの手術後に、痛みはないのでしょうか。また、術後にはどのような合併症が起こる可能性があるのでしょうか。本記事では、大腸がんの手術後の生活や起こりうる合併症について解説します。
大腸がんの手術後は、個人差はありますが、術後1〜3か月程度で、手術前の生活に戻ることができるケースが多いと言われています。
大腸がんの術後には、手術による傷が痛むことがありますが、この痛みは術後早期に治ることが多いです。その後も痛みは多少残りますが、数か月や半年などの期間で徐々におさまっていくことが多いでしょう。
ただし、いつもより痛みが増したり赤みが生じたりする場合には、合併症の可能性もあるため、なるべく早めに受診することが大切です。
退院後は、よく噛んで食べることができれば、食事の内容に制限はないことが一般的です。ただし、患者さんの状態によって食事の内容に調整が必要なケースもあります。
大腸がんの手術後には、便の回数が多くなったり下痢や便秘が起こったりすることがあります。これらの症状は、徐々に改善していくことがほとんどです。回復の過程で、あまりにも便が硬かったり、下痢が続いたりする場合には、薬によるコントロールが行われることもあります。
大腸がんの再発のスピードは患者さんによって異なりますが、再発する場合は、基本的に手術後3年以内が多いのが現状です。ただし、5年を過ぎても再発の可能性を否定できないため、フォロー期間の目安は術後5年といわれています。
大腸がんの術後に生じる可能性のある合併症として、縫合不全があります。縫合不全とは、切除した腸管のつなぎ目から便が漏れる合併症です。便が漏れることによって、腹膜炎と呼ばれる炎症が起こり、発熱や腹痛などの症状が現れることがあります。
また、縫合不全が起こると局所再発率が高くなるともいわれています。
縫合不全が起こった場合には、症状が軽ければ薬によって症状を和らげる治療を行います。痛みが強いなど、症状が重い場合には、縫合不全を改善するために再手術が行われることもあります。
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