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大腸・小腸

大腸がん

目次

大腸がんとは

大腸は長さ2m程度の管状の臓器であり、食べ物が消化吸収された後に残りの内容物をためて水分を吸収する働きをしています。部位ごとに上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸に分けられますが、大腸がんはそのいづれかの部位に発生したがんのことをいいます。日本人はとくに直腸にがんができやすいといわれており、直腸がんとS状結腸にできるがんを合わせると大腸がん全体のうちの70%を占めています。なお、大腸がんの成り立ちには、大腸粘膜から発生して良性のポリープの状態を経て一部ががん化してくるものと、正常な粘膜から直接発生してくるものの2種類があります。

大腸の壁は5層(内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜:しょうまく)に分かれています。大腸がんは一番内側の粘膜に発生して、その後大腸の壁の中を徐々に深く広がっていきます。がんが大きくなると周りのリンパ節に転移を起こしたり(リンパ節転移)、がん細胞がリンパ液や血液の流れにのって離れた臓器に転移を起こしたり(遠隔転移)します。

原因

 大腸がんは近年増加傾向にあります。現在では胃がんを抜いて死因の第2位となっており、
その原因は食生活の欧米化などにあるとされます。具体的に大腸がんになりやすい要因としては以下のことが指摘されています。
・動物性たんぱく質や脂肪の摂りすぎ
・食物繊維の摂取が少ない
・運動不足
・肥満
・飲酒
・喫煙
また、遺伝的な要因も関係しているとされ、家族に大腸がんに罹った人がいる場合には検査をすると数%に大腸がんが見つかることがわかっています。大腸がんは40歳代から増え始めて50歳代で加速的に増加し、年齢が高くなるほど多くなる傾向があります。
詳細は、こちらの記事も参照下さい。
https://medicalnote.jp/contents/160114-007-WV

症状

大腸がんは初期の段階では症状が出にくい病気です。がんができて大きくなってくると、便が細くなったり、便秘気味(もしくは下痢と便秘を繰り返して便通が安定しない)になったり、便がなかなか出ず(あるいは少しずつしか出ず)お腹が張ってしまったり、便に血が混じるようになったりといった症状が出ます。また体重が減少することもあります。
ときに、大きくなった大腸がんが便をせき止めて通過不能となることで(腸閉塞の状態)、嘔吐や腹痛を起こして発見されることもあります。また、大腸がんが肝臓や肺に遠隔転移をおこして、その病変が他の検査で先に見つかることもあります。
詳細は、こちらの記事も参照下さい。
https://medicalnote.jp/contents/160114-007-WV

検査

大腸がんは早い段階で発見し治療できれば、多くは完治させることができます。しかし早期の大腸がんは自覚症状がないため、がんが大きくなってしまってからはじめて発見されることも多くあります。早期の段階で発見するためには、無症状のうちに検診など検査を受けることが大切になります。
●便潜血検査
大腸がんのスクリーニング検査として広く検診などで行われています。便の中の血液の成分を検出するもので、検便で調べることができ患者さんへの負担が少ない検査です。ただし痔や腸炎など大腸がん以外の病気でも陽性になることがありますので、検査結果が陽性だからといって大腸がんが必ずあるわけではありません。また逆に陰性であっても大腸がんがないとは言い切れません。
大腸がんが疑われる場合や便潜血検査で陽性となって精密検査が必要となった場合には、一般的には大腸内視鏡検査(大腸カメラ)でがんかどうかの確定診断を行います。またがんのある部位や全身への広がりを評価するために、CTコロノグラフィーや注腸造影検査、CTスキャン、MRI検査などを行います。
●大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
肛門から内視鏡(大腸カメラ)を挿入して大腸の内部を直接観察します。早期の大腸がんや小さなポリープも見つけることができ、病変の組織を採取して顕微鏡で調べ大腸がんの確定診断をつけることができます。また治療の必要な良性ポリープや小さな大腸がんは同時に切除することも可能です。ただし、検査前には下剤を内服するなどして腸の中を空にする必要があるため、準備に時間を要し患者さんへの負担も少なくない検査です。
●CTコロノグラフィー
炭酸ガスで大腸を膨らませてからCT撮影(Computed Tomography:コンピューター断層撮影)を行う方法で、バーチャルコロノグラフィーとも呼ばれています。ガスを入れるためお腹が張る感じがしますが、大腸内視鏡検査に比べると患者さんの負担が少なく行える検査です。海外では大腸カメラによる内視鏡検査に替わるものとして検診時に広く行われており、今後日本でも普及する可能性があります。
●注腸造影検査
検査前に下剤を内服して腸を空にしてから、肛門からバリウムと空気を注入してレントゲン写真を撮影します。がんの位置や大きさ、大腸がんのある部位の大腸の内腔の狭さについて調べることができます。
●CTスキャン検査、MRI検査、腹部超音波検査、PET検査など
いくつかの画像検査を行い、がんがどこまで広がっているかを評価します。周りの組織にどの程度浸潤しているか、また遠くの臓器に転移があるか(遠隔転移)について見極め、がんの進行の程度を評価します。
詳細は、こちらの記事も参照下さい。
https://medicalnote.jp/contents/160114-008-KS

治療

大腸がんでは、がんの進行の程度(ステージ:病期)ごとに治療方針を決定します。
<大腸がんのステージ別の治療方法(2014年度版 大腸がん治療ガイドラインより)>

実際の治療にあたっては、病期だけでなく患者さんの全身の状態や合併症なども考慮して治療方法を決定します。
●内視鏡治療
内視鏡(大腸カメラ)を使って大腸の内側からがんの病巣を取り除く治療法です。患者さんへの負担が少なくてすみ、切除の方法としては内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、あるいは内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が行われています。0期(大腸粘膜に限局するがん)もしくはI期(粘膜下層まで達するがん)の中でも早期の段階の大腸がんに対して行われます。
●手術治療
Ⅰ期の中でもがんの浸潤が進んだものや、Ⅱ期(大腸の深い層まで浸潤している、リンパ節転移のないがん)やⅢ期(リンパ節に転移しているがん)に対しては手術による切除が基本となります。Ⅳ期(遠隔転移のあるがん)の場合には、手術治療を行う場合と行わない場合があります。手術ではがんのある部分の腸管とリンパ節を切除し、またがんが周りの臓器に進展している場合にはそれらも併せて切除を行います。基本的には開腹または腹腔鏡による手術を行います。開腹手術ではお腹を大きく切開して行いますが、腹腔鏡手術ではお腹に数カ所の小さな孔をあけ、内視鏡や手術器具を挿入して手術を行います。手術時間は長くなりますが、出血量が少なく、患者さんの身体への負担が少ないため入院期間が短くてすむというメリットがあります。
状況や手術の方法によっては、一時的もしくは永久的な人工肛門の造設術(お腹から腸の一部を体外に出して皮膚と接合させて、そこから便が出るようにする手術です)が必要となることもあります。
●化学療法(抗がん剤治療)
大腸がんにおける化学療法の目的は主に以下の3つです。
・手術治療前にがんを小さくして切除しやすくするため
・手術後に取り切れなかったがんや転移した病変を小さくするため
・手術後に再発を予防するため
近年では、大腸がんに対して効果のある抗がん剤が次々と開発されています。手術前に化学療法を行うケースも増えています。手術後の化学療法では、患者さんの状態に合わせて副作用も考慮しながら治療を選択していきます。
●放射線治療
Ⅳ期のがんの場合に手術後に化学療法と合わせて放射線治療を行うことがあります。近年では手術前に根治性を高めることを目的として化学療法および放射線治療を組み合わせて行う治療方法も増加しています。また、切除のできない大腸がんに対して症状を緩和することを目的として放射線治療を行うケースもあります。
●大腸がんの遠隔転移に対する治療について
大腸がんは肝臓・肺・脳などの重要な臓器に転移しやすいという特徴があります。こうした遠隔転移がある場合の治療方針は標準的な治療方法を示している「大腸癌治療ガイドライン」に基づきながら、患者さんの全身状態や合併症などを十分に考慮した上で、治療の方法を決めていきます。
<転移(遠隔転移巣)がある場合の治療方針>
・肝転移
肝切除・全身化学療法・肝動注療法および熱凝固療法などがあります。根治切除可能な肝転移には、肝切除が推奨されています。
・肺転移
肺切除・全身化学療法・放射線療法があります。肺転移巣の切除が可能であれば肺切除を考慮します。
・脳転移
治療効果が期待できる場合には、手術療法あるいは放射線療法を考慮します。全身状態や他の転移巣の状況を考慮して、脳転移巣の大きさや部位・脳転移の個数を評価して最適な治療法を選択します。切除不能な場合には放射線療法を検討します。
・その他
副腎・皮膚・脾などの転移に対しても切除可能な場合は切除を考慮しますが、これらの転移は他の臓器の転移を伴っていることが多いため、化学療法や放射線療法が適応となることが多いです。
詳細は、こちらの記事も参照下さい。
https://medicalnote.jp/contents/160114-009-GE
https://medicalnote.jp/contents/160114-011-YD

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