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だいちょうがん

大腸がん

最終更新日:
2024年08月16日
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概要

大腸がんとは、大腸に発生するがんのことです。

大腸は結腸(盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸)と直腸に分かれ、日本人の大腸がんの多くはS状結腸と直腸に発生します。

早期の段階では自覚症状はほとんどありません。進行すると血便(便に血液が混ざる)や腹痛、腹部膨満感、便通異常などの症状が現れます。このような症状が現れてから初めて検査を受ける方も少なくありません。

しかし、厚生労働省は大腸がんの発症者が増え始める40歳以上の男女を対象に、1年に一度大腸がん検診を受けることを推奨しています。特に症状がなくても、定期的に検診を受けることが大切です。

原因

大腸がんには正常な粘膜からがんが発生するものと、ポリープからがん化するものがあり、いずれも生活習慣が深く関わると考えられています。

特に、運動不足、偏った食生活、肥満、アルコールの多飲、喫煙などは大腸がんの発症リスクを高めるといわれています。また、家族性大腸腺腫症やリンチ症候群など、生まれつきある遺伝子の一部の異常が原因となって生じる遺伝性大腸がんも知られています。

症状

早期の大腸がんは、自覚症状がほとんどありません。

進行すると、がんは腸壁の深い層へと浸潤(しんじゅん)し、最終的には大腸の閉塞(へいそく)を引き起こしたり、周囲の臓器にがんが広がったりします。がんによって大腸が変形すると、大腸が狭窄(きょうさく)して便が出にくくなり、下痢と便秘を繰り返すことがあります。また、がん表面から出血すると下血や貧血症状がみられることもあります。

がんは発生部位によって症状が異なります。盲腸や上行結腸など右側の大腸にがんが発生すると症状は出にくく、血便に気付かず発見が遅れることがあります。特に高齢者の貧血は大腸がんを念頭におくべきです。一方、S状結腸や直腸など左側の大腸にがんが発生すると便通異常が生じやすく、血便が生じるなど分かりやすいという特徴があります。さらに進行し、大腸が閉塞すると腸閉塞を引き起こし、便やガスが出なくなり、腹痛や吐き気・嘔吐などの症状が現れることもあります。

検査・診断

大腸がんが疑われる際には、以下のような検査が行われます。

便潜血検査

便の中に血液が含まれているか調べる検査です。

大腸がんでは便に血液が混ざることがあります。この検査で大腸がんを簡易的に診断することができます。この検査は、検診などで広く行われていますが、など大腸がん以外の病気でも便に血液が混ざることがあり、早期の大腸がんでは陽性にならないことも多くあります。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査は、便潜血検査で陽性がみられ大腸がんが疑われる場合などに行う確定診断に必須の検査です。肛門(こうもん)から内視鏡を挿入し、大腸を詳しく観察します。病変がみつかれば、内視鏡を用いて組織を採取し、病理検査を行います。

ポリープなど小さな病変は、その場で切除して治療を行うことができます。ポリープの切除を行った場合は、治療の翌年に取り残しがないかを確認し、その後は2~3年に1回のペースで内視鏡検査を受けることが勧められます。

注腸X線検査

造影剤を肛門から大腸に注入して、大腸の形態を調べる検査です。

大腸の変形、狭窄、隆起(りゅうき)潰瘍(かいよう)などの病変の有無を確認します。この検査は造影剤によって描出される画像評価なので大腸がんの確定診断はできません。

注腸X線検査は、手術前に腸の形状やがんの広がりを見るために行うことがあります。狭窄が強く内視鏡が通りにくい場合に、狭窄部より口側を調べるために注腸X線検査を行うこともあります。

CT・MRI検査

大腸内の病変の広がり、リンパ節や他臓器への転移の有無を調べるためにCTやMRI検査を行います。特にMRIは、直腸がんの広がりや骨盤内リンパ節転移の状況を把握することが可能です。

腫瘍マーカー

大腸がんでは、がんから産生される“CEA”や“CA19-9”などの腫瘍(しゅよう)マーカーが上昇することがあります。特に再発の診断では腫瘍マーカーの測定が重要です。

ただし、腫瘍マーカーは肝機能の異常や糖尿病などによっても高くなることがあるため注意が必要です。

治療

大腸がんの治療の進め方は、がんの進行度や全身状態によって異なります。

がんが大腸の粘膜から粘膜下層の浅いところに止まっている早期の場合は、内視鏡で根治切除が可能です。一方、がんが粘膜下層の深い部分を越えて浸潤している場合は、リンパ節へ転移している可能性があるため、がんがリンパ節を通って全身に広がることを防ぐために、リンパ節を切除するリンパ節郭清が必要です。手術は開腹手術や腹腔鏡下手術(ふくくうきょうかしゅじゅつ)を行います。

また、大腸がんは術後に転移再発する可能性があり、中でも肝臓への転移再発がもっとも多くみられます。術後に再発を予防するため、抗がん薬による補助化学療法を行うこともあります。

切除が可能ながんの場合には手術を行いますが、手術が不可能なほど進行しているケースでは、化学療法や放射線治療を組み合わせた治療のほか、IVR(画像下治療)による焼灼療法や、動注化学療法、血管塞栓術(けっかんそくせんじゅつ)を行います。

手術治療

大腸がんの手術治療は結腸がんと直腸がんで異なります。

結腸がんの場合には、腹腔鏡下手術が一般的です。一方、直腸がんには開腹手術、腹腔鏡下手術のほかにロボット支援下手術があります。最近は直腸がんでも腹腔鏡下手術が増えています。直腸がんの治療では、がんの切除以外にも、肛門機能や排尿・性機能をできるだけ温存することが求められるため、骨盤内の神経を温存することが大切です。

がんが肛門の近くにあり、排便機能を残して切除することが難しい場合には、永久人工肛門を造設します。以前は永久人工肛門になると生活に大きな支障がでるのではないかとの懸念がありましたが、現在では装具の改善により患者さんの生活の質は格段に向上しています。

予防

運動不足は大腸がんの中でも特に結腸がんの発生リスクを高めます。したがって、生活に適度な運動を組み込むことは大腸がんの発生リスクを下げることができるといわれています。また、早期発見・早期治療のために、とくに40歳代以降では1年に一度の便潜血検査を受けることが推奨されています。

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