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最終更新日
2021年03月29日
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2021/03/29
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

痔とは、痔核(じかく)痔瘻(じろう)裂肛(れっこう)の3つを含む病気の総称です。中でも、痔核は肛門に生じる病気の中でもっとも多く見られます。

痔核(じかく)
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肛門の静脈にいぼ状の腫れができた状態をいいます。肛門の皮膚の部分と直腸の境目である歯状線(しじょうせん)よりも上にできるものを内痔核、歯状線より下の肛門にできるものを外痔核と呼びます。

痔瘻(じろう)

肛門内の小さなくぼみ(肛門陰窩)(こうもんいんか)から入った細菌が肛門腺の中で化膿(かのう)し、肛門の内と外がトンネル状につながって皮膚の出口から膿が出るものをいいます。

裂肛(れっこう)

歯状線より下にある肛門上皮が切れた状態のことをいいます。切れ痔、裂け痔とも呼ばれ、痛みが強く治りにくいため、慢性化するケースも少なくありません。

痔核、痔瘻、裂肛といったいわゆる痔はどれも良性の病気ですが、その中で痔瘻は唯一、がんとの関連をもっています。長い経過で慢性の炎症を繰り返すことで、組織の悪性化が始まると考えられていますが、頻度としてはまれです。

原因

痔核の原因

長年にわたる不適切な排便習慣(排便時のいきみや便秘など)や生活習慣を行うことで、肛門のクッション部分やそれを支える部分に負担がかかって弱くなり、結果として腫大(しゅだい)、出血、脱出といった痔核を起こします。また、肛門部の血流が悪くなり、肛門のクッション部分にうっ血を起こすことでも症状が悪化します。

痔瘻の原因

下痢をすると、歯状線の横にある肛門陰窩という小さなくぼみに便が入り込みやすくなります。肛門陰窩の奥には肛門腺という腺組織があり、便中の細菌がこの肛門腺に感染して化膿します。

膿が溜まってしまった状態を肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)といいますが、進行すると肛門に向かってトンネルが形成され、穴から膿が出るようになりこれを痔瘻と呼びます。

裂肛の原因

便秘の硬い便や、下痢便が勢いよく肛門を通過するときに、肛門上皮が切れることが主な原因です。浅い傷であれば通常すぐに自然修復されますが、何度も傷を繰り返すと傷が深くなり、より深い部分に潰瘍(かいよう)ができます。肛門を締めるはたらきをする筋肉(括約筋)までは切れませんが、慢性の裂肛では括約筋の緊張が高まり硬くなってしまい(硬化)、肛門が狭くなります。この状態となると血流が悪くなり傷の治りはより遅くなります。

症状

痔核の症状

内痔核では排便時に出血を起こすものの、痛みはほとんどありません。ただし、肛門から脱出した内痔核が元に戻らなくなり血栓や潰瘍、壊死(えし)リンパ浮腫などをきたした状態は嵌頓痔核(かんとんじかく)と呼ばれ、激しい痛みを伴います。痔核の脱出により、そばの肛門上皮が切れると切れ痔も痛みを伴うようになります。

外痔核では、排便時に肛門部の膨らみを感じます。肛門周囲の静脈にうっ血を生じ血栓ができると、血栓性外痔核と呼ばれる状態となり、激しい痛みが生じます。血栓性外痔核の場合、基本的には保存的治療を行いますが、血栓が大きく痛みが強い場合や出血が続く場合には外科的な切除も考慮します。

痔瘻の症状

肛門周囲膿瘍では、比較的急に肛門部の腫れ、痛み、発熱を生じます。溜まった膿瘍を切開排膿(はいのう)して膿を出すことで、症状は速やかに改善します。肛門周囲膿瘍のように皮膚の浅いところであれば症状は分かりやすいことが多いのですが、直腸周りや直腸の壁の中など、深いところに膿瘍ができた場合には自覚症状が乏しく発熱だけということもあります。

直腸周囲膿瘍や深部膿瘍とも呼ばれ、膿の溜まりが大きくなってはじめて肛門に違和感を覚えるようになるため、診断が遅れることがあります。肛門周囲膿瘍が進展して痔瘻になると、持続的に膿が出る、肛門周囲の腫れを繰り返す、押すと痛みを感じる症状が出ます。

裂肛の症状

排便時に強い痛みと出血があります。通常出血はトイレットペーパ-に付く程度であり、多くはありません。硬い便や下痢便では、排便する際の痛みも強くなります。

検査・診断

問診

肛門部の症状(違和感・出血・痛み・膿の排出など)、経過、排便や生活習慣について聴取します。

視診・触診・肛門指診

肛門部分を目で見て観察し(視診)、直接触れて状態を調べ(触診)、さらに肛門に指を入れて診察(肛門指診)を行っていきます。肛門指診は得られる情報が多く、特に大切な検査です。

肛門鏡検査

肛門鏡という器具で肛門を押し広げて、内部の状態を観察します。

経肛門的超音波検査

肛門から超音波のプローブ(探触子)を挿入して検査します。痔瘻の部位や広がりなどを評価することができます。

下部消化管内視鏡検査

必要に応じて下部消化管内視鏡検査を行います。「便をするとき肛門から何かが一緒にでてくる」という痔核のような訴えであっても、内視鏡検査や肛門鏡検査で確認すると、大腸ポリープ肛門ポリープであるケースがあるためです。

治療

痔核の治療

痔核による症状で日常生活が制限される場合、治療を検討します。症状があっても日常生活に支障のない場合は、手術治療は行わず経過を見ます。

また内痔核は、状態によって手術の適応となります。たとえば、排便時に肛門外に出た痔核が戻らず指で押し戻す必要がある場合や、常に肛門の外に出ている、指で戻してもすぐ出るような場合が該当します。

代表的な手術法は、結紮切除術(けっさつせつじょじゅつ)です。さまざまなタイプの痔核に対し行うことができますが、切除する範囲が広いと術後に肛門の狭窄(きょうさく)を起こすことがあります。

近年では内痔核に対する治療法として、ALTA療法(硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸を用いた硬化療法)が注目され、ALTA療法単独での治療や、結紮切除術との併用が行われています。ALTA療法は、術後の痛みが軽度で出血が少なく、入院期間の短縮も期待できます。

痔瘻の治療

肛門周囲膿瘍を切開排膿した後に痔瘻に進展するケースは50~70%であり、排膿だけで治れば、痔瘻の手術は必要ありません。しかし痔瘻になって肛門周囲膿瘍を繰り返す場合には手術治療が検討されます。

肛門内と外がトンネルのような管(瘻管)(ろうかん)でつながり膿が出るのが痔瘻ですが、その位置やタイプにはさまざまなバリエーションがあります。そのため手術の術式も数種類あり、ケースごとに術式が選択されます。

代表的な手術としては、以下が挙げられます。

  • 瘻管開放術:膿の通り道である瘻管を切り開いて開放する手術
  • 瘻管切除術:瘻管を開放するだけでなく瘻管の全体を切除する手術
  • 痔瘻結紮療法(シートン法):膿の通り道である瘻管にゴムや糸を通して輪状に縛り、人体がゴムを体外に押し出す力を利用してゆっくりと時間をかけて組織を切っていく方法
  • 括約筋温存手術:細菌が侵入した孔(原発口)を処理し、炎症の激しい括約筋の外側の部位を切除するが、括約筋内の瘻管を処置しないか、縛るだけにして括約筋の機能を温存する方法。瘻管切除(くりぬき)術に表現は近いが、括約筋に対する障害がもっとも少ない治療法

など

それぞれの手術法によって、痔瘻の根治する率や再発率は異なっており、慎重に適応を検討していきます。

裂肛の治療

まず便秘や下痢を改善する排便コントロールを行います。また外用薬(注入用軟膏)や、局所の血流を改善する内服薬を投与します。

改善が見られない場合や、慢性裂肛になって肛門ポリープや見張りいぼ、肛門狭窄などを起こしてきた場合には、手術治療を考慮します。

指で直接肛門部を押し広げる手法(用手肛門拡張術)以外に側方皮下内括約筋切開術(LSIS)と、皮膚弁移動術(SSG:代用の皮膚弁、つまり血流のある外側の皮膚を中にずらす方法)があります。

高度に肛門狭窄を起こした慢性裂肛の場合にも皮膚弁移動術は行われ、裂肛の瘢痕部(はんこんぶ)(硬く縮んだ部位)を切除するのでLSISよりも有効です。裂肛では早期に治療を行い、なるべく慢性化させないことが大切です。

予防

痔疾患を悪化させないための生活習慣として、長距離運転や立ち仕事、デスクワークで長時間座りっぱなしなど肛門に負担をかける姿勢を避けることや、便通を整えること、肛門環境に留意するなどが大切です。

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