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痔の予防、よりよい肛門環境のために
「肛門は汚いとか、不潔なところだと思わないで、自分の身体の一部だと思ってもっと大事にしてあげるべきです」東京山手メディカルセンター副院長であり、大腸肛門病センター長の佐原力三郎先生はそうおっしゃ...
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痔の予防、よりよい肛門環境のために

公開日 2016 年 04 月 21 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

痔の予防、よりよい肛門環境のために
佐原 力三郎 先生

東京山手メディカルセンター 副院長 兼 大腸肛門病センター長

佐原 力三郎 先生

「肛門は汚いとか、不潔なところだと思わないで、自分の身体の一部だと思ってもっと大事にしてあげるべきです」東京山手メディカルセンター副院長であり、大腸肛門病センター長の佐原力三郎先生はそうおっしゃいます。歯を大切にする人が歯を磨くように、あるいは皮膚の手入れをするのと同じように、もし排便の状態によって肛門に負担がかかっているならば、それを思いやることが大切です。の名医である佐原先生に、よりよい肛門環境のための具体的なアドバイスをいただきました。

心がけたい生活習慣

ひと口に生活習慣と言っても、快便を得るためには食事だけではなく生活のさまざまなリズムが大切です。例えば睡眠のとり方や仕事の内容など、それぞれのバランスが関わっています。

排便のサイクル

食べたものが排泄されるまでの時間には個人差があり、12時間から72時間ぐらいまで幅があります

つまり半日の人もいれば3日ぐらいの人もいるということです。したがって、毎日お通じがないと便秘なのかというと、決してそうではありません。下剤に頼ると今度は下痢になりますから、毎日のお通じにこだわって対処法を間違えると、かえって肛門環境を悪化させることになります。

同じ姿勢を長時間続けない

血流の関係から言えばうっ血はよくありません

肛門は位置的に下にありますから、仕事上あるいは姿勢などの問題で肛門部の血流をうっ滞させる環境というのはあると思います。しかし、そのことが単独で痔の原因になることはありません。ただし、痔核などすでに少し悪いところがある方の場合は注意が必要です。

初期の痔核などの病変があったときに、姿勢などの環境要因がそれをより悪化させる可能性はあります。長距離運転や立ち仕事などはそれにあたります。デスクワークで長時間座りっぱなしの方でも、ときどき立ち上がって少し歩くことを心がけましょう。

食生活で気をつけたいこと

辛い食べ物も痔の人にはつらいのですが、タイ料理や韓国料理のように辛いものを食べればかえってお通じが良くなるし、そっちの方がいいという人も大勢います。辛いものを食べることで新しく痔疾患を作るということはないと思います。

ただ、お尻の具合が悪い人は、何をやると良くないのかは生活習慣の中で感じているはずです。わかっていてもやめられないもの、たとえばアルコールや、好物だけど食べると下痢をするというようなものがあります。こういったものはまったくダメということではなくて、量の問題として調整するのがよいと思います。

トイレの時間を長くしない

便がなかなか出ないのに、長い時間をかけることは好ましくありません。一度で全部出し切ろうとしないほうがよいのです。しかし実際には、通勤途中で便意を催して途中下車する煩わしさから、全部家で出そうとして頑張ってしまうということも往々にしてあります。時間的には5分を目安と考えるとよいでしょう。一回の排便に20分以上要する方は何らかの問題を抱えていると考えられます。

洗浄トイレのメリットとデメリット

シャワートイレとも呼ばれる洗浄トイレと肛門疾患の関係についてはいろいろと議論のあるところです。肛門をきれいに洗うのは良いのですが、洗い方が神経質すぎると、それなしでは排泄ができなくなることがあります。

たとえば、肛門の周囲は比較的皮膚のバリアがしっかりとしていて、通常はpHバランスなどもきちんと保たれています。それが洗い過ぎることによって痒みにつながったり、逆に過敏になってしまったりする方もいます。また、洗浄の水流を浣腸の代わりにする方もいて、そういう方は排便障害に対して無意識にそれを利用しているのかと思われます。

もちろん紙でこするより洗ったほうが肛門の皮膚には優しいと思われますが、それも程度の問題ですので、上手に使っていくことが大切です。

肛門は締めようとすると内側に入っていく構造になっています。いすに座った状態で肛門を締めようとすると、肛門は必ず座面から上がっていき、中に入っていきますが、これは肛門を引き上げる肛門挙筋(きょきん)の働きによるものです。

したがって、そういった状態で力を入れると肛門をうまく洗うことができません。肛門は中に入った状態よりもちょっと開いた状態で洗うと、柔らかい水流でもきれいになるので、それほどに神経質に洗う必要はなくなります。特に手術後の方に対しては、洗浄トイレは使っても構いませんがこういうちょっとしたコツをアドバイスしていくと、間違った使い方はしなくなります。

 

東京山手メディカルセンター(旧・社会保険中央総合病院) 副院長であり、大腸肛門病センター長を務める。日本大腸肛門病学会でも中心的な役割を果たし、痔の名医として全国的に知られている。外科手術を得意とするが、痔ろうでは肛門の中をいじらずに外から治療する方法を開発するなど、不要な手術を行わず、低侵襲で肛門機能を落とさない根治性の高い治療を心がけている。

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