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痔核の手術、PPH法に対する考え
痔核の手術法のひとつにPPH法というものがあります。痛みのない治療として一定の評価がある手術法ですが、東京山手メディカルセンター副院長であり、大腸肛門病センター長の佐原力三郎先生はこれまで一度も...
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痔核の手術、PPH法に対する考え

公開日 2016 年 04 月 22 日 | 更新日 2017 年 05 月 08 日

痔核の手術、PPH法に対する考え
佐原 力三郎 先生

東京山手メディカルセンター 副院長 兼 大腸肛門病センター長

佐原 力三郎 先生

核の手術法のひとつにPPH法というものがあります。痛みのない治療として一定の評価がある手術法ですが、東京山手メディカルセンター副院長であり、大腸肛門病センター長の佐原力三郎先生はこれまで一度もPPH法による治療を行なったことがないそうです。佐原先生はなぜPPH法を使わないのか、その理由をうかがいました。

PPH法とは

イタリアのロンゴ博士が1990年代に考案して欧米を中心に広まった術式で、痛みを感じない部分で処置を行なう手術法です

肛門には敏感な部分と痛みを感じない部分が混在していますが、痔核より上の痛みを感じない直腸側を筒状に切り取り、自動縫合器で縫い合わせて取り除いた分だけ引き上げます。

例えるならば、緩んで伸びてしまった下着―ズボン下がズボンの裾からはみ出しているのを上に引っ張り上げるようなイメージです。痔核がズボンの裾からはみ出している下着だとしたら、これを引き上げて肛門のクッションを元の位置に戻してやるという原理です。

PPHでなければ治せない痔核はあるか

私は30年以上この仕事をしてきて、一度もPPHを行なったことがありません。実際のところ、PPHでなければ治らないという病態というのは私には思い当たりません。

痛みを感じないところで処置をするので、痛みがなければ日帰り手術ができるというのが欧米の考え方です。切り取る部分は痛みを感じませんが、処置をするときには肛門を開いたりするので、手術をするときだけ鎮静剤で全身麻酔をかけて行ないます。

PPHには患者さんに痛みがないという良さがあります。しかし、どのような病態でPPHがより良い治療結果をもたらすのかということを考えると、現在ではALTA療法の登場によって、従来PPHを行なっていたようなケースがALTAに移行していく傾向があるとみています。また一方で結紮(けっさつ)切除という王道のスタンダードな術式がありますので、それをマスターすればほとんどの脱出性の病変には対応できます。

PPHの危険性

簡便さや術後の痛みが少ないことの代償として、合併症の大きさについてはやはり考慮しなくてはならないと考えます

痛みがないから日帰り手術で行なったが、直腸に穴が開いてしまったというのは肛門の手術では許されない話ですが、PPHにはそういう合併症が実際にありますし、女性の場合では膣瘻(直腸と膣が穴でつながってしまうこと)が起こりえます。

PPHの手術にしっかり慣れた医師が行なってもそのような合併症が起こるのか、私自身はPPHの経験がないので確かなことは言えませんが、その合併症で困った患者さんが来られることがあります。そういう危険のある術式は、自分自身では行なう必要はないと考えています。

唯一、例外的にPPHが適すると思われるのは、昔行なわれていたホワイトヘッド手術を受けた方の後遺症で、粘膜脱といって、いぼ痔ではないのですが粘膜が全周性に脱出してくる病態があります。そういった場合は結紮切除では治療が難しいことがありますので、PPHが有効なのかもしれないと思います。

テーラーメイド的に患者さんの希望にできるだけ沿った形で治療を提供しようという流れもあり、以前は患者さんから「PPHはできるのですか」と言ってこられることもありました。しかし今は私たちのところではPPHを実施していないということを患者さんがよくご存知なので、言ってくる方はいないというのが実際のところです。患者さんが「注射で治るのならそちらを希望します」と言ってこられた場合には、もちろんALTA療法でその要望に応えることができます。

 

東京山手メディカルセンター(旧・社会保険中央総合病院) 副院長であり、大腸肛門病センター長を務める。日本大腸肛門病学会でも中心的な役割を果たし、痔の名医として全国的に知られている。外科手術を得意とするが、痔ろうでは肛門の中をいじらずに外から治療する方法を開発するなど、不要な手術を行わず、低侵襲で肛門機能を落とさない根治性の高い治療を心がけている。

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