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切れ痔とはどんな病気?~そもそも人間は体の構造から痔になりやすく、60%以上は便秘によるもの~

切れ痔とはどんな病気?~そもそも人間は体の構造から痔になりやすく、60%以上は便秘によるもの~
齋藤 徹 先生

医療法人伯鳳会 大阪中央病院 外科 特別顧問

齋藤 徹 先生

目次
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とは肛門(こうもん)やその周辺の病気の総称であり、主にいぼ痔(痔核(じかく))、切れ痔裂肛(れっこう))、あな痔(痔瘻(じろう))の3種類があります。人間は犬や猿と比べて痔になりやすく、特に日本人の3分の1が痔に悩んだ経験があるといわれるほど一般的な病気です。

中でも本記事では、肛門の上皮に傷や潰瘍(かいよう)が生じた状態を指す“切れ痔”の原因や症状、治療について詳しく解説します。

切れ痔が生じている人の大半が便秘を生じているといわれ、主に硬い便の排出や、下痢が勢いよく排泄されることが原因で切れ痔を発症するとされています。肛門疾患診療ガイドラインでは、一般的な切れ痔の60%以上は便秘によるものであるというデータが提示されています。

また最近では、切れ痔と直腸肛門管の内圧には関連があるといわれており、肛門括約筋の緊張が高いために直腸肛門管の内圧が高くなりやすい方は、肛門上皮の血流が悪くなることで切れ痔にかかりやすくなることが分かってきています。

*参考:海外論文では内圧と肛門上皮の血流の関係を記載したものが数編ある

人間のお尻は心臓(血液を運ぶポンプの役割をする臓器)よりも低い位置にあり、さらに立つ・座るなどの姿勢から重心が肛門にくることにより、どうしても血流が滞りうっ血を生じやすいという特徴があります。うっ血した部分は腫れたり切れやすくなるため、便秘や下痢などの排便障害によって肛門周辺に傷や潰瘍が生じやすく切れ痔を発症しやすいのです。

主な症状は、排便時の肛門周辺に生じる痛みや、トイレットペーパーに付く少量の出血です。痛みは排便後もしばらく続くことがあるといわれています。ただし、慢性化すると皮膚や粘膜が欠損して潰瘍になり肛門が狭くなるほか、肛門周辺にも強い痛みを感じ、排便後も痛みを持続的に感じることもあります。

切れ痔は急性期と慢性期の2つに分類されます。急性期では前述のとおり肛門周辺に生じる痛みや少量の出血があります。急性期は切れ痔の中でも初期の段階であるため、生活習慣を改善することで治療が可能とされています。

一方、慢性期は急性期を経て数か月以上にわたり切れ痔が繰り返され、急性期よりも傷が深くなり潰瘍化した状態を指します。潰瘍化した中に便や粘液が入る刺激による肛門周辺の腫れを生じ、肛門が狭くなるため、さらに便通が悪くなり、傷が悪化して治りにくくなるといった悪循環に陥る可能性もあります。また、排便時に痛みを伴うことに恐怖心を抱き、必要以上に排便を我慢するようになることも慢性化を招く理由とされています。

切れ痔の治療法は、切れ痔の状態によって保存的治療と外科的治療の2種類から選択されます。

急性期の切れ痔の場合は、一般的に保存的治療が行われます。保存的治療には、排便障害(便秘や下痢など)改善のための生活習慣や、肛門を清潔に保つ入浴方法の指導のほか、薬を用いる治療が行われます。

排便障害を改善させるためには、肉類を過剰摂取しないように心がけること、野菜やきのこ類など食物繊維を多く含む食材を十分に取ることにより下痢や便秘を予防します。このような食生活により改善が見込めない場合は、便の体積を増して排便を促進する膨張性下剤などが用いられることがあります。

また、切れ痔の患者は痛みや見張りいぼ*があるために肛門周辺をしっかり拭けない、洗えないなど、衛生状態を保てないことが多く、肛門の衛生を重視した温坐浴(下半身だけをお湯につける入浴方法)が指導されています。そのほか、必要に応じて炎症を抑えるためのステロイドを含む外用薬や、痛みを抑えるための局所麻酔剤を含む注入用軟膏などが処方されることもあります。

*見張りいぼ:切れ痔の傷が慢性化することによって突起物になること

肛門が狭くなり、日常生活に支障がある、肛門の外に出るポリープがある、触ると痛みを感じる腫れ(見張りいぼ)がある、保存的療法や薬物療法で改善されないなどの場合には、外科的治療が選択されます。

外科的治療にもいくつかの種類があり、切れ痔やポリープなどの患部を切除する方法、肛門の皮膚と筋肉を浅く切って肛門を広げる方法など、症状によって方法を選択します。

切れ痔は生活習慣の改善によって予防・治療が可能です。切れ痔の主な原因は排便障害であるため、便秘や下痢につながる食事を避けることが重要です。具体的には前述のとおり、肉類を過剰摂取せず食物繊維を十分に取るように心がけましょう。また、排便を我慢することも便が硬くなって便通が悪くなるので注意しましょう。

なお、単に切れ痔だと思っていたものが実はがんやほかの病気が関係している可能性もあります。そのため、症状がしばらく続く場合は、肛門科や肛門外科、あるいは外科または消化器外科などの受診を検討し、早めに医師に相談するようにしましょう。

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