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インタビュー

裂肛の手術、治療に手遅れはない

裂肛の手術、治療に手遅れはない
佐原 力三郎 先生

東京山手メディカルセンター 副院長 兼 大腸肛門病センター長

佐原 力三郎 先生

切れ痔とも呼ばれる裂肛は、痛みのために排便を我慢することで硬くなった便がまた傷をつくるという悪循環によって悪化します。市販薬では良くならず、このままではいつか手遅れになってしまうのではないかという不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。

東京山手メディカルセンターの副院長であり、大腸肛門病センター長の佐原力三郎先生は、の治療に手遅れはないと断言しています。今回は裂肛の手術について解説していただきました。

そうすることで元の柔らかい肛門環境が復元できれば、裂肛自体が自然に治ってくるという考え方です。私たちの体には自然治癒力があり、切れているところは治ろうとしますから、それを妨げているものを取り除くということです。

傷が元通りに治ろうとする働き、すなわち修復機転がまだ間に合ううちにこうした処置ができればよいのですが、慢性化してきたことで今度は器質的な、取り戻せないような変化が起こります。これが肛門ポリープ、あるいは見張り疣(いぼ)と呼ばれるものです。昔は切れ痔だったものが、最近どうも何か飛び出てくる、いぼかな?とおっしゃる方はこのパターンです。

そうすると、いくら内括約筋の緊張を緩めても、いぼはそのまま出たり入ったりする状態が残ります。痛みは取り除いてもまだいぼが出るという状態では、患者さんもすっきりしません。そういった器質的な変化をともなった慢性裂肛に対しては、それを取り除く手術が必要になります。

この状態が続くと、今度は肛門上皮も狭くなってきます。さらに狭窄(きょうさく)化が進むと、手術をしたわけでも注射を打ったわけでもないのに、鉛筆ぐらいの細さになってしまう方がいます。そこまでの状態になると、便が硬いと痛みも出血もよりつらいことが分かっていますから、下剤に頼ることになってしまいます。

下剤に頼れば肛門が開かなくても排泄はできますが、そうすると肛門が拡がるということをしなくなり、切れた部分が治ろうとしてはまた切れるという繰り返しで線維化を起こします。その結果、肛門上皮自体が伸展性のない硬い皮膚になり、どんなに内括約筋の処置をしても開かなくなります。

これを皮膚弁移動術(sliding skin graft)といいます。そういった形成術も加えなくてはならない慢性裂肛、狭窄をともなう慢性裂肛もあるということです。裂肛の病態はさまざまなパターンに分岐していますが、それぞれにあわせて手術治療が準備されています。

別の記事で、は早期発見・早期治療が必要な疾患ではないということ申し上げましたが、この場合は慢性化させないという意味では、早期治療のほうが尾を引かずに済みます。1回切れただけで手術などということはありえません。早期であれば排便のコントロールや痛みのケアをやっていくことでかなりよくなります。保存療法はできるだけ初期のほうが効果も期待できます。

多くの人は1回切れただけでは、せいぜい市販薬を使うぐらいで、専門医には相談に来られないものです。紹介で来られる患者さんの中にはかなりひどくなってから来られる方もいますが、どんなステージであっても治すためのノウハウは持っていますし、できるだけ侵襲や痛みの少ない方法を考えています。もちろん、そのためにはこじらせないに越したことはありませんが、こじらせてしまった場合でも治す方法はあります。どうか安心して相談に来ていただきたいと思います。

私は治療に手遅れはないと思っています。このまま放っておいていいだろうかと葛藤しながら、患者さんはいつか手遅れになってしまうのではないか、「あの時やっておけばよかった」と後悔することになるのではないかという不安を持っています。私は決してそんなことはないということを患者さんに言っています。

いよいよ困ってから治療をしてもよいのです。ただし医師の負担は増えますし、患者さんにとっても手術の種類が変わり、少し侵襲を加えざるを得ない面があります。またそのことによって手術時間や入院期間が長くなることもあります。

根治手術は直ちに行う必要があるわけではなく、間を置いて手術をしても構いません。そう言ってさし上げると、どの程度の期間の入院が必要か、あるいは日帰りでできるのかなど、患者さんもプランが立てやすくなると思うのです。

 

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