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痔とはどんな病気?痔の種類や診療時に行うことについて

痔とはどんな病気?痔の種類や診療時に行うことについて
家田 純郎 先生

医療法人愛知会 家田病院 院長

家田 純郎 先生

目次
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肛門の病気である痔には、大きく分けて「痔核」「痔瘻(じろう)」「切れ痔」の3つがあり、それぞれ原因や症状が異なります。進行すると手術の対象になる痔もあるため、心配な症状があるときは、早めに受診して適切な診断を受けることが大切です。

今回は、3つの痔についてそれぞれの特徴を述べるとともに、痔と間違えやすいほかの病気や、痔の診断方法について、家田病院院長の家田純郎先生にお伺いしました。

痔とはどんな病気?

お尻の代表的な病気である痔には、大きく分けて「痔核」「痔瘻(じろう)」「切れ痔」の3つがあります。それぞれ原因や症状が異なるため、それぞれに適した対処をする必要があります。

たとえば、「痔核」の多くは、お尻に力がかかることが原因で発症します。二足歩行そのものがお尻に負担をかける歩き方ですから、どのような方でも痔の原因を持っているといえます。それが症状として現れ、本人の負担になっているかどうかが、診断の基準となります。

患者さんのなかには、お尻からいぼが大きく飛び出しているにもかかわらず、気にならないという方もいらっしゃいます。患者さんご本人が負担に感じていなければ、はっきりと症状が出ていても、手術を行わないことがあります。反対に、症状が少なくても、患者さんが負担に感じているときは、軽い症状でも手術を行うこともあります。

ただし、患者さんがあまり負担に感じない痔であっても、放っておいてよい痔かどうかをご自身で判断することは難しいものです。気になる症状があれば、まずは医師に相談することが大切です。

いぼ痔(内痔核)とは?

肛門

肛門から何かが飛び出したり、肛門の一部がぽこっと盛り上がったりしているものを、「いぼ痔」といいます。肛門の周囲の皮膚が伸びている状態(肛門皮垂)や、肛門の外側にできた血のかたまりや浮腫(外痔核)なども、いぼ痔に含まれます。

いぼ痔のなかで、手術を行うことがあるケースは主に、肛門の中からスポンジ状の組織が飛び出す「内痔核」といういぼ痔です。お尻の中でクッションの役割を担っている静脈叢(じょうみゃくそう)という組織が、お尻に力がかかったり、血流が悪くなったりして、弱くなってたるみ、肛門から出てくるようになります。

痔瘻(じろう)とは?

肛門2

痔瘻は、お尻の皮膚と腸の境目にあるくぼみに便が入り込み、肛門腺という部分に細菌感染を起こして、(うみ)がたまる感染症です。あな痔とも呼ばれています。

肛門の周囲に膿がたまる「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」の状態が進行すると、膿を排泄するために、瘻管(ろうかん)と呼ばれる膿のトンネルのような管ができます。この状態を「痔瘻」と呼びます。いったんできてしまった瘻管は、膿を排泄したあとも体内に残るため、根本的な治療をするために手術が必要になります。

切れ痔(裂肛(れっこう))とは?

肛門3

切れ痔は、肛門の皮膚部分である肛門上皮に傷がついて、痛みや出血などの症状が出る病気です。裂肛(れっこう)とも呼ばれています。便秘や下痢などの排便異常が原因で起こることが多く、便秘をしやすい女性に多くみられます。

切れ痔は、転んで膝を擦りむいたときのような状態であるため、発症してすぐに手術が必要になるというわけではありません。まずは、お尻を傷つける原因となった排便異常を知り、排便をコントロールすることが大切です。切れ痔の傷は、基本的には自然に治るものですが、薬を使っても治療が難しい難治性の切れ痔については、手術の対象になることがあります。

痔と見分ける必要がある皮膚や腸の病気

皮膚の病気

痔と間違えやすい皮膚の病気には、主に次のようなものがあります。

  • 感染性粉瘤(ふんりゅう)…皮膚に発生する腫瘍の一種「粉瘤」に感染が起こった状態
  • 尖圭(せんけい)コンジローマ…ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によっていぼが生じる病気
  • ヘルペス…単純ヘルペスウイルスの感染によって水ぶくれが生じる病気
  • 膿皮症(のうひしょう)…細菌の感染によって皮膚が化膿する病気の総称

お尻の皮膚に症状がみられる場合、皮膚科と肛門科のどちらを受診するか迷う方も多いと思います。当院では、お尻の病気に広く対応していますので、お尻の症状について迷ったら、まずは肛門科を受診していただければと思います。

腸の病気

痔と間違えやすい腸の病気には、主に次のようなものがあります。

  • IBD…腸の粘膜が炎症を起こし、腹痛や下痢などが続く「潰瘍性大腸炎」や「クローン病」の総称
  • 大腸がん…大腸に発生し、進行すると便秘や下痢、血便などが現れるがん

IBDや大腸がんは腸の病気ですが、お尻に症状がみられることから、最初に肛門科を受診する患者さんは多いです。

痔の診療で行うこと

問診

痔の診療では、初めに行う問診が重要です。症状、生活様式、食事、便の状態、排便にかかる時間や回数、これまでに受けた検査といった質問事項から、患者さんが抱えている病気についてさまざまなことが分かります。たとえば、痔核の症状をお持ちの患者さんなら、痛みがなくて出血している場合は内痔核、痛みがあって出血している場合は外痔核など、ある程度予測することができます。これまで検査を受けたことのない患者さんについては、腸の病気の可能性を考えて、内視鏡などの検査をおすすめしています。

肛門の診察

診察では、肛門の色や形を調べる視診を行います。外側から見ても分からない部分については、肛門鏡という筒状の器具を挿入して観察します。また、肛門の周囲に触れる触診や、肛門から指を入れて直接患部に触れる指診などを行います。

お尻の診察に抵抗のある患者さんは多いかと思いますが、お尻の状態を確認せずに診断することはできません。眼科で目を診たり、歯科で歯を診たりするのと同じように、肛門科でもお尻を診ることは重要です。どうしてもお尻を見せたくないという患者さんもなかにはいらっしゃいますが、患者さんの恥ずかしさが和らぐようにお話ししてご理解いただき、診察は必ず行います。

肛門エコー検査

肛門エコー検査とは、超音波を発する細い器具を肛門から挿入し、内部の状態を調べる検査です。膿がたまっている様子などを画像にして観察できるため、視覚的に分かりやすい方法です。

痔瘻が疑われる場合は、基本的に肛門エコーを実施します。外痔核と痔瘻のように視診だけでは見分けることが難しい痔をしっかり見極めるため、肛門エコーを実施し、血のかたまりと膿のたまりを区別します。

痔のなかには、症状が似ているものでも、手術が必要なものと不要なものがあります。自己判断せずに、病院で検査を受けることが大切です。

下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)

下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)は、レンズのついた細い器具である内視鏡を肛門から挿入し、主に大腸や小腸の一部を観察する検査です。出血量が多い方や、お尻ではなく腸の病気の可能性が考えられる患者さんに対して行うことがあります。

お尻からの出血と、腸からの出血は、外から見ただけでは違いが分かりにくい症状です。とくに、指が届かないところに病気がある場合は、指診では発見できません。問診の内容にもよりますが、がんなどの腸の病気を見逃さないように、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)を行ってがんなどの腸の病気ではないことを確かめてから、お尻の治療に進むこともあります。

また、これまで大腸の検査を受けたことがない患者さんには、1度は受けてみたほうがよいとおすすめすることもあります。

肛門内圧検査

肛門内圧検査は、お尻の筋肉である肛門括約筋(こうもんかつやくきん)のしまり具合を測定する検査です。便が漏れる方や、排便はコントロールできていても切れ痔になりやすい方などは、肛門内圧検査で、肛門括約筋の圧の測定を行っています。

痔瘻の手術を行う患者さんに対して、手術の前後に肛門内圧検査を行い、術前術後の括約筋機能を確認することもあります。

読者へのメッセージ

お尻の病気について適切な診断を受けるためには、症状があるときに受診することが大切です。たとえば、1週間前にお尻から出血したと患者さんがおっしゃられても、診察してみると何も跡が残っておらず、原因がはっきりと分からないことがあります。時間がとれなかったり、受診に抵抗があったりして、なかなか受診できない患者さんもいらっしゃると思いますが、気になる症状があるときは、早めにご相談いただければと思います。