くろーんびょう

クローン病

大腸・小腸

目次

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概要

クローン病とは、口腔内、小腸、大腸など、消化管のいたるところに慢性的な炎症をきたす病気です。潰瘍性大腸炎とならび、代表的な炎症性腸疾患の一つとして知られています。

クローン病は、10歳代後半から20歳代の若年者に好発する病気で、発症年齢のピークは男性が20〜24歳、女性が15〜19歳といわれています。男性と女性の患者比は2:1で 、男性の方がかかりやすい病気です。しかし、2017年現在、性差をきたす原因はわかっていません。

日本における患者数は増加傾向にあります。発症に至る詳細なメカニズムは現在(2017年)も研究段階にありますが、もともと体に備わっている自然免疫系の異常反応によって炎症が引き起こされると考えられています。

 

原因

クローン病の発症メカニズムは、2017年現在、完全にわかっているわけではありません。しかし、遺伝的な要因や環境要因、腸内細菌叢 (ちょうないさんきんそう) の変化などが複雑に絡み合い、異常な免疫応答を引き起こした結果、消化管の炎症が起こると考えられています。

発症率に人種差が認められること、家系内発症する例が認められることなどから、発症に関与する遺伝子の研究が進められてきました。なかでも、自然免疫系に関わる遺伝子が数多く見つかってきていることから、自然免疫系の異常がクローン病発症に深く関わっていることが示唆されています。

環境因子としては、喫煙がクローン病発症のリスクとなり得ることが知られています。また、衛生環境や食生活の影響も指摘されています。世界的にみても、早くから近代化が進んだヨーロッパや北米で患者数が多く認められます。また、日本や中国といったアジアの国においても、西洋の食文化を取り入れるようになって以降、患者数の増加が報告されています。

症状

クローン病の症状は、炎症を起こした部位によって異なりますが、小腸と大腸に好発するといわれています。たとえば、7〜8割の患者さんには、繰り返す腹痛や下痢が認められます。また、小腸で炎症が起きることから、消化吸収の異常による体重減少をはじめ、全身倦怠感(けんたいかん)や食欲不振、発熱、貧血などの全身症状がみられます。

難治性の痔瘻(じろう)や肛門痛などの肛門周辺症状も一般的な症状です。この他、アフタ性口内炎となり口腔内にただれができたり、白目部分に炎症がおきたりすることもあります。炎症による合併症として、腸の穿孔(せんこう)(腸管の壁に穴があくこと)、癒着(ゆちゃく)瘻孔(ろうこう)(皮膚と腸管、腸管と腸管の間などに通り道が出来ること)、狭窄、閉塞などが起こることもあります。

検査・診断

繰り返す腹痛や下痢、発熱、体重減少などの症状からクローン病が疑われる場合には、さまざまな検査が行われます。

血液検査では、貧血や炎症の程度を調べます。また、下部消化管内視鏡 (大腸ファイバー) や注腸X線造影 (大腸バリウム検査) などの消化管検査で、クローン病における特徴的な所見が認められるかどうかを確認します。具体的には、縦に長い縦走潰瘍(かいよう)や石を敷き詰めたような敷石像といった一定の連続性なく広がる潰瘍が認められた場合には、クローン病の可能性が高いといえます。また、腸の狭窄や瘻孔などが認められた場合にも、クローン病の可能性が高いでしょう。

病変の進行をみるために、小腸X線検査や上部消化管内視鏡検査もあわせて行います。この他、腹部造影CT検査や超音波検査などを用いて全身の精密検査を行うことで、腸管の腫れや炎症の程度を調べることができます。

治療

クローン病の治療には、薬物療法や栄養療法などの内科的治療と外科的治療 (手術) があります。2017年現在、完治にいたる治療法は見つかっていないため、症状のコントロールやQOL (生活の質) の向上を目的とした治療が行われます。病変の部位や炎症の程度、合併症の有無などに応じて、薬物療法、栄養療法を組み合わせ、また必要であれば手術による治療が選択されます。

薬物療法

薬物療法では、抗炎症剤  (5-ASA) やステロイド、免疫調整剤などを使用します。近年、研究の進歩に伴い、効果的な薬剤も数多く導入されています。特に、抗TNFα抗体は2002年以降から盛んに用いられるようになりました。免疫機能の低下による副作用のリスクは伴うものの、潰瘍の完全消失をも期待できるようになっています。

栄養療法

栄養療法は、通常の食事量を減らし、栄養剤を摂取する治療法です。この治療では、栄養状態の改善をはかるとともに、腸を休ませることができます。クローン病では、食べ物をきっかけに炎症が引き起こされる場合があると考えられているため、それらを減らすことも目的としています。

手術

この他、腸の狭窄や合併症によっては手術が必要になる場合があります。何らかの外科的治療を必要とする方は、発症後5年で30%、発症後10年で70%前後と報告されています。

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