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クローン病の治療-手術が必要になるときとは
口の中や胃、小腸や大腸など、消化管に炎症をきたす「クローン病」は、薬物療法などの内科的治療とともに、外科的治療(手術)を組み合わせ、症状を抑えながら体の栄養状態を保っていくことが大切です。中国・...
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クローン病の治療-手術が必要になるときとは

公開日 2016 年 01 月 19 日 | 更新日 2018 年 01 月 05 日

クローン病の治療-手術が必要になるときとは
大毛 宏喜 先生

広島大学病院感染症科教授

大毛 宏喜 先生

口の中や胃、小腸や大腸など、消化管に炎症をきたす「クローン病」は、薬物療法などの内科的治療とともに、外科的治療(手術)を組み合わせ、症状を抑えながら体の栄養状態を保っていくことが大切です。中国・四国地方で炎症性腸疾患の手術治療を行える数少ない専門施設である広島大学第一外科の大毛宏喜先生に、手術をした方がよいと考えられるケースについて教えていただきました。

クローン病の治療は内科的治療が中心

潰瘍性大腸炎と同じく、クローン病の治療もまた内科的治療が基本となります。具体的には、次のような薬剤や栄養剤を投与します。

  • 栄養療法(成分栄養剤)
  • 生物学的製剤(抗TNFα抗体)
  • ステロイド
  • 抗炎症剤(5-ASA)
  • 免疫調節剤

しかし、薬剤のみでは治療を継続できない場合があり、そのときには手術による治療を選択します。クローン病と診断された患者さんのうち、何らかの外科的治療を必要とする方は、発症後5年で30%、発症後10年で70%前後と報告されています。

手術を行うのはどんな症状を起こしているとき?

クローン病の手術は、急いで行うべき場合と、緊急性はないものの行った方がよい場合のふたつに分けて考えます。

手術を急ぐ場合

穿孔(腸に穴があく)、大量出血、内科的治療で改善しない腸閉塞(中毒性巨大結腸症)、腫瘍 

緊急性はないものの手術を行った方がいい場合

難治性狭窄・瘻孔形成、難治性の腸管外合併症(発育障害、壊疽性膿皮症など)、難治性肛門病変

この中でも、腹部手術の適応として最も多いのは、腸管の狭窄です。これは、炎症を繰り返すことで腸管が硬くなり、管内が狭まってしまい、食べたものなどの通過に支障をきたすものです。また、炎症が大きくなり、隣り合う臓器や皮膚に穴をつくってしまう「瘻孔(ろうこう)」や、潰瘍からの出血も時に見られます。痔瘻に対する手術が多いことも、クローン病の特徴のひとつです。

クローン病の手術の課題

クローン病の手術は、内科的治療を継続するための補助的な役割を担っています。手術には次のような問題点が挙げられます。

  • 病変がある消化管をskipして(とばして)多発するため、複数箇所の処置が必要な場合がある
  • 切除した消化管と別の消化管に潰瘍などが現れるなどの再発により、再手術が必要になる
  • 手術を繰り返すことで、腸管が短くなり栄養障害をきたす場合がある

また、クローン病では、痔瘻や直腸の炎症により、永久的人工肛門を作る場合があります。たかが痔瘻と放置せずに、肛門周囲に痛みがある時は、早めに主治医に相談して欲しいと思います。手術というと怖いイメージがありますが、クローン病の手術は日常生活に支障をきたすほどの辛い症状を抑えるために行うものですので、私は常に患者さんに対して、「悲観的にならず、前向きに日常生活を送るための手段であると考えてください」とお伝えしています。

 

広島大学医学部卒業後、アメリカのミネソタ大学大腸外科留学等の経験を経て、広島大学病院感染症科教授を務めている。炎症性腸疾患や大腸がんなど、下部消化管疾患の外科的治療に携わる一方で、感染症診療にも力を注いでいる。

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