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クローン病の治療について――​​薬物療法、栄養療法

クローン病の治療について――​​薬物療法、栄養療法
メディカルノート編集部 [医師監修]

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この記事の最終更新は2019年10月07日です。

IBD(炎症性腸疾患)のひとつであるクローン病は、消化器官のさまざまな場所に炎症や潰瘍ができる病気です。根本的な治療法はまだ見つかっていませんが、できるだけ症状を悪化させないよう、治療によって病気の進行を抑えることが重要です。クローン病の治療としては、主に、薬物療法や、栄養療法などを行います。

本記事ではクローン病の治療について解説します。

クローン病の治療では、小腸や大腸、直腸、肛門などに生じた炎症を抑えるために、抗炎症作用のある内服薬を用いることが一般的です。症状が悪化してきたら、より強力に炎症を抑える作用のある、副腎皮質ステロイドを使用します。病気の状態によって適切な薬剤は異なるため、患者さん一人ひとりに合わせた薬剤の組み合わせを検討します。

クローン病の症状が悪化して、内服薬の投与では十分な効果が期待できないことが分かった患者さんには、近年新しく登場してきている生物学的製剤が使割れることが多いです(2019年9月時点)。生物学的製剤は、生物からつくられる物質を応用して製造された薬剤で、バイオ医薬品ともいいます。クローン病の治療で用いる生物学的製剤は、腸の炎症に関与している物質のはたらきを抑える作用があります。

ただし、生物学的製剤は、投与時の副作用が強く出る可能性や、免疫力が低下してB型肝炎帯状疱疹などのさまざまな合併症が起こる可能性があります。患者さんに適した薬剤をよく検討して処方するとともに、合併症が起こっていないかどうか、全身の状態を継続的にチェックしていくことが重要です。

また、通院頻度は患者さんの重症度によって異なります。

クローン病は、内服薬による治療に加えて、栄養療法を行うことがあります。脂肪の多い食品は控えて、栄養剤という高カロリーの液体を飲んで栄養を補うことにより、腸の炎症を抑え、症状の改善が期待できる方法です。

栄養療法の方法には、専用のチューブを鼻から挿入して寝ている間に栄養剤を摂取する方法があります。この治療をきちんと続ければ、クローン病の症状の改善が期待できることが知られています。

鼻から摂取することが苦手な場合は、ボトルタイプのものを経口摂取する方法も可能です。食事を減らした分、栄養剤に置き換えて摂取することで、腸の負担を減らすことにつながります。ただし、味やにおいが独特なので、フルーツなどの味をつけられるフレーバーを加えたり、ムースやゼリーにして食べたりと、工夫して続けている方もいらっしゃいます。

クローン病と診断されたら、栄養療法の具体的な方法や注意事項などをしっかり覚えていただくことがまずは重要だといえます。症状が重くなってから急に食生活を変えるのは難しいことですが、早いうちに覚えておけば、栄養療法をスムーズに受け入れやすくなるからです。

とくに10代の患者さんは、周りの友達に合わせて食べすぎてしまうこともあり、栄養療法をきちんと続けるのは難しい年代だと思います。また、独り暮らしを始めたことをきっかけに食生活が乱れ、症状が悪化してしまうことも考えられます。しかし、10代のうちに栄養療法を覚えておくことで、30代や40代になってから「やはり栄養療法を頑張らなくてはいけない」「もう1回、試してみよう」と考えて治療を行うことができます。

クローン病は、基本的には命に関わる病気ではありません。しかし、病気が完全に治癒することはありません。病気が進行すると、腸閉塞(ちょうへいそく)などの重い合併症を発症し、手術が必要になる可能性があります。クローン病にかかっている年月が長くなると、大腸がんを発症する方もいらっしゃいます。クローン病は、できるだけ症状を悪化させないように、病気の進行を抑えることが重要です。

しかし、クローン病の患者さんの中には、病気をあまり深刻にとらえず、調子がよいときは治療をやめてしまう方もいらっしゃるようです。調子がよいときほど、きちんと通院を続けることが大切です。

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