炎症性腸疾患とは、長期にわたり消化管に原因不明の炎症や潰瘍を生じ、出血、下痢、体重減少、発熱などのさまざまな症状をおこす病気の総称です。炎症性腸疾患は、主に潰瘍性大腸炎とクローン病の2つを指します。本記事では、潰瘍性大腸炎とクローン病の症状、検査などについて、解説します。
炎症性腸疾患とは、長期にわたり消化管に炎症、潰瘍を生じ、出血、下痢、体重減少、発熱などの症状をおこす病気のうち、感染症など原因がわかっているものを除いたものの総称です。
炎症性腸疾患は、主に潰瘍性大腸炎とクローン病という2つの疾患を指します。
潰瘍性大腸炎では主に大腸のみが、クローン病では小腸、大腸、肛門をはじめとする消化管のさまざまな部位が侵されます。
潰瘍性大腸炎は、30歳以下の成人に多くみられますが、小児や50歳以上でも発症する可能性があります。日本における潰瘍性大腸炎の患者数は、170,781人注1であり、徐々に増加しています。一方、クローン病は10歳代〜20歳代の若年者での発症が多く、日本における患者数は40,885人注2であり、増加の傾向がみられます。
注1・・・2014年度の特定疾患医療受給者証所持者数(出典:難病情報センター)
注2・・・2014年度の特定疾患医療受給者証所持者数(出典:難病情報センター)
炎症性腸疾患の発症には、遺伝要因、食事、腸内細菌、免疫などが複合して関与していると考えられており、ひとつの原因で説明することはできません。
遺伝的素因をもつ方が、腸内細菌やほかの物質に対して異常・過剰な免疫反応を起こした結果、発症すると考えられており、詳しいメカニズムについては、現在も解明が進められています。
そもそも、腸の中は口から入って肛門へ抜ける1本道で、外界と連続した空間の延長です。そのため、おびただしい数の腸内細菌や飲食物由来の多くの物質が入っており、それらが粘膜という非常に薄い層で体内と隔てられています。
そのような異物に対し、無害なものは排除せず、有害なものに対しては静かに防御・排除するという高度で複雑なプロセスが、腸粘膜では普段から行われているのです。これを腸管免疫といいます。
ほんのわずかに腸管免疫のバランスが崩れると、本来有害なものに対して発動されるべき排除反応が自己の細胞に対して発動される、あるいは過剰な反応が起きることで、自らを傷つけてしまうと考えられています。
便が軟らかくなり、排便の回数が増えていき、さらには便に血液が混じる(血便)ようになっていきます。夜間眠っているときに便意で目覚めたり、排便後にもまだ便が出し切れていないような感じがしたりすることもあります。
さらに病状が進むと、発熱や腹痛、体重減少、貧血などの症状が起こることがあります。潰瘍性大腸炎では、「今月の初めころから……」など、患者さんご自身で発症時期がはっきりとわかることも比較的多いといわれています。
比較的多くみられる症状は、腹痛や下痢、体重減少です。腸の病変の発見より先に、肛門病変、特に治りにくい痔瘻がみられることもよくあります。また、発熱、血便、倦怠感、貧血などもしばしば現れます。
クローン病では腸に深い潰瘍(粘膜の一部にできる組織欠損)が慢性的に続き、その結果、腸が変形して狭窄(狭くなる)、瘻孔(腸の潰瘍の穴がほかの腸の部位などとつながってしまう)、膿瘍(膿がたまる)などの問題を起こすことがあります。腸管が狭窄している部分で内容物が通過困難となり、腸閉塞状態となって腹痛・嘔吐で救急搬送されるケースもみられます。
クローン病の症状は患者さんによりさまざまで、腸に病変があってもたいした自覚症状がないまま数年間経過していた、といったこともまれではありません。健康診断の血液検査で、重い貧血や栄養不良、炎症反応などが指摘され、よくよく聞いてみると「そういえば、2年ほど前からときどき腹痛があった」というケースもみられます。
潰瘍性大腸炎の診断は、症状の経過と病歴などを確認することから始まります。
発症間もない場合、血性下痢を引き起こす感染症などと区別することが重要です。必要に応じて、下痢の原因となる感染症(細菌、ウイルスなど)を検査します。
下痢が2〜3週間以上おさまらない場合は、潰瘍性大腸炎の可能性を考え、内視鏡やX線による大腸検査を行います。この検査で炎症や潰瘍の形態、病変の範囲を調べ、大腸粘膜の一部を採取して病理診断を行うこともあります。
診断確定後はたびたび大腸検査をする必要はありません。しかし、特に炎症が重度で病変範囲が広かった場合は、発症後10年、20年以上経過してから悪性度の高い大腸がんが発生することがあるため、がんの早期発見という観点から検査を行うことがあります。
腹痛、体重減少、肛門病変、下痢・血便などの症状や、貧血・炎症反応・低栄養などの血液検査の異常からクローン病を疑うことが、診断の第1歩となります。そして、画像検査や病理検査を行い、特徴的な所見が認められた場合、クローン病と診断されます。
画像検査としては、大腸内視鏡、上部消化管内視鏡、小腸内視鏡、小腸造影、CT、MRIなどを行います。また、肛門病変の所見や、内視鏡検査や手術の際に採取される検体の病理検査の所見も診断に役立てられます。
一般的には、小腸の病変の評価にはカプセル内視鏡が有用です。しかし、クローン病の場合は腸の狭窄が多く、カプセルが引っかかって出てこなくなってしまう恐れがあるため、実施するかどうかは専門の医師による慎重な判断が必要になります。
周辺で潰瘍性大腸炎の実績がある医師
久我山駅前メディカルクリニック 院長
医療法人インテグレス 新橋消化器内科・泌尿器科クリニック 理事長
胃・大腸カメラを“眠ったまま”で、消化器と泌尿器の症状を幅広く診療
新橋消化器内科・泌尿器科クリニック(東京都港区新橋1丁目11-5 コルティーレ銀座ビル 7F 8F:JR・東京メトロ・都営線・ゆりかもめ「新橋」駅 徒歩1分)の病院ページ。
泌尿器科、消化器内科、内科
東京都港区新橋1丁目11-5 コルティーレ銀座ビル 7F 8F
JR東海道本線(東京~熱海)・JR山手線・JR京浜東北線・JR横須賀線・東京メトロ銀座線・都営浅草線・ゆりかもめ「新橋駅」 徒歩1分
河北総合病院 消化器内視鏡診断・治療科部長、消化器内科 副部長
内科、循環器内科、呼吸器内科、消化器内科、神経内科、リウマチ科、リハビリテーション科、小児科、外科、呼吸器外科、心臓血管外科、脳神経外科、整形外科、耳鼻咽喉科、泌尿器科、眼科、皮膚科、放射線科、麻酔科、糖尿病・内分泌・代謝内科、腎臓内科、消化器外科、病理診断科、臨床検査科、救急科、感染症内科、血液内科、精神科、産科、婦人科、乳腺外科、小児アレルギー科、形成外科、美容外科、脳神経内科、頭頸部外科、放射線腫瘍科、疼痛緩和内科、血液外科
東京都杉並区阿佐谷北1丁目7-3
JR中央線(快速)「阿佐ケ谷」 徒歩5分、東京メトロ丸ノ内線「南阿佐ケ谷」 徒歩15分
東京女子医科大学病院 病院長、消化器・一般外科 主務/教授、炎症性腸疾患外科学分野 基幹分野長
内科、血液内科、膠原病リウマチ内科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、消化器内科、内視鏡内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、人工透析内科、脳神経内科、内分泌外科、放射線診断科、精神神経科、総合診療科、病理診断科
東京都新宿区河田町8-1
都営大江戸線「若松河田」若松口 徒歩5分、都営大江戸線「牛込柳町」西口 徒歩8分、都営新宿線「曙橋」A2出口 徒歩12分
総合東京病院 消化器疾患センター長
内科、血液内科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、ペインクリニック科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、代謝内科、脳神経内科、血管外科、放射線診断科、放射線治療科
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都営大江戸線「新江古田」 徒歩10分、西武新宿線「沼袋」 徒歩15分、JR中央・総武線「中野」関東バス 中27 総合東京病院下車すぐ 京王バス 中92 浄風園前下車 徒歩3分 バス
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大至急お願いします。
大至急お願いします。 1月末頃からお腹全体移動する腹痛があります。腹痛には、波があり痛くない時もあるのですが、大体毎日腹痛になります。 我慢できないほどの腹痛とまではいかないのです が、喉のつかえ吐き気を伴う事もあります。食欲はあまりありませんが食べれないほどではないので毎日ご飯食べて、ほぼ毎日便もでていてほんの少し細めな便です。歩いたりすると響く事ものなく普通に歩けます。今失業中のためほとんど布団の上でゴロゴロしてしまってる状態です。お腹が痛い事もあって余計に布団にこもった状態です。 先日あまりに腹痛が治まらないため病院で血液検査、尿検査、エコー検査をしてもらったところ結果少しコレステロールが少し高いのと栄養不足と言われてこれと言って問題ないと医者に言われました。とりあいず、胃薬と整腸剤を2週間処方されました。今のところ原因不明です。でも痛みが治まらない状態で困っています…もっと詳しく検査した方がいいでしょうか?ストレスが原因でずっと腹痛とかありえますか?元々寝付きが悪いので内科でデパス0.5とサイレース2mgを飲んでいますが大体寝るは3時頃寝て6時頃起きてまた8時過ぎぐらいまで寝るといった感じです。 前は精神科に通院していたのですが、薬の副作用がでたり医者と相性が合わなかったため精神科にいくのをやめました! ほんと毎日腹痛で困っています。 この症状潰瘍性大腸炎の可能性ありますか? 前にも質問させていただいたのですが… お腹痛くて困ってます。 長文ですみます。
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