きょだいけっちょうしょう

巨大結腸症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

巨大結腸症とは、結腸(大腸)の神経の異常や何らかの炎症性疾患などの病気が原因となって、結腸の蠕動(ぜんどう)運動が正常に行われず、腸が大きく膨らむ病気のことです。

結腸は、胃、十二指腸、小腸を通過して消化された食べ物から水分や電解質を吸収して便を作るはたらきをしています。約1.6mの管状構造で、腹部を囲むように、盲腸から上行結腸につながり、横行結腸、下行結腸、S状結腸となって、直腸へつながります。

水分を吸収されて固形物となった便は、結腸の蠕動運動によって直腸に運ばれ、排便に至ります。蠕動運動は結腸の大切なはたらきですが、何らかの原因でこの蠕動運動が低下すると、結腸内に多くの内容物や空気が停滞した状態となります。

結腸は通常、蠕動運動を行うことで狭く縮まった形状をしていますが、非常に進展性のある臓器であるため、内容物や空気の停滞によって大きく膨らむことがあります。

原因

巨大結腸症には先天性のものと後天性のものがあります。

先天性巨大結腸症

先天性の巨大結腸症はヒルシュスプルング病ともいいます。生まれつき、RET遺伝子の機能が喪失しているために、結腸の蠕動運動に必要な神経細胞が欠損した状態であることが原因であると考えられています。神経細胞が欠損した部分では結腸は極端に細くなり、それより口側の結腸が巨大化します。

後天性巨大結腸症

生まれつきではなく、何らかの病気が原因となって発症する「症候性巨大結腸症」と、原因がわからない「特発性巨大結腸症」に分けられます。

症候性巨大結腸症

幼児期では心因性のものが多いです。成人では、原因となる病気として、

  • 心臓病
  • 筋肉や神経の病気
  • 膠原病
  • 代謝異常
  • 感染症
  • 外傷

などが挙げられます。向精神薬の長期投与によって結腸の神経細胞のはたらきが悪くなることで発症することもあります。

これらの状態は腸閉塞を引き起こし、結果として巨大結腸症を発症します。結腸の炎症や神経の異常により蠕動運動が正常に行われず、内容物が腸内に停滞することで結腸内が物理的に閉塞された状態となります(機械的腸閉塞)。

一方、結腸に機械的な閉塞がないにもかかわらず、蠕動運動が行われずに腸閉塞に似た症状を起こす偽性腸閉塞も巨大結腸の原因となりえます。

中毒性巨大結腸症

潰瘍性大腸炎や感染症、結腸のバリウム検査や内視鏡検査などの医療的な操作により中毒性巨大結腸症が引き起こされることがあります。全身に中毒症状を現す非常に重篤な状態で、一般的な症候性巨大結腸症とは区別して考えられています。

明確な発症のメカニズムは解明されていませんが、結腸粘膜の炎症が筋層にまで達し、炎症反応で産生される物質のひとつである一酸化窒素が結腸の蠕動運動を行う筋肉を弛緩することが原因との説があります。

特発性巨大結腸症

原因は不明とされています。結腸の蠕動運動が障害されるような原因がなく、結腸の神経細胞も正常なケースでは特発性と診断されます。

症状

下記のような症状が現れることがあります。

先天性巨大結腸症

新生児期や乳児期から便秘が生じ、腸管内に大量のガスが溜まることで腹部が大きく膨れるのが特徴です。重症の場合には、腸管が過度に伸展することで血行が悪くなり、壊死を生じたり、腸管に穴が開いたりすることも少なくありません。

後天性巨大結腸症

症候性巨大結腸症

高度な腹部膨満と腹痛、嘔吐が生じます。また、水分を吸収する大腸が正常にはたらかなくなるため、脱水症状に陥ることもあります。重症な場合には、盲腸になったり、右側の大腸に穴が開いたりすることもあります。

中毒性巨大結腸症

腹部膨満や腹痛、嘔吐とともに発熱や脱水、神経症状を伴うのが特徴です。

 

検査・診断

もっとも簡便に行える検査はレントゲン検査であり、結腸内の異常なガスの貯留と結腸の拡張が確認できます。レントゲン検査で巨大結腸症が疑われた場合には、CTやMRIなどの画像検査、注腸造影検査、大腸カメラ(中毒性巨大結腸症が疑われる場合には禁忌)などが行われ、腸の拡張の程度や結腸内の閉塞の有無などが詳しく評価されます。

また、炎症反応や脱水状態を調べるために血液検査が行われます。症候性の場合には、原因となる病気に対する検査も並行して行われ、治療方針を決定していきます。

先天性が疑われる場合には、肛門括約筋の弛緩反射を調べるための直腸肛門内圧測定検査や、直腸の粘膜の一部を採取して顕微鏡で観察する病理検査が行われます。

治療

下記のような治療が行われます。

先天性巨大結腸症

手術によって神経細胞が欠損した腸管を取り除くしかありません。体への負担を軽減するために腹腔鏡での手術や、肛門から器具を入れて腸管を切除する方法などが広く行われるようになっています。

後天性巨大結腸症

症候性巨大結腸症

原因となる病気の治療が優先的に行われますが、巨大結腸症による症状改善のために、肛門から減圧チューブを挿入して巨大化した結腸内に貯留した便や空気を排出する治療が行われることもあります。

中毒性巨大結腸症

腸管の安静を維持するために絶食が必要となり、輸液による管理が行われます。原因となる病気が感染症の場合には抗菌薬投与、潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患であればステロイド投与など、原因となる病気の管理も慎重に行われていきます。しかし、これらの治療を行っても悪化がみられた場合には、手術で巨大化した結腸を切除する治療が行われます。

 

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