原因
巨大結腸症には先天性のものと後天性のものがあります。
先天性巨大結腸症
先天性の巨大結腸症はヒルシュスプルング病ともいいます。生まれつき、RET遺伝子の機能が喪失しているために、結腸の蠕動運動に必要な神経細胞が欠損した状態であることが原因であると考えられています。神経細胞が欠損した部分では結腸は極端に細くなり、それより口側の結腸が巨大化します。
後天性巨大結腸症
生まれつきではなく、何らかの病気が原因となって発症する「症候性巨大結腸症」と、原因がわからない「特発性巨大結腸症」に分けられます。
症候性巨大結腸症
幼児期では心因性のものが多いです。成人では、原因となる病気として、
などが挙げられます。向精神薬の長期投与によって結腸の神経細胞のはたらきが悪くなることで発症することもあります。
これらの状態は腸閉塞を引き起こし、結果として巨大結腸症を発症します。結腸の炎症や神経の異常により蠕動運動が正常に行われず、内容物が腸内に停滞することで結腸内が物理的に閉塞された状態となります(機械的腸閉塞)。
一方、結腸に機械的な閉塞がないにもかかわらず、蠕動運動が行われずに腸閉塞に似た症状を起こす偽性腸閉塞も巨大結腸の原因となりえます。
中毒性巨大結腸症
潰瘍性大腸炎や感染症、結腸のバリウム検査や内視鏡検査などの医療的な操作により中毒性巨大結腸症が引き起こされることがあります。全身に中毒症状を現す非常に重篤な状態で、一般的な症候性巨大結腸症とは区別して考えられています。
明確な発症のメカニズムは解明されていませんが、結腸粘膜の炎症が筋層にまで達し、炎症反応で産生される物質のひとつである一酸化窒素が結腸の蠕動運動を行う筋肉を弛緩することが原因との説があります。
特発性巨大結腸症
原因は不明とされています。結腸の蠕動運動が障害されるような原因がなく、結腸の神経細胞も正常なケースでは特発性と診断されます。
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