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編集部記事

なぜ新型コロナウイルス感染症では緊急事態宣言が出されたのか〜パンデミックとオーバーシュートの違い〜

なぜ新型コロナウイルス感染症では緊急事態宣言が出されたのか〜パンデミックとオーバーシュートの違い〜
大毛 宏喜 先生

広島大学病院感染症科教授

大毛 宏喜 先生

目次
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新型コロナウイルス感染症とは、2019年12月に中国湖北省武漢市で報告され、以後世界各地に感染拡大した感染症です。2020年3月11日には、世界保健機構(WHO)がパンデミック宣言を行い、全世界に注意喚起を促しました。

新型コロナウイルス感染症の情報では、“パンデミック”“オーバーシュート”など聞き慣れない単語が多々ありますが、これらは何を意味するのでしょうか。本記事では、パンデミックとは何か、感染拡大を防ぐために日本国内でどのようなことが行われているのかについてお伝えします。

パンデミックとは、感染症が世界的に大流行することをいいます。世界保健機構(WHO)では、2020年3月11日に新型コロナウイルス感染症の流行をパンデミックと見なすことが表明されました。WHOが感染症のパンデミックを認定するのは、2009年に流行した新型インフルエンザ以来11年ぶりのことです。

パンデミック宣言が出される基準は感染症の種類や状況によっても異なりますが、2009年にWHOから発表された“WHOパンデミック インフルエンザ フェーズ”によれば、2か国以上で人から人への感染拡大を起こし、少なくとも1か国で街中でのアウトブレイク*が生じていることとなっています。

*アウトブレイク:ある期間に同一の地域・施設などで、高頻度に特定の感染症が認められること

今回、新型コロナウイルス感染症がパンデミックと見なされた理由としては、はじめにウイルスが報告された中国だけでなく、ヨーロッパ、アメリカなど数多くの国で感染者数が急増しており、今後も感染拡大が懸念されているためだと考えられます。

オーバーシュートとは、感染症にかかる患者の数が爆発的に急増することをいいます。具体的には、累計患者数が2〜3日で倍増した場合、オーバーシュートと考えられます。

新型コロナウイルス感染症では、潜伏期間が長い(1〜14日)、無症状や軽い症状の人も多いということから、クラスター(患者同士の関連が認められた集団)を特定することが困難です。自覚症状がなく日常生活を送っている人もいるため、実際のところどれくらいの人がこのウイルスに感染しているのか、正確には分かりません。そのため、パンデミックとなり、感染経路の特定が難しくなった今、ウイルスに感染しているがまだ潜伏期間中の人、無症状や軽い症状の人などが出歩くことで、知らないうちにさらなる感染拡大が生じ、オーバーシュートに陥る危険性が懸念されています。

オーバーシュートになると、その地域では、患者の数に対して提供できる医療の量が足りなくなる“医療崩壊”が生じる可能性があります。医療崩壊が生じると、新型コロナウイルス感染症の患者だけでなく、ほかの病気やけがなどによって医療が必要となる人にも行き渡らなくなってしまいます。そのため、日頃であれば医療で救うことができたはずの命が救えないという危険性が生じます。

実際、新型コロナウイルスによってオーバーシュートに陥ったイタリアやスペイン、フランスでは、医療崩壊が生じ、多くの命が失われています。そのため、これ以上の感染拡大を防ぐ対策として、都市封鎖、強制的な外出禁止などの“ロックダウン”措置が取られています。

日本では、2020年4月28日現在、都市部を中心に患者の増加はみられるものの、まだオーバーシュートには至っていません。しかし、今後オーバーシュートに陥る危険性は十分考えられるため、引き続き感染拡大を防止する対策を行う必要があるといえます。

現在、日本国内では、新型コロナウイルス感染症のパンデミック対策として以下のようなことが行われています。

日本では2020年4月7日〜5月6日の期間において、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・大阪府・兵庫県・福岡県の7都道府県に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を発し、国民へ以下のことを呼びかけています。

国民が行うパンデミック対策

  • 不要不急の外出は避ける(テレワークへの移行など)
  • 密閉・密集・密接、いわゆる“三つの密”の回避
  • 帰省・旅行など都道府県をまたいだ移動を控える
  • 手洗い・咳エチケットなど感染症予防の徹底

医療機関では、医療機関内での感染拡大を防止するため、新型コロナウイルスが疑われる患者に対し、直接病院を受診するのではなく、まずは帰国者・接触者相談センターへの電話での問い合わせをするように呼びかけています。以下のような症状が見られる場合、直接病院を受診するのではなく、まずは電話で相談し、係員の指示にしたがいましょう。

帰国者・接触者相談センターに相談するタイミング

  • 37.5℃以上の発熱や風邪の症状が4日以上継続している
  • 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある

※高齢者や基礎疾患などのある人は、風邪の症状や37.5℃以上の発熱が2日程度続く場合、または強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合。
妊娠中の人も念のため、気になる症状があった場合は早めに相談するようにしましょう。

また、医療従事者が新型コロナウイルスに感染することのないよう、検査時や診療時など新型コロナウイルス感染症の疑いのある患者と関わる際は、医療従事者のマスク・ゴーグル・ガウン・手袋の着用が義務付けられています。

今回出された新型コロナウイルス緊急事態宣言は、諸外国で行われるロックダウン(都市封鎖)とは異なります。ロックダウンでは、外出は禁止となり、破れば罰則を伴うこともあります。また、公共の交通手段は遮断されており、人の移動が大きく制限されます。

一方、日本では、外出の回数を減らし、人と会うことを控える必要はあるものの、以下のような場合には、感染症対策を徹底したうえで、外出してよいということになっています。

外出可能なケース

  • 医療機関への通院
  • 生活必需品の買い出し
  • 職場への出勤
  • 屋外での散歩・運動 など

また、緊急事態宣言に伴い、物流が滞り、食糧など生活必需品が手に入らなくなることを懸念する人もいますが、物流が止まることはないため、買い物は必要量にとどめることを意識しましょう。

パンデミックが認められた新型コロナウイルス感染症では、今後患者数が急増するオーバーシュートを起こすことにより、医療崩壊が生じ、多くの人の命を助けることが困難になる恐れがあります。そのため、国内のオーバーシュートを防ぐためにも、行政・医療機関の指示にしたがって一人ひとりが感染症予防をしっかり行い、感染拡大を防ぐことを心がけましょう。

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