新型コロナウイルス感染症にかかった人のなかでも軽症者や無症状者は、自宅療養または宿泊療養が原則となることが発表されました。しかし、間違った方法で自宅療養を行ってしまうと症状が悪化するだけでなく、一緒に住んでいる家族など同居人への感染拡大を招く可能性もあります。ここでは、特に自宅療養の場合に家庭内でどのように過ごせばよいのかについて注意点などを解説します。
医師または保健所などから自宅療養を指示された場合に具体的にどのように過ごせばよいのか、感染者本人の健康管理・過ごし方の二つの観点から解説します。
自宅療養中は常に自分の健康状態を把握しておくことが大切です。検温をして発熱があるかどうかの確認はもちろんのこと、咳、鼻水、倦怠感(だるさ)、息苦しさなどの症状がないかを自分で確認しましょう。
自宅療養中は保健所(または保健所から依頼された方)から1日に1回、体温、咳、鼻水、倦怠感、息苦しさなどの健康状態を質問され、自分の健康状態を報告する必要があります。こうした報告は症状の状況に応じて回数が増えることもあります。なお、自宅療養中に症状が変化した場合には、あらかじめ保健所から伝えられている相談先へ我慢することなく速やかに連絡しましょう。状況に応じて相談先が医師・看護師などの医療従事者や医療機関との調整といった対応をしてくれます。
自宅療養中は外出することができません。感染者本人が外出することで周囲の人々に感染を広げてしまう可能性があるため、自宅待機が必要です。自宅待機の解除については地域の医療体制の状況によって異なるので保健所に確認するようにしましょう。
感染者が療養する部屋と同居している人がいる部屋を可能な限り分けましょう。感染者は極力部屋から出ないようにして、人との接触を減らすことが大切です。洗面所やトイレなども感染者用の物を用意することがすすめられますが、共用する場合は清掃と換気を十分に行い、入浴は最後に行うようにしましょう。なお、シーツ類、歯ブラシ、タオルなどの身の回りの物は共用しないようにしましょう。感染者からのゴミは、密閉して捨てることで感染予防になります。
新型コロナウイルス感染症のさらなる感染拡大を防ぐために、家族などの同居人が気を付けるべきことを解説します。
部屋の出入りの際はサージカルマスクなどを着用し、必ず手指を消毒するように心掛けましょう。感染者本人だけではなくケアを行う人もマスクなどの感染予防を行うことが重要です。
外部からの不要不急な訪問者は受け入れないようにしましょう。訪問者から感染するリスクがあるのはもちろんのこと、訪問者に対して感染を広げてしまう可能性もあります。
感染者のケアは、感染拡大を防ぐために特定の人が担当するようにしましょう。ただし、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患〈慢性閉塞性肺疾患など〉など)のある人や高齢者は感染した際に重症化するリスクが高いため、感染者のケアは避けてください。重症化するリスクが高い人(高齢者、基礎疾患がある人、透析を受けている人、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている人、妊娠中の人など)と同居している場合は、保健所に相談して自宅療養ではなく入院またはホテルなどへの宿泊療養を検討しましょう。
取っ手やドアノブなど、ほかの人と共用する部分はアルコールや薄めた漂白剤で消毒しましょう。また、感染者が触れる物の表面も、1日1回以上アルコールや薄めた漂白剤で拭き取ることが大切です。
食事をする際は感染者とそれ以外の同居人とは別室で行うことが推奨されます。その際に出たゴミは密封し、食器や箸、スプーンなどは通常の洗浄を行い、しっかりと乾かしましょう。
洗濯や食後の食器を感染者と同居人で別洗いする必要はありません。しかし、洗浄前の物を一緒に使うようなことは感染のリスクがあるため避けましょう。また、新型コロナウイルス感染症は糞便から検出されることもあります。体液などで汚れた衣服を取り扱う際は手袋・マスクをし、洗濯機で洗濯したうえで完全に乾かしましょう。
自宅療養の指示があった場合でも症状が現れてから14日間が経過しており、かつ発熱などの症状が軽快してから72時間が経過していれば、療養を終了させることができます。ただし、高齢者や基礎疾患がある人など重症化するリスク要因がある場合には、自宅療養が延期される可能性もあります。また無症状者の場合には、検査用の検体を採取した日から14日経過すれば療養を終了させることができます。
自宅療養の終了後4週間は毎日体温測定を行い、健康管理をしながら生活を送るようにしましょう。
重症化したときの早期発見のためや感染拡大を防ぐために、感染者と家族それぞれが注意点を守って療養することが非常に大切です。また、感染者本人の症状に変化が現れた場合は、命を守るためにも遠慮せずに保健所などへ連絡するようにしましょう。
医療法人社団ときわ 理事長、医療法人社団ときわ 赤羽在宅クリニック 院長
2008年、東京大学医学部卒業。卒業後の2年間の研修医生活のなかで多くの矛盾や課題を発見したことがきっかけで、初期臨床研修終了後は医療制度・政策を研究するためすぐに東京大学大学院に進学し、公衆衛生学を学ぶ。在宅医療には大学院生時代のアルバイトから携わる。医療の矛盾や課題は、在宅医療という形でも解決できると考え、以後、在宅医療を専門とする診療所で院長として診療に従事。約300名の主治医として、患者さんに寄り添った診療を提供。より質の高い在宅医療を多くの方に提供するため、2016年9月に在宅医療を専門とする「赤羽在宅クリニック」を開業し、日々診療に邁進している。
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