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アナフィラキシーが起きる可能性はどれくらい? 〜1分で分かる新型コロナワクチンの基本〜

アナフィラキシーが起きる可能性はどれくらい? 〜1分で分かる新型コロナワクチンの基本〜
木下 喬弘 先生

CoV-Navi(こびナビ) 副代表

木下 喬弘 先生

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この新型コロナウイルス感染症に関する記事の最終更新は2021年03月12日です。最新の情報については、厚生労働省などのホームページをご参照ください。

新型コロナワクチンを接種した人の中からアナフィラキシーが起こったことが報告されました。アナフィラキシーとは、薬剤や食品が体内に入ったことにより、短時間で全身に現れるアレルギー症状のことで、新型コロナワクチンに限らずほかの薬剤でも起きる可能性があります。では、アナフィラキシーはどのくらいの確率で起こるのでしょうか。また、起こった場合はどのような対応が行われるのでしょうか。

アナフィラキシー が起きる確率

米国の報告によると、ファイザー社の新型コロナワクチンによってアナフィラキシーが起こった数は、994万3,247回の接種が行われたうち50例です。つまり、発生率は100万回あたり5人の頻度でアナフィラキシーが起こる可能性があるということになります(2021年1月18日時点)。

インフルエンザワクチンの発生頻度の100万人あたり1.3人と比べると多いといえますが、ほかのものと比べて特に多く起きているわけではありません。

日本では、2021年3月11日現在約18万回新型コロナワクチンが接種され、37例にアナフィラキシーが起こったことが報告されています。しかし、これらの報告は米国で使用されているBrighton Collaborationの報告基準と異なる可能性が指摘されており、現時点で日本の頻度が他国より多いかどうかは十分な評価ができていません。今後専門家による検証が行われ、あらためて発表される見込みです。

新型コロナワクチンアナフィラキシーが起こった場合、その74%が15分以内、90%が30分以内で何らかのアレルギー症状が突然現れます。たとえば、蕁麻疹(じんましん)などの皮膚症状、お腹の痛みや吐き気などの消化器症状、咳や息苦しさなどの呼吸器症状などがあります。

ただし、発症した人は若い年代に多いほか、80%は以前に別のものが原因でアレルギー症状があった人であることが分かっています。そのため、アレルギーを持っている人は注意が必要であり、厚生労働省では過去にアナフィラキシーを含む重いアレルギー症状を起こしたことがある人、採血などで気分が悪くなったり、気を失ったりしたことがある人は、接種後30分ほどは接種会場または医療機関で待機して様子を見るように呼びかけています。また、これに該当しない人の場合も、万一に備えて接種後15分以上は接種会場または医療機関で様子を見るようにすることが大切です。

接種会場や医療機関では、アナフィラキシーが起こり得る可能性に備えて、処置に必要な薬剤や物品などが常に準備されています。

もしアナフィラキシーが起こった場合は、アドレナリンという薬を筋肉に注射して治療を行います。その後、アレルギー症状を軽くするためにほかの薬を用いることもあります。このような適切な対応が行われたことにより、2021年3月1日時点で新型コロナワクチンによるアナフィラキシーが起こった人の全員が回復しています。

ほかにも、アナフィラキシーが起きるリスクを減らすため、さまざまな工夫や対策などを行い、万全な体制を整えています。

新型コロナワクチンによってアナフィラキシーが起こる確率はゼロではありませんが、その頻度はほかの薬剤と比べて特別多い数字ではないということを覚えておきましょう。

また、接種会場や医療機関では、万一起こり得るアナフィラキシーに備えた体制を整えているほか、接種前には有効性や安全性などについて十分に説明をしてくれます。そのうえで不安や疑問がある場合は接種会場や医療機関のスタッフや医師に質問するようにしましょう。

参考文献

Vaccine. 2007;25:5675-5684.

COVID-19 vaccine safety update. Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) January 27, 2021

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