じんましん

蕁麻疹

最終更新日:
2024年04月15日
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2024/04/15
更新しました
2020/09/28
更新しました
2017/04/25
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概要

蕁麻疹とは、皮膚の一部に膨疹(ぼうしん)と呼ばれる少し膨らんだ発疹が現れる病気です。食物やストレスをきっかけに発症するものもありますが、原因を特定できないケースも多いといわれています。

蕁麻疹は多くの場合、数時間から数日中に軽快します。しかし、中には慢性的に経過することもあり(慢性蕁麻疹)、そのうち原因が特定できないものを慢性特発性蕁麻疹といいます。

また、アナフィラキシーショックと呼ばれる非常に重いアレルギー反応の1つとして、蕁麻疹が現れることもあります。アナフィラキシーショックは命に関わる可能性もあるため、早急に医療機関を受診して迅速な対応が必要です。

原因

蕁麻疹は、マスト細胞を代表とする皮膚に存在する細胞から、ヒスタミンなどかゆみやむくみを誘導する成分が分泌されることで発症します。人によっては、卵や牛乳、小麦、蕎麦、甲殻類などの食物に含まれるアレルゲンがマスト細胞を活性化させることもあります。なお、特定の食物を摂取した後に運動することで蕁麻疹やアナフィラキシーが誘発される“食物依存性運動誘発アナフィラキシー”というアレルギー反応もあります。

食べ物のほか、蕁麻疹を誘発する原因としては以下が挙げられます。

このほか、遺伝的な要素により生じることもあります。遺伝的な要素で発症する蕁麻疹は血管性浮腫と呼ばれる眼瞼(がんけん)や口まわりの粘膜の浮腫(ふしゅ)を伴うことが多いといわれています。

このように蕁麻疹を引き起こす原因は多岐にわたりますが、原因不明の場合も多くあります。

症状

急激に発症する膨疹が特徴で、見た目は蚊に刺された痕に似ています。1cmほどの大きさのものから地図状に広く広がることもあります。蕁麻疹の膨疹は非常に強いかゆみを伴い、数時間のうちに体の至る所に広がり、その後、跡形もなく消失します。

多くの場合、発症を繰り返すことはありませんが、中には6週間以上継続する慢性蕁麻疹に進行することもあります。慢性蕁麻疹は夜間に現れることが多く、原因を特定することが難しい場合もあります。

検査・診断

診断では、丁寧な問診と身体診察を行います。原因が特定できないことも多く、症状自体一過性であることも少なくないため、丁寧に病状を確認するのみで特別な検査を行わないこともあります。

しかし、食物アレルギー膠原病のように、特定の病気によって蕁麻疹を起こしている可能性がある場合には、それぞれ詳細な検査を実施することもあります。

たとえば食物アレルギーが疑われる場合、プリックテストや血液検査によるアレルゲン検索が行われます。食物アレルギーや薬物アレルギーでは、疑わしい物質の飲食や接触など少量の負荷をかけることで、症状誘発の有無を確認することもあります。

膠原病が疑われる場合、SLEであれば特徴的な自己抗体を測定するほか、臓器障害の程度を評価するために血液検査や尿検査などが追加で行われます。ほかにも遺伝的な蕁麻疹が疑われる場合には、血液検査でC1-インアクチベーター(INH)活性や補体測定などが行われます。

特殊なタイプの蕁麻疹もあるため、適宜遺伝子検査や皮膚生検などといった、少し踏み込んだ検査が検討される場合もあります。

治療

蕁麻疹の治療では、薬物治療と原因除去を行います。

薬物療法

副作用が少なく効果が持続する第2世代の抗ヒスタミン薬が主体です。症状が出ているときはもちろん、すでに蕁麻疹が消失している場合でも、再発や悪化を予防するため1週間程度は内服します。

抗ヒスタミン薬で症状が抑えられない場合には、副腎皮質ステロイド薬の内服などを使用することもあります。これらの治療でもコントロールができない場合は、ロイコトリエン受容体拮抗薬*やH2受容体拮抗薬*などを併用することもあります。これらによっても効果が期待できない場合は、免疫抑制剤シクロスポリン*や抗IgE抗体治療薬オマリズマブを検討します。臨床的に、シクロスポリンには皮膚の炎症やかゆみなどに関係するサイトカインという物質の発生を低下させるはたらきが、オマリズマブはヒスタミンの分泌を抑える作用が期待されます。また、最近ではサイトカインのはたらきを直接抑制する新薬の開発も進められ、慢性特発性蕁麻疹に対して保険適用で使用できる薬剤も登場しています。

慢性蕁麻疹では、こうした薬剤を長期にわたり使用するため、副作用が現れないよう慎重に経過を評価して減薬や断薬時期を判断します。

*ロイコトリエン受容体拮抗薬・H2受容体拮抗薬・シクロスポリンは蕁麻疹に対して保険適用外。

原因除去

蕁麻疹の再発を防止するためには、原因となる刺激を避けることが重要です。ある特定の食物や薬剤などが原因と判明した場合、これらを摂取(もしくは接触)しないようにします。

蕁麻疹では、アナフィラキシーショックを発症することもあるため、発症した場合は迅速に医療機関を受診しましょう。アナフィラキシーショックを繰り返す場合は、症状を一時的に緩和するアドレナリン注射薬を携帯することもあります。本人はもちろん、周囲の方がアナフィラキシーの症状がどのようなものか、どのようなときに注射薬を使用するべきかなどの知識を身につけることも大切です。

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