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蕁麻疹が治らないときはどうする?~種類と原因、対処法について解説~

蕁麻疹が治らないときはどうする?~種類と原因、対処法について解説~
川村 龍吉 先生

山梨大学医学部皮膚科学講座 教授

川村 龍吉 先生

目次
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心当たりがないのに広範囲の赤みを伴う皮膚のかゆみや、夜になると毎日のように現れるかゆみは、蕁麻疹(じんましん)の可能性があります。本記事では、蕁麻疹の原因や、治らないときの対処法などについて説明します。

蕁麻疹とは、皮膚の一部が突然赤くくっきりと盛り上がり(膨疹(ぼうしん))、しばらくすると跡形もなく消える病気です。症状は、数十分から数時間以内に跡を残さずに消失します。そして、膨疹が出ると、同じような皮疹が別の部位に現れることもあります。このように、蕁麻疹は出たり消えたりを繰り返すのです。

蕁麻疹は症状も原因もさまざまであり、大きく分けると次の4つに分類されます。

  • 特発性蕁麻疹
  • 特定の刺激や負荷で誘発される蕁麻疹
  • 血管性浮腫(ふしゅ)()(むくみ)による蕁麻疹
  • その他蕁麻疹関連疾患による特殊な蕁麻疹

蕁麻疹の約70%は特発性であるといわれています。特発性とは、明らかな原因が見当たらない、または特定できないことを指します。

特発性蕁麻疹のうち、皮疹が繰り返し出る期間が1か月以内のものを、急性蕁麻疹といいます。特定の食品などによるアレルギー性蕁麻疹や、ウイルスや細菌の感染症に伴う感染性蕁麻疹などが多いですが、原因は特定されていなかったとしても適切な治療を行えば1か月以内に治ることが多いといわれています。

特発性蕁麻疹のうち、皮疹が繰り返し出る期間が数か月以上続くものを、慢性蕁麻疹といいます。夕方から夜間にかけて症状が出たり、悪化したりするものが多いとされています。

慢性蕁麻疹は、疲労やストレスなどがきっかけで発症したりします。また、いくつかの条件が複合して発症することもあるため、原因を特定することは難しいとされています。慢性蕁麻疹では夕方から夜間に膨疹がでることが多く、平均2~6年症状が続くとされているため通常数年にわたって治療が必要です。

アレルギー性蕁麻疹は特定の食物や薬、花粉、動物の毛などによって引き起こされます。

非アレルギー性蕁麻疹は、皮膚への物理的な刺激、温度差、汗などの刺激によって引き起こされます。

1か月以上の間、毎日のように現れては消える慢性蕁麻疹の多くは、原因がはっきりと分からないとされています。

はっきりとした誘因が分からない蕁麻疹は非常に多いといわれていますが、同じ状況のときにいつも現れる蕁麻疹であれば、原因を突き止められることもあります。

たとえば、エビやカニ、そば、果物といった食べ物を食べると必ず蕁麻疹が現れる場合は、特定の食品に対するアレルギー性の蕁麻疹である可能性が考えられます。

一見、蕁麻疹のように見える皮疹であったとしても、なかなか治らず、長い間連続して皮疹が出ているときは、蕁麻疹以外の病気である可能性があります。

甲状腺疾患ウイルス性肝炎などのような体内の病気の症状として、蕁麻疹が現れることもあります。また、膠原病(こうげんびょう)や血管炎などのように、皮膚を含む全身性疾患の症状として、蕁麻疹が現れることも少なくありません。

蕁麻疹の治療は、原因が明らかな場合はそれらを取り除くようにすることが大切です。しかし、原因が分からない場合は、症状を抑える対症療法を行います。

蕁麻疹が治らないときは、一度皮膚科への受診を検討しましょう。医師は、皮疹の状態や経過によって、どのような種類の蕁麻疹であるかを診断できる場合があります。また、急性蕁麻疹の場合は、血液検査を受けることで、ある程度は原因の特定ができることもあります。

蕁麻疹に対しては、一般的に膨疹やかゆみを抑える抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)を使用します。

塗り薬よりも、飲み薬が使用されることが多く、蕁麻疹の症状が出ているときはもちろん、すでに蕁麻疹が消失している場合においても、再発や悪化を予防するために長期間内服を継続するよう指示されることがあります。抗ヒスタミン薬には眠気を誘発するタイプのものもあるため、日常生活や仕事上の都合などで困る方は医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。

抗ヒスタミン剤で症状が抑えられないときには、アレルギー反応を強く抑える作用のあるステロイド剤が短期間用いられることもあります。また、蕁麻疹の症状がよくなったとしても、薬を止めてしまうと蕁麻疹が再発することがあります。そのため、自分の判断で薬を止めることはせず、医師に相談するようにしましょう。

抗ヒスタミン薬やステロイド剤ではなかなか治らない慢性蕁麻疹に対して、ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体の注射が使われることがあります。

この薬は、血液中や皮膚内の遊離IgEという抗体に結合し、アレルギーを引き起こす肥満細胞および好塩基球(白血球の一種)のはたらきを抑制することで、特発性の慢性蕁麻疹の発症を防ぐことができます。

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