編集部記事

手湿疹で水疱(水ぶくれ)ができた場合の治し方〜ほかの病気が原因になっている可能性も〜

手湿疹で水疱(水ぶくれ)ができた場合の治し方〜ほかの病気が原因になっている可能性も〜
川村 龍吉 先生

山梨大学医学部皮膚科学講座 教授

川村 龍吉 先生

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手湿疹は一般的に"主婦湿疹"、"洗剤皮膚炎"とも呼ばれ、水仕事や洗剤の使用による刺激などによって引き起こされることで知られています。主な症状は赤み、ひび割れなどが挙げられますが、場合によっては水疱(水ぶくれ)ができることもあるといわれています。では、手湿疹の水疱の原因には何があるのでしょうか。

本記事では手湿疹で水疱が生じた場合の原因や治し方、対処法などをご紹介します。

主な症状は乾燥、角化(皮膚が硬くなること)、赤み、ひび割れなどで、水疱ができることはあまりありません。そのため、水疱ができる場合は手湿疹の中でも異なる皮膚疾患である可能性があります。

水疱を伴う皮膚疾患とその原因は以下のとおりです。

接触皮膚炎はある物質が皮膚に触れることによる刺激やアレルギー反応からかゆみや赤みのある炎症が現れます。そのため、水仕事や洗剤の刺激が原因となる手湿疹の場合は接触皮膚炎に含まれるとされています。主な症状には、原因となる物質が触れた部分に赤みが現れ、症状が強くなると腫れや小さな水疱が現れるなどが挙げられます。

接触皮膚炎では身の回りにあるほとんどの物質が原因になり得ます。たとえば、刺激性接触皮膚炎の場合は洗剤などの界面活性剤や灯油、有機溶剤、化粧品、消毒液、農薬、植物、酸・アルカリなどがあります。一方でアレルギー性接触皮膚炎の場合はウルシなどの植物や染毛料、化粧品、金属、化学物質、医薬品、動物などが原因として考えられます。

異汗性湿疹(いかんせいしっしん)汗疱(かんぽう)と呼ばれる皮膚炎は手のひらや指の側面に水疱が生じる皮膚炎です。水疱はかゆみを伴い、手だけでなく足の裏にも発生することがあります。さ放置するとただれたり、皮膚が細かく剥がれ落ちたりしますが、数週間で自然に消えてその後再び突発的に発生したり消えたりすることがあります。

原因は不明ですが、接触皮膚炎、ストレス、ニッケルなどの金属アレルギーが関連していると考えられています。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)では手のひらや足の裏に赤みや小さな水疱、黄色い膿疱、皮膚が細かく剥がれ落ちるといった症状が現れます。かゆみや痛みのほか、胸などの関節痛がある場合もあります。

原因は分かっていませんが、歯周病や金属アレルギー、扁桃への細菌感染などが関係していることがあるとされています。

手湿疹において水疱ができる原因は多岐にわたり、治し方や対処法もそれぞれ異なるため、いずれにせよ医師の判断のもと治療を行う必要があります。

接触皮膚炎の場合、自分でできる対処方法には原因となる物質に触れないようにすることが挙げられます。しかし、原因物質は多岐にわたるため自分で原因を突き止めるのは難しいでしょう。そのため、原因物質がわからない場合は皮膚科を受診しましょう。皮膚科ではパッチテストなどを行い、原因物質を突き止めることができることも可能です。

また、水仕事や洗剤の使用が原因の手湿疹の場合はゴム手袋や保湿クリームの使用で症状を緩和できることがあります。しかし、場合によってはゴム手袋や保湿クリームに含まれる化学物質によってアレルギーが引き起こされる可能性もあるため注意が必要です。

ステロイド

皮膚科で手湿疹や接触皮膚炎、異汗性湿疹と診断された場合は、治療にステロイド外用薬が用いられることがあります。ただし、使用を続けても症状が改善されない場合は別の治療に切り替える場合もあるため、治らない場合は医師に相談すると良いでしょう。

抗ヒスタミン薬

かゆみがある場合、皮膚科では抗ヒスタミン薬の飲み薬が処方されることがあります。ただし、抗ヒスタミン薬の飲み薬に手湿疹の皮膚症状を改善する効果は低いと考えられています。そのため、あくまでかゆみを軽減するための対症療法として用いられます。

手湿疹にはさまざまなタイプや原因があり、それぞれ治し方も異なります。そのため、まずは手湿疹や水疱の原因を確かめる必要があります。原因が何であるかわかれば適切な治療も受けられるため、まずは皮膚科の受診を検討するとよいでしょう。

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