概要
汗疱とは、手のひらや足の裏などに2~5mmほどの小さい水ぶくれ(小水疱)や皮むけが突然生じる病気のことです。
夏の初めに現れることが多く、数週ほどで自然に治るとされていますが、毎年季節の変わり目ごとに繰り返されることもあります。小児から思春期の若い年代によくみられます。
汗疱であるような症状はほかの皮膚の病気でも生じることがあり、特に足に生じた場合は水虫だと勘違いされることも少なくありません。汗疱は水虫のようにほかの人にうつることはありませんが、これらを見分けるのは難しく、自己判断によって市販薬を使用すると症状が悪化することもあるので注意が必要です。また症状が軽度な場合は、特別な治療を行わなくても治ることもありますが、症状が強く出ている場合は適切な治療が必要です。
原因
汗疱の原因ははっきりとわかっていません。汗をかきやすい人や夏場に生じることが多いことから汗との関連性が指摘されていますが、小水疱と汗腺は通常つながっておらず、水疱内容液も汗とは異なります。
症状
汗疱の症状は、手の指先や足の裏などに生じる小さな水泡です。時に水泡同士がくっつき、大豆くらいの大きさになることもあります。
水泡の周りは赤くなったり、白濁したりすることがあります。その後落ち着いてくると、日焼け後の皮むけのように皮膚から剥がれていくことが一般的です。基本的に痛みやかゆみは出ませんが、刺激などが加わると湿疹のように赤くなり、かゆみや軽い痛みを感じることがあります(異汗性湿疹)。このような症状は手のひらや足の裏、指と指の間・側面などに多く発症します。
検査・診断
汗疱の診断では特徴的な皮膚症状を観察したうえで、ほかの病気との鑑別や原因の特定のため必要に応じて検査が行われます。
たとえば、汗疱と間違えやすいため水虫の顕微鏡検査が行われることがあります。具体的には皮膚を採取して、水虫の原因菌が存在しないかを顕微鏡で観察します。また金属アレルギーなどの可能性がある場合は、パッチテストを行いアレルギー反応が起きるかどうかを確認します。
治療
汗疱は症状が軽い場合、自然治癒が期待できることもあります。ただし、炎症が生じた場合や水疱が大きい場合、かゆみの症状が強い場合などには薬物治療が検討されます。
炎症に対してはステロイド外用薬やサリチル酸ワセリンの処方が検討されるほか、かゆみに対して抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の処方が検討されます。また汗疱によって皮膚が分厚くなった場合は、皮膚を柔らかくするための尿素含有軟膏の処方も検討されます。
セルフケア
日常生活では洗い物などの水仕事を極力控え、入浴や手洗いなどで皮膚を濡らした場合には必ず清潔なタオルなどで水分を取り除き、よく乾燥させることが大切です。
汗をかいたときも速やかに拭うようにしましょう。湿気を帯びすぎないように屋内では除湿や換気をすることも大切です。
予防
汗疱を予防するためには日頃から手足を清潔に保ち、水分や汗を小まめに拭き取ることが大切です。またシャンプーや洗剤など手足に触れるものは、ノンシリコンタイプや天然の成分を使用したものを使用することも効果的です。
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