てしっしん

手湿疹

別名:主婦湿疹
皮膚

目次

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概要

手湿疹とは、何らかの外的な刺激やアレルゲンに触れることで、手に生じる湿疹のことです。接触性皮膚炎の一種であり、紅斑(こうはん)丘疹(きゅうしん)水疱(すいほう)苔癬化(たいせんか)など、さまざまな形態の皮疹がみられるのが特徴です。

手湿疹は、慢性的な刺激が加わったり、長期間アレルゲンに曝露されたりすることで、慢性の接触性皮膚炎となり、炎症が続くことでまず手の皮膚が厚くなって苔癬化を生じます。このように苔癬化した皮膚の一部は、炎症を伴う紅斑や丘疹などの急性の症状も現れるため、さまざまな形状の皮疹が混在した状態となります。

手湿疹は職業病として頻度が高い病気であり、特に理・美容師、看護師、調理業の方に多くみられます。これらの職種は、手が薬液や消毒液などに晒される機会が多く、このような外的刺激が発症の誘因であると考えられています。

手湿疹は女性に多いとされていますが、これは遺伝的な要因ではなく、女性のほうがこれらの仕事の場以外にも家事などで手の皮膚にさまざまな刺激を受けやすいためです。

このように、手湿疹は水仕事の多い家事を行う主婦にも多くみられることから、主婦湿疹と呼ばれることもあります。

 

 

原因

手湿疹の発症原因は次の3つに分けられ、それぞれの特徴は以下の通りです。

物理的・化学的な刺激

種々の薬液や洗剤などの物理的・化学的な刺激が皮膚に直接ダメージを与えることが原因の場合があります。手湿疹の約70%は、このような直接的な刺激が原因であると考えられています。

アレルギー反応

アレルゲンへの暴露が手湿疹を引き起こすことがあります。アレルゲンは、花粉やハウスダストなどよりも、金属や洗剤などの化学物質であることが多く、指の間や側面などアレルゲンが残りやすい部位に強い症状が現れるのが特徴です。

また、ダニやハウスダストのようなタンパク質をメインとするアレルゲンに触れた場合には、即時型アレルギーによって蕁麻疹(じんましん)が現れます。通常、蕁麻疹はアレルゲンが除去されると数時間程度で自然に消えるものですが、繰り返しアレルゲンに曝露されて蕁麻疹の発症を繰り返すことで、掻いた部位を中心に湿疹を生じることがあります。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎が手に発症して、さまざまなタイプの湿疹を引き起こすことがあります。アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能が低下するため、水仕事などで荒れた手に炎症を起こしやすく、重度な湿疹ができるのが特徴です。

症状

湿疹とは、皮膚の炎症によって生じる病変のことであり、かゆみを伴う紅斑を生じ、続いて丘疹になります。さらに丘疹は水疱や膿疱(のうほう)、びらん、痂皮(かさぶた)などを形成して、さらに進行すると色素沈着や苔癬化を生じます。手湿疹は長期間の刺激やアレルゲン曝露によって引き起こされる皮膚炎であるため、特定の段階の皮疹が見られるのではなく、さまざまな段階の皮疹が混在しているのが特徴です。

手湿疹の原因としてもっとも多い物理的・化学的刺激によるものでは、一般的に利き手の指先や爪の周りなどから皮疹が現れ、やがて手全体に広がっていきます。皮膚症状は軽度な紅斑や乾燥などからはじまり、刺激が長期間に及んだ場合や短期間に非常に強い刺激が加わった場合には水疱を生じ、炎症が慢性化すると皮膚が乾燥した状態で肥厚(苔癬化)して、指先などを中心に皮膚に亀裂が入るようになります。

また、アレルギーによるものでは、物理的・化学的刺激で生じる湿疹よりも重度なことが多く、強いかゆみを伴う水疱や紅斑を生じることも少なくありません。湿疹はアレルゲンに曝露された部位から生じ、指の間や側面などのアレルゲンが残りやすい部位に生じやすいとされています。

さらに、アトピー性皮膚炎によるものでは、主に手の甲に苔癬化を伴う紅斑や水疱、丘疹などが見られます。皮膚のバリア機能が低下しているため、外的な刺激に弱く、悪化しやすいのが特徴です。

検査・診断

手湿疹は見た目や症状から容易に診断することができますが、治療法を検討するためにどのような原因で手湿疹が生じているのか調べることがあります。現在、主に行われている検査は次の通りです。

血液検査

アレルギー性の手湿疹が疑われる場合に広く行われ、特定のアレルゲンに対するIgE抗体価を調べてアレルギーを起こす可能性のあるアレルゲンを特定するための検査です。

アレルゲン検査

アレルゲンを詳しく調べる検査であり、検査方法にはパッチテストとブリックテストがあります。パッチテストはアレルゲンと推測される物質を皮膚に貼付し、反応を調べる検査で、ブリックテストはアレルゲンを皮下に注入してアレルギーが生じるかを調べる検査です。

病理組織検査

手湿疹は、白癬・疥癬などの感染症、乾癬、皮膚筋炎、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などの皮膚疾患との鑑別(見分けること)が難しいことがあります。このため、確実な診断のために湿疹の組織を採取して病理組織検査を行うことがあります。

治療

手湿疹を治すには、原因となる外的刺激やアレルゲンを避け、刺激を与えないようにすることが重要です。

しかし、日常生活を送るうえでは手を全く使わないことは困難でしょう。このため、湿疹に対する治療には主に外用薬と内服薬が用いられます。

外用薬は皮膚の炎症を抑えるためのステロイド外用薬、皮膚を保湿するための保湿剤などが使用されます。

ステロイド外用薬は皮膚の炎症を抑える効果がありますが、手湿疹を根本から治す効果はなく、漫然と使用を続けると皮膚が薄くなったり、病変部に細菌・真菌感染を起こしやすくなったりするので注意が必要です。

また、アレルギーが原因の手湿疹では、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの内服治療が行われます。これらの内服薬は湿疹によるかゆみを改善する効果があり、皮膚を掻きむしることで生じる湿疹の悪化を防ぐこともできます。