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Skin
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、強い痒みを伴う皮膚の病気で、症状がよくなったり悪くなったりを繰り返すことが特徴です。また、アレルギー性疾患を発症しやすい体質のことをアトピー素因と呼びますが、アトピー性皮膚炎...
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皮膚
更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
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2017 年 04 月 25 日
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概要

アトピー性皮膚炎は、強い痒みを伴う皮膚の病気で、症状がよくなったり悪くなったりを繰り返すことが特徴です。また、アレルギー性疾患を発症しやすい体質のことをアトピー素因と呼びますが、アトピー性皮膚炎の多くの患者さんがアトピー性素因を持っています。発症頻度としては、日本国内で45万人以上の方がアトピー性皮膚炎に罹患していると推定されています(2016年報告)。またアトピー性皮膚炎に悩まれる患者さんの年齢層も小児から成人まで幅広く、小児の10%以上に発症すると言われています。

アトピー性皮膚炎のよるかゆみはとても強く、お子さんの成長や発達過程にも影響が及ぶこともあります。また特に乳児のアトピー性皮膚炎は、食物アレルギーと密接に関連していることもあり、皮膚に限局した疾患として捉えるのではなく、包括的な対策を講じることが重要です。

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原因

正常な皮膚の大切な機能の一つとして、外部からのさまざまな刺激(黄色ブドウ球菌を始めとした細菌や汗、食物残渣、ホコリ、機械的刺激など)から身体を守る「バリア機能」を挙げることができます。しかし、アトピー性皮膚炎を起こしている皮膚では、このバリア機能が低下しているため、環境からの刺激が皮膚の中へ簡単に侵入して炎症が引き起こされやすい状況にあります。特に乳児の皮膚はバリア機能が未熟であるため、アトピー性皮膚炎を起こしやすいといわれています。刺激物により皮膚において炎症が引き起こされると、ヒスタミンを始めとしたかゆみ成分が大量に産生されるようになり、とても強い痒みを伴うようになります。

その他、【アトピー性皮膚炎の症状と原因】も参考下さい

症状

アトピー性皮膚炎の症状は、慢性的によくなったり悪くなったりを繰り返す、とても強い痒みです。年齢に応じて痒みが生じやすい部位には差があります。例えば、乳児であれば頭や顔に湿疹を認めることが多く、乳児湿疹と混同されることがあります。しかし乳児湿疹であれば慢性的によくなったり悪くなったりを繰り返すことはなく、月齢と共に改善することが期待できます。また、幼児であれば汗をかきやすいひじや膝関節の内側に湿疹が出現しやすくなります。慢性的な炎症が繰り返されていることを反映して、皮膚がごわごわと皮膚が厚く硬くなってしまった状態(苔癬化)になることもあります。

小児において特筆すべきこととして、アトピー性皮膚炎により成長や発達に悪影響が及ぼされることを挙げることができます。アトピー性皮膚炎による痒みは非常につらいものであり、夜間の睡眠が障害されることもしばしばです。寝不足から日中の集中力が低下することもあり、聞き分けがうまくいかなくなることもあります。この場合には、幼稚園や保育園などの集団生活においてお友達との関係性構築において悪影響が出ることもあります。また、睡眠不足から学業にも支障を来すこともあります。さらに、治療がうまくいっていない時には特に、バリア機能が障害された皮膚から栄養喪失が生じてしまい、年齢相応の成長を達成することができないこともあります。

乳幼児においては、食事アレルギーと関連してアトピー性皮膚炎の皮膚症状が出現していることがあります。後述するようなアトピー性皮膚炎に対して治療(スキンケア、保湿、ステロイド等)をしているにも関わらず、うまく皮膚症状が改善しない時には食物アレルギーが陰に隠れていることを疑う必要があります。

アトピー性皮膚炎では皮膚がかきむしられることで、皮膚に細菌が付着しやすくなり細菌感染を併発することもあります。また、ヘルペスウイルスが増悪し「カポジ水痘様発疹症」と呼ばれる重篤な皮膚感染症を来すこともあります。さらに顔の痒みが強い時には、慢性的に目に対して外的な刺激を加えることもあり、網膜剥離を来すこともあります。

以上のようにアトピー性皮膚炎に伴う症状は決して皮膚に限局するものではなく、身体的・社会的側面も加味した全身疾患と考えることが重要です。

その他、 【アトピー性皮膚炎とは その原因と症状】 【アトピー性皮膚炎の症状と原因】も参考下さい。

 

検査・診断

アトピー性皮膚炎の診断は血液検査で出来るものではなく、症状(痒み、特徴的な湿疹の分布、慢性的な増悪・寛解)をもとになされています。しかし、アトピー性皮膚炎の診断や重症度の参考になる検査はいくつかあります。具体的には、末梢血好酸球数・血清総 IgE 値・LDH値・TARC値などがあります。短期的に進行度合いを測れる検査としては LDH値・TARC値などが挙げられます。特にTARC値は皮膚の状態を敏感に反映する値として、大変有用な検査です。

各種検査項目についての詳しい内容は、【アトピー性皮膚炎の検査・診断】を参照下さい。

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治療

アトピー性皮膚炎の治療目標は、いかに皮膚の状態を正常に近づけるかにあり、結果として痒みのない生活を送るようにすることにあります。この目的を達成させるためには、

  1. 皮膚の炎症を抑えるための薬物療法
  2. 皮膚をいい状態に保つためのスキンケア
  3. 皮膚のバリアを傷つける因子を同定・対策

の三つが治療の柱になります。どの一つが欠けてもアトピー性皮膚炎の治療はうまくいきません。

① 皮膚の炎症を抑えるための薬物療法

ひとたびアトピー性皮膚炎が生じると、炎症を抑えることがとても大切になります。炎症を抑えるためには、免疫抑制剤(ステロイドやタクロリムス)が適応になります。炎症の症状や湿疹が生じている部位に応じて、ステロイド剤の内容が検討されます。

② 皮膚をいい状態に保つためのスキンケア

アトピー性皮膚炎においては、皮膚のバリア機能が障害された状況にあります。障害された皮膚を守るために、保湿剤を使用することはとても有効です。皮膚バリア障害の改善を促進し、痒みを抑えることが期待できます。

③ 皮膚のバリアを傷つける因子を同定・対策

アトピー性皮膚炎の皮膚症状を増悪させる因子として、何かしらのきっかけが同定されることもあります。ダニやホコリ、汗等は代表的な増悪因子であり、就寝前にはしっかり風呂やシャワーを浴び、身体の清潔を保つことがアトピー性皮膚炎の症状抑制に有効なことも多いです。

その他、心理的なストレス(仕事が忙しい、試験前で緊張しているなど)がアトピー性皮膚炎を増悪させることもあります。 乳幼児においてはこれら以外に、食事による影響を無視することは出来ません。適切な薬物療法やスキンケアを行っているにも関わらず、アトピー性皮膚炎の症状が改善しない場合には、食事内容との関係性を疑うことも大切です。

その他に、こちらの記事も参考下さい。

【アトピー性皮膚炎の治療】

【アトピー性皮膚炎とともに生きる―日常生活のポイント】

【災害時にアトピー性皮膚炎の子どもを守る知識と対策―災害時における子供へのアレルギー疾患対応 その3】

参考 アレルギー性疾患の現状(厚生労働省) アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版 食物アレルギーの診療の手引き

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