インタビュー

アトピー性皮膚炎の治療方法 スキンケア

アトピー性皮膚炎の治療方法 スキンケア
江藤 隆史 先生

あたご皮フ科 副院長

江藤 隆史 先生

この記事の最終更新は2016年03月08日です。

アトピー性皮膚炎を治療するには、「記事1:アトピー性皮膚炎とは その原因 症状」でお話しした原因の除去・炎症や、かゆみを抑える「薬物療法」・皮膚バリアを正常に保つ「スキンケア」のこの3本柱が重要です(図1)。ここでは正しいスキンケア方法についてあたご皮フ科 副院長の江藤隆史先生にお話し頂きました。

アトピー性皮膚炎治療の三本柱
図1:アトピー性皮膚炎治療の3本柱

私たちの皮膚には、汗・汚れ・アレルゲン・かび・細菌・ウイルスが付着しています。それらは炎症を起こしている部分を含め体全体に付着しているため、丁寧に汚れを落とし、優しく洗う必要があります。具体的には、以下の点に気をつけてください。

・刺激の少ないせっけんを使います

・せっけんを、ネット・スポンジ・柔らかいタオルなどで十分泡立てます(ホイップクリーム状になるくらい)

・体の上から下の方に向かって洗っていくとせっけんが残りにくくなるので、頭から順番に洗います

・泡を直接皮膚にのせるか柔らかいタオルにつけ、優しくなでるように洗います。決してゴシゴシ洗わないことが重要です

・洗った後はすぐにシャワーなどで、耳の後ろ・わきの下・首の周り・関節の内側など、洗い残しがないようによく洗い流します

・柔らかいタオルで、水滴を押さえるようにそっと体をふきます

・お湯につかると毛穴も広がり、汚れも泡もよく落ちるので、時間のある時はつかりましょう。ただし、熱いお湯は避けましょう

・調子のよくない時・汗をかいた時などは、入浴の回数を増やしても構いません

・入浴直後で皮膚が潤っているときに保湿剤を使いましょう。水分の蒸発や外からの刺激を防ぐために、「ふた」の役割として保湿剤を皮膚が乾く前に塗るのが大切です。風呂場で保湿をするのもよいでしょう

・保湿剤は、ワセリンなどの油脂性の軟膏・ヘパリン類似物質・セラミド入りのものなど、季節・使用感などに応じて、刺激が少なく肌に合うものを医師と相談しながら使いましょう

・原則的に、毎日最低でも朝晩2回は塗ることを習慣にします。こまめにケアを行うことが大切です

(参考:厚生労働科学研究 セルフケアナビアトピー性皮膚炎 )

記事1:アトピー性皮膚炎とは その原因 症状」の「アトピー性皮膚炎の原因」の中の「皮膚のバリア機能の低下」でもお伝えしましたが、近年は経皮感作(アレルゲンがバリア機能の低下した皮膚を通して体内に侵入することにより、感作(アレルギーを起こす準備ができた状態)を起こしてしまうこと)が、アトピー性皮膚炎の発症に関連すると分かってきました。

そしてこのような経皮感作を阻止する観点から、新生児期からの保湿が重要であり保湿剤の塗布により、アトピー性皮膚炎の発症リスクが3割以上低下すること、アレルギーマーチ(年齢とともに次々とアレルギー症状が現れること)を遮断できることがわかりました。

つまり、幼い頃から保湿を行い抗原が入ってこない状態にすると、アトピー性皮膚炎は起こり辛くなり、気管支喘息アレルギー性鼻炎などが起こるアレルギーマーチも作動しないというわけなのです。

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