インタビュー

アトピー性皮膚炎とは その原因と症状

アトピー性皮膚炎とは その原因と症状
江藤 隆史 先生

あたご皮フ科 副院長

江藤 隆史 先生

この記事の最終更新は2016年03月06日です。

今や国民の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患しており、かつ国民の1割が罹患しているといわれているアトピー性皮膚炎(参考:厚生労働省 リウマチ・アレルギー対策委員会報告書:pdf)。その症状と原因について、アトピー性皮膚炎のエキスパートである東京逓信病院 副院長の江藤隆史先生にお話を伺いました。

「良くなったり・悪くなったり」を繰り返し、かゆみを伴う湿疹が全身または部分的に発生する病気です

以下に、年齢別により詳しくご説明します。

・乳児期(生後から1歳未満まで)

主に頭・顔などに紅斑(皮膚が赤く盛り上がること)が発生する。その症状が2か月以上続く。(※図1)

図1:乳児期の症状

・幼少時期(小学生ぐらいまで)

主に首回りや両手両足のひざ・ひじの内側に紅斑が発生。また、繰り返し掻き続けることにより苔癬化(たいせんか:皮膚が厚く硬くなった状態)してしまう。その状態が6か月以上続く。(※図2)

図2:幼少時期の症状

(参考記事:こどものアトピー性皮膚炎の概論「アトピー性皮膚炎の症状と原因」)

・思春期~成人期(中学生以上~大人)

主に顔や首に、紅斑・苔癬化・痒疹(ようしん:硬いしこり)・鱗屑(りんせつ)や痂皮(かひ)(両症状ともかさぶたができ、それがはがれること)様々な皮膚症状が発生する。その状態が6か月以上続く。(※図3)

図3:思春期~成人期の症状

皮膚バリア(皮膚の最外層の表皮は細胞が何層も重なってできており、バリアとして機能する表層は皮脂膜、その下は角層、顆粒層によって成り立っています)の中の皮脂膜が少なく、角層に水分を保持する力が弱いので、角層が乱れてめくりあがります。ですから、角層の隙間からアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)などが入り、かゆみの神経に刺激を与えます。また、角層の隙間から水分が蒸発して乾燥することも、かゆみを引き起こす原因になります。

家族にアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎・気管支喘息アレルギー性鼻炎など)がある場合、皮膚のバリア機能が弱くアトピー性皮膚炎を発症する確率が高くなります。

環境中に存在するアレルゲンである、ダニ・ハウスダスト・カビ・ペットの毛などが皮膚症状を悪化させる原因にもなります。

職場が忙しすぎる・休みが取れない・睡眠不足、人間関係がうまくいかない、受験、親子関係など精神的なストレスによっても皮膚症状は悪化します。

衣類・化粧品・毛髪などの、外部の直接的な刺激が痒みを増す原因にもなります。

アトピー性皮膚炎が黄色ブドウ球菌などによって引き起こされることもあることが最近わかりました。

(参考資料:慶応義塾大学によるプレスリリース:pdf)

一般的に食物はアレルゲンになりやすいですし、乳幼児期のアトピー性皮膚炎は、食物アレルギーが関係している事が多いと思われがちですが、過剰な食事制限は好ましくありません。

一般に食物アレルギーは「蕁麻疹の反応」で、アトピー性皮膚炎は「湿疹の反応」です。湿疹性の皮膚症状が主体なら、まずしっかり外用療法を実施するべきでしょう。やみくもに食事制限を行うことは、低栄養などの悪影響を及ぼしかねません。また血液検査だけで判断するべきでもありません。蕁麻疹型の反応が主体で、全身症状も現れるようならアレルギー専門の小児科の先生に相談しましょう。

また、お子さんがアトピー性皮膚炎などにならないよう、妊娠中にアレルゲンとなりやすい食物を避けた方が良いともいわれていますが、その予防効果は明らかではないことが実証されました。お母さんや産まれてくる赤ちゃんの栄養低下にも繋がりかねないので、バランスよく食事をされてみてはいかがでしょうか。

アトピー性皮膚炎のすべての方に食物アレルギーが関係しているわけではないです

真の食物アレルギーに対しては食物制限が必要になりますが、そのようなケースは極めてまれです。それが強調されすぎて、お子さんに栄養障害が起こっている場合が多く見受けられます。先ほど「アトピー性皮膚炎の原因」でお伝えした他の原因の中で、自分がどれに当てはまるかを考え、どのように取り除くべきか対策をするほうが先決です。

ただ、アナフィラキシーショック(ごく短時間のうちに、粘膜が腫れる・じんましん・呼吸困難・意識障害など、全身にアレルギー症状が出ること)を起こす場合は深刻です。 一刻一秒を争う生死に関わることですので、この場合はアレルゲンとなる食物を完全に除去してください。

 

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