概要
妊娠とは、卵子と精子が合わさることで形成された受精卵が主には子宮内にて成長し、出産に至る過程を指します。妊娠は、市販の妊娠検査薬で確認されることがあります。
また、時期に応じて膣もしくはお腹を介して超音波検査も行われます。
正常妊娠の場合は、妊娠40週前後に赤ちゃんの出生に至ります。妊娠中にはさまざまなトラブルが起こることがあり、定期的な健診を受けることが重要です。
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原因
妊娠は、精子と卵子が受精をすることで開始されます。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら子宮に向かいますが、一般的には、この受精卵が子宮に着床することで妊娠が成立します。
しばらくすると胎盤を介して酸素や二酸化炭素、栄養分などが母体と胎児の間でやり取りされます。一般的には最終月経開始から40週経過した段階で、赤ちゃんの出生に至ります。
症状
妊娠経過中には、さまざまな症状が出現する可能性があります。
つわり
妊娠5~6週頃になると、食欲の低下や吐き気、嘔吐、味覚の変化などの症状が出現する場合があり、いわゆる「つわり」として認識されることがあります。
つわりの症状は一過性であり、妊娠12~16週には改善することが期待できます。しかし、なかにはつわりのために食事や水分の摂取が十分にできなくなってしまい、点滴を必要とすることもあります。
妊娠初期の流産などに伴う症状
また、妊娠初期では偶発的な流産、子宮以外の場所への受精卵の着床などが生じることがあります。これにより出血や腹痛、吐き気などの症状が出現することもあります。
胎動
妊娠20週頃にさしかかると、お腹の中の赤ちゃんの動きを胎動として感じるようになります。ぽこっと感じる程度のものからはじまり、妊娠週数が進むにつれてはっきりと動いていることがわかるようになります。
その他
妊娠期間中には、お腹が徐々に大きくなり日常生活にもだるさを感じることがあります。お腹のはり、便秘、むくみなどが生じることもあります。なかには病的な変化として、貧血や早産徴候、妊娠高血圧症候群などの病気が隠れていることもあります。
検査・診断
妊娠は、市販の妊娠検査薬で確認されることがあります。また、妊娠検査を医療機関で行うこともあります。時期に応じて膣もしくはお腹を介して超音波検査も行われます。
超音波検査では受精卵の位置や数、胎児の成長具合、胎児が病気を抱えていないかどうかなど評価します。
妊娠期間中には貧血や妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病などの病気が出現することもあります。そのため、定期的な血圧測定や体重測定、子宮底長の測定、血液検査、尿検査、クラミジア検査などを行うことが重要です。
また、子宮頸がんに罹患していないかどうかの検査も行われます。その他、出生が近くなると膣にB 群溶血性レンサ球菌(GBS)と呼ばれる細菌がいないかどうかを確認する、培養検査も行われます。
さらに、赤ちゃんの活動度を評価するために、胎児の心拍数、子宮の収縮を同時に評価する検査も行われます。
治療
正常妊娠の場合は、妊娠40週前後に赤ちゃんの出生に至ります。この際、陣痛の程度に応じて子宮収縮剤の使用も検討されます。また、GBSの存在がある際には、分娩時に抗生物質を併用します。
近年では、経膣分娩に際して無痛分娩を選ぶ方もいますが、リスクについて理解したうえで適応を考慮することが大切です。
妊娠経過中には、実にさまざまなトラブルが生じる可能性があります。便秘は生じやすいものであり、便を柔らかくする薬を使用して排便を促すこともあります。
また、妊娠期間中には、子宮外妊娠や流産、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの病的な反応が生じることもあります。そのため、定期的な妊婦健診を受けることが重要です。
妊娠期間中には、性器出血の有無や赤ちゃんの胎動の様子、子宮のはり具合などを日頃から気にかけるようにし、気になる症状がある際には、早期に医療機関を受診するようにしましょう。
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