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高齢出産によるリスク――母体にかかる負担と赤ちゃんへの影響

高齢出産によるリスク――母体にかかる負担と赤ちゃんへの影響
河村 寿宏 先生

田園都市レディースクリニック 理事長、田園都市レディースクリニック あざみ野本院 院長

河村 寿宏 先生

目次
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この記事の最終更新は2017年12月28日です。

女性の年齢が上昇するにつれ、妊娠・出産に伴うリスクも上昇します。たとえば、妊娠高血圧症候群などの合併症を起こす可能性や、胎児が先天異常を発症する確率が高くなるのです。

今回は、引き続き田園都市レディースクリニック理事長の河村寿宏先生に、加齢に伴う妊娠・出産のリスクについてお話しいただきました。

高年齢での妊娠は、自然妊娠・不妊治療のどちらの場合でも、妊娠中や分娩に伴うリスクが若い方に比べて高くなります。

日本産科婦人科学会周産期委員会の調査によると、妊娠中に血圧が上昇し、母児のリスクが高くなる妊娠高血圧症候群になる確率は、30歳くらいまでは3%程度ですが、40歳代では倍近くの頻度に上昇します。

そして、妊娠中のさまざまな合併症の頻度も上昇しますし、分娩様式も帝王切開になる確率が高くなります。常位胎盤早期剝離や、胎盤が子宮口を塞ぐような場所にある前置胎盤という病気も発症する可能性が高くなります。

 

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母体年齢と妊娠高血圧

 

母体年齢と前置胎盤

また、妊産婦死亡や周産期死亡(死産や生後1週間未満の新生児死亡)のリスクや先天異常の赤ちゃんが生まれる可能性も高くなります。日本で妊産婦死亡の件数は非常に少ないのですが、そのことを考慮しても、年齢別に比較すると、高年齢の方は若い方よりも妊産婦死亡率が上昇してくるのです。

年齢別妊産婦死亡率

 

年齢別妊産婦周産期死亡率

高齢妊娠・分娩に伴う母体や胎児へのリスクを踏まえながら、不妊治療は可能であればリスクが高まる前に行ったほうがよいと考えています。

これは当院の例ですが、クリニックの治療でこれまでに妊娠された2万人以上の患者さんのうち半分は一般不妊治療、半分が体外受精に代表される高度生殖医療(生殖補助医療)を行っています。40歳代になると一般不妊治療での妊娠は難しく、高年齢の方の8割以上が体外受精を行っています。

 

不妊治療について詳しくはこちら

理想論を述べれば、医学的には20歳代のうちに子どもを産むのが望ましいのですが、現代の社会情勢から考えるとそれは容易ではありません。とはいえ、理想的には遅くとも30歳代前半までに妊娠するのが医学的観点からすると望ましいといえます。

そして、妊娠を望んでもなかなか妊娠に至らない場合は、早めに婦人科を受診したほうがよいと思われます。また、40歳代でご結婚され妊娠・出産を希望する場合は、最初から不妊治療の検査・治療を受けるということも1つの方法です。

 

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