S414x320 2571c0e4 41ec 416a a09e dbabbf8db534

タイアップ

公開日 : 2016 年 07 月 15 日
更新日 : 2017 年 10 月 20 日

人工授精と高度生殖医療(体外受精、顕微授精、凍結胚移植)―それぞれの方法と治療の流れ、費用について

女性不妊の治療には、手術療法やタイミング療法、排卵誘発剤や漢方薬その他の薬物療法、人工授精など様々な方法があります。これらの一般不妊治療を行っても妊娠が成立しない場合、また夫婦のいずれかあるいは双方が高齢である場合などは、高度生殖医療(生殖補助医療=ART:体外受精、顕微授精、凍結胚移植など)が行われることがあります。体外受精の技術は年々進歩を遂げており、実際に生まれてくる子どもの数も増えてきているといいます。今回は、人工授精・体外受精・顕微授精・受精卵(胚)凍結といった生殖医療について、田園都市レディースクリニック理事長の河村寿宏先生にお話しいただきました。

① 人工授精(AIH)

人工授精とは? 濃縮した精子を子宮に注入する治療

人工授精は、精子の数が少なかったり精子の運動率が悪かったり、あるいは性交後検査(フーナーテスト:性交後、注射器で頸管粘液を採取し、頸管内に精子が進入しているかどうかを調べる検査)の結果が悪い場合や性交障害がある場合などに実施される治療です。

人工授精では、受精の場である卵管にできるだけ多くの活発な精子を送り届けるために、精液を洗浄・濃縮して良好運動精子(活発に運動している精子)を集め、柔らかいカテーテルで子宮内に注入していきます。

人工授精のうち「人工」的に行うのは、精子を子宮内に注入するところまでです。その後は、精子が自力で卵管内に泳いでいきますので、卵子と受精する過程は自然妊娠と同じになります。

 

人工授精の成功率は? ケースによって異なるが、妊娠率は必ずしも高いとはいえない

年齢(夫婦とも、特に妻側)や精液所見(精子の運動能力や濃度、量、総運動精子数など)、排卵誘発剤使用の有無等によって異なりますが、一般的には数%~10数%であり、あまり高いとはいえないのが現状です。なお排卵誘発剤を使用し発育卵胞数が3個以上となった場合は、多胎妊娠(二人以上の胎児を妊娠すること)防止のため、人工授精の中止を検討します。

人工授精に痛みはあるのか。基本的には無痛

現在では柔らかいカテーテルを使用するのが一般的であり、多くの場合痛みはありません。しかしながら、子宮頸管が大きく曲がっている場合は子宮にカテーテルが入りにくくなるため、カテーテル挿入の際に痛みを伴う場合があります。

人工授精の流れ―排卵のタイミングで精子を子宮内に注入する

経腟超音波検査や女性の尿中のホルモン、頸管粘液の性状等から、排卵日をできるだけ正確に把握します。また、人工授精実施日に、パートナーの男性にはマスターベーションにより精液を採取していただきます。採取した精液は医療機関で洗浄・濃縮し、良好な運動精子を集めます。集まった精子は、柔らかいカテーテルを用いて子宮内に注入されます。

人工授精後は、感染を予防するため抗生剤を内服していただきます。また、必要に応じて黄体ホルモン剤の投与を行うこともあります。日常生活は普段通りで問題ありません。

人工授精の費用は? 施設によって差がある

治療を行う施設によって差がありますが、一般的には2万~3万円程度です。

② 体外受精胚移植(IVF-ET) 

体外受精胚移植とは? 代表的な高度生殖医療

体外受精胚移植とは、卵子を体外に取り出して精子とかけ合せて受精させ(体外受精)、数日間培養し、子宮に戻す(胚移植)という高度生殖医療です。

(体外受精で生まれてくる子どもは増加している) 

体外受精は、一般不妊治療や外科的治療での妊娠が困難な患者さん(下記参照)や、高年齢や卵巣機能の低下により一般不妊治療では妊娠成績が極めて不良である患者さん、多嚢胞性卵巣(たのうほうせいらんそう:卵巣皮膜が厚く硬いために排卵が困難となってしまう状態)で薬物治療や外科的治療が無効な患者さんなどに対して用いられます。

<一般不妊治療や外科的治療での妊娠が困難な場合>

・卵管性不妊症

・乏精子症や精子無力症等の男性不妊症

・子宮内膜症

・免疫性不妊症(抗精子抗体陽性)

・長期の原因不明の難治性不妊症

体外受精が成功する確率は? 30代中盤が境界になり、それ以降は急速に低下する

(日本産科婦人科学会が集計した全国統計)

グラフのように、高度生殖医療の妊娠率は女性側の年齢によって大きく異なります。一般的には30歳代半ば以降になると急速に低下していくといえます。

体外受精胚移植の流れ―回収した卵子に精子をかけて受精卵を作り、子宮に移植する

体外受精では採卵に至るまでに排卵誘発剤を使って卵巣を刺激し、卵胞を複数発育させます。この卵胞が十分成熟したら、局所麻酔や静脈麻酔をしたうえで卵胞を穿刺し卵胞液を吸引します。卵子はその卵胞液中に入っています。

回収された卵子は胚培養士が数時間培養しておき、その間に採卵日に採取された精子を洗浄・濃縮して良好運動精子を集め、卵子にふりかけます(媒精)。こうして受精卵(胚)ができます。

出来上がった受精卵はさらに数日間培養し、その一方で患者さんは黄体ホルモンを補充し、着床に適した子宮内膜を整えていただきます。子宮内膜が最適な状態になったところで、初期胚、胚盤胞各々の時期に合わせて、経腟的に子宮に移植します(胚移植)。

なお、着床環境が不良な場合や卵巣過剰刺激症候群が懸念される場合、あるいは移植胚以外に余剰胚がある場合は、受精卵(胚)を凍結保存することもあります(詳細は後述)。

体外受精のリスクは何がある? 多胎妊娠の可能性は?

体外受精では排卵誘発剤で卵巣刺激をするため、卵巣過剰刺激症候群(卵胞が多数発育しすぎてしまう状態)が、最も問題となる副作用です。

その他、採卵前、採卵中、妊娠後といった時系列で、それぞれに下記のようなリスクが考えられます。

・採卵前に行う麻酔の副作用

局所麻酔では、きわめて稀にアレルギー反応が起きることがあります。静脈麻酔では、呼吸抑制や麻酔後の吐き気、嘔吐等があらわれることがあります。

・採卵に伴うリスク

腟壁および腹腔内の出血が考えられます。また、非常に稀ではあるものの、採卵後の腹腔内や卵巣の感染が起こる場合があります。

・妊娠後のリスク

複数胚移植による多胎妊娠の可能性がありますが、2013年の全国統計では、胎嚢数多胎率は3%台まで減少してきております。一卵性双胎は1%強に認められ、自然妊娠より多くなります。また、異所性妊娠や、胎盤の位置異常(前置胎盤)の頻度も増加すると考えられています。

体外受精の費用は?

人工授精と同様、施設によって差があります。

一般的には、採卵から胚移植までが25~35万円程度であり、これに排卵誘発剤等の薬剤料やホルモン値等の検査料などを加えると35~45万円程度になります。また、胚盤胞培養や胚凍結などの処置を加えると50万円以上になることもあります。

なお、体外受精等の高度生殖医療(生殖補助医療)は保険適用になっていない代わりに、公的な助成金制度(特定不妊治療費助成制度)があります。ご夫婦(法律上婚姻している必要があります)の所得および、女性側の年齢(43歳未満)、あるいは回数の制限がありますが、治療内容により通常7.5万円~15万円(初回のみ最大30万円)の助成金を、ご自身が自治体に申請することにより受け取ることができます。助成金額等は各自治体によって異なるので、ご自身が居住されている自治体に確認しましょう。

体外受精の際は胚のグレードが高いほど妊娠率が高くなるのか

胚にはいくつかの「グレード」が存在します。グレードとは、顕微鏡下で観察された胚の状態を分類したものです。

しかしながら、現在一般的に用いられている胚のグレード評価は、あくまで顕微鏡下での「見た目の評価」です。そのため、胚の中身(染色体が正常であるかなど)はわかりません。グレードが高い胚のほうが低い胚よりも妊娠率が高くなりますが、グレードが高いから必ず妊娠するというわけではないことを知っておきましょう。

胚移植の方法は? カテーテルを用いて胚を子宮に移植する

ほとんどの胚移植のケースでは、予め胚を吸い込んでおいたカテーテルを子宮頸管から経腟的に挿入し、子宮の体部に移植します。

(胚移植のイメージ)

胚移植後の過ごし方について

通常どおり生活していただいて問題ありません。

女性不妊のページへ

関連記事