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不妊症の治療 -体外受精胚移植(IVF‐ET)

不妊症の治療 -体外受精胚移植(IVF‐ET)
河村 寿宏 先生

田園都市レディースクリニック 理事長、東京医科歯科大学臨床教授

河村 寿宏 先生

高度生殖医療(生殖補助医療)は大きく体外受精、顕微授精、凍結胚移植の3つに分かれますが、今回は体外受精について田園都市レディースクリニック理事長の河村寿宏先生にお話しいただきました。

体外受精胚移植とは?代表的な高度生殖医療(生殖補助医療)

体外受精胚移植は代表的な高度生殖医療(生殖補助医療)です。

卵胞内卵子を採取し体外で受精させたのち、体外で分割卵、胚盤胞へと成長させてから子宮内部へ戻して着床させます。この方法では、あらかじめ採取し不純物を取り除くなどして精製した精子と媒精(ばいせい)させることで受精を試みます。卵子と精子の受精を手伝う顕微授精とは異なり、体外受精は採取した卵子と精子の出会う場所を提供する方法と考えることができます。

体外受精で生まれてくる子どもは増加している

日本で生まれる子どものうち、高度生殖医療(体外受精、顕微授精、凍結胚移植)で生まれてくる数は増加しています。次の図のとおり、2015年は19.7人に1人が高度生殖医療(生殖補助医療)により生まれた子どもで、全体の5%を超える計算になります。

体外受精で生まれてくる子どもs
体外受精で生まれてくる子どもは増加している

体外受精はどんなケースに実施する?

体外受精は、一般不妊治療や外科的治療での妊娠が困難な患者さんや、高年齢や卵巣機能の低下により一般不妊治療では妊娠成績が極めて不良である患者さん、多嚢胞性卵巣症候群*で薬物治療や外科的治療が無効な患者さんなどに対して用いられます。

多嚢胞性卵巣症候群…両側卵巣が腫大・多嚢胞化・表層は肥厚し、排卵障害、月経異常、不妊、多毛、などを伴う症候群。

 

多嚢胞性卵巣症候群について関連記事はこちら

 

一般不妊治療や外科的治療での妊娠が困難な場合とは、以下のような状態です。

卵管性不妊症

卵管の閉塞や、卵管周囲の癒着などにより、卵子を取り込むことが困難なピックアップ障害といった卵管の異常に対し、外科的治療等を行っても妊娠が困難である場合。

乏精子症や精子無力症等の男性不妊症

精液中の精子数が少なかったり、運動率がよくなかったりするケースで、それに対する治療や人工授精を行っても妊娠が成立しない場合、あるいは人工授精を行ったとしても妊娠が不可能なほど精液所見が不良である場合。

子宮内膜症

子宮内膜が本来存在するべき子宮内腔ではなく、骨盤や腹膜に存在する疾患で、これに対して薬剤や外科的治療、一般不妊治療を行っても妊娠に至らない場合。

 

子宮内膜症について関連記事はこちら

免疫性不妊症(抗精子抗体陽性)

抗精子抗体とは、精子に対する抗体で、この抗体が女性の体内で作られこれにより妊娠の成立が妨げられていると考えられる場合。

その他には、長期の原因不明の難治性不妊症なども体外受精胚移植の対象となります

体外受精が成功する確率は? 30代中盤が境界になり、それ以降は急速に低下する

高度生殖医療(生殖補助医療)の妊娠率は女性側の年齢によって大きく異なります。一般的には30代半ば以降になると急速に低下していくといえます。

 

不妊治療の確率について詳しくはこちら

体外受精胚移植の流れ―回収した卵子に精子をかけて受精卵を作り、子宮に移植する

体外受精の流れ

STEP1

体外受精では採卵に至るまでに排卵誘発剤を使って卵巣を刺激し、卵胞を複数発育させます。この卵胞が十分成熟したら、局所麻酔や静脈麻酔をしたうえで卵胞を穿刺し卵胞液を吸引します。卵子はその卵胞液中に入っています。

STEP2

回収された卵子は数時間培養しておき、その間に採卵日に採取された精子を洗浄・濃縮して良好運動精子を集め、卵子にふりかけます(媒精)。体外で卵子と精子を受精させることで、受精卵(胚)をつくります。これが体外受精です。

STEP3

出来上がった受精卵をさらに数日間培養し、その一方で患者さんは黄体ホルモンを補充し、着床に適した子宮内膜へと整えます。子宮内膜が最適な状態になったところで、初期胚、胚盤胞各々の時期に合わせて、経腟的に子宮に移植します(胚移植)。

なお、着床環境が不良な場合や卵巣過剰刺激症候群が懸念される場合、あるいは移植胚以外に余剰胚がある場合は、受精卵(胚)を凍結保存することもあります(詳細は後述)。

体外受精のリスクは?

主なリスクは卵巣過剰刺激症候群

体外受精では排卵誘発剤で卵巣刺激をするため、卵巣過剰刺激症候群(卵胞が多数発育しすぎてしまう状態)が、主な副作用です。

その他、採卵前、採卵中、妊娠後といった時系列で、それぞれに次のようなリスクが考えられます。

採卵に伴うリスク

腟壁および腹腔内の出血が考えられます。また、非常にまれではあるものの、採卵後の腹腔内や卵巣の感染が起こる場合があります。

採卵時に生じる痛み

採卵時にも痛みが発生する可能性があります。そのため、田園都市レディースクリニックでは、以下のような対策を行っています。

針の太さが細く変化

採卵時の痛みのほとんどは、針で刺す穿刺の痛みです。20年前くらいまでは、16~18ゲージという太い針で採卵をしていました。そのため、痛みを訴える患者さんが多くいらっしゃいました。しかし、次第に細い針へと変化していき、当院でも当初の18ゲージから、2017年時点では21ゲージにまで細くなりました。そのため、以前に比べると痛みが軽減されています。また、鎮痛剤(座薬)や麻酔の使用により、痛みをさらに軽減するような対策を行っています。

鎮痛剤(座薬)

卵胞数も少なく、卵胞の場所も容易に穿刺可能な場所であれば、麻酔は必ずしも必須ではなく、鎮痛剤のみで採卵出来ることもあります。

麻酔

麻酔をする場合、主に使用されているものは局所麻酔です。腟の奥、子宮の入り口の周囲に局所麻酔をすることにより、採卵針で刺す部位が麻痺するため、痛みはほぼないか、ごく軽度となります。

また、静脈麻酔が使用されることもあります。静脈麻酔はあらかじめ点滴をしたうえで、眠る麻酔薬や痛みをとる麻酔薬を注入し、患者さんが眠った状態で採卵が行われます。そのため、目覚めたときには採卵は終了しています。田園都市レディースクリニックでは、よほど卵胞数が多くない限り、5分以内、長くても10分以内で採卵が終了します。また、上記のような鎮痛剤や麻酔も使用しますので、痛みを強く心配する必要はありません。

採卵前に行う麻酔の副作用

局所麻酔では、きわめてまれにアレルギー反応が起きることがあります。静脈麻酔では、呼吸抑制や麻酔後の吐き気、嘔吐等があらわれることがあります。

妊娠後のリスク

複数胚移植による多胎妊娠の可能性がありますが、2015年の全国統計では、胎嚢確認時の多胎率は3%台まで減少してきております。一卵性双胎は1%強に認められ、自然妊娠より多くなります。また、異所性妊娠や、胎盤の位置異常(前置胎盤)の頻度も増加すると考えられています。

増加する胚盤胞移植 メリットとデメリットは?

胚移植を実施する際、以前までは、初期の段階の初期胚を患者さんの子宮内へ移植する初期胚移植という方法が主流でした。しかし、2017年時点では、胚が初期胚を過ぎ胚盤胞となってから子宮に移植する胚盤胞移植という方法を選択する患者さんが増加しています。胚盤胞移植には、以下のようなメリットとデメリットが存在します。

胚盤胞移植のメリット

通常の体内では、受精卵は受精後分割が進み、最終的に胚盤胞の状態になってから子宮内に着床します。しかし、受精した胚がすべて胚盤胞になるとは限りません。一般的には、受精卵のうち胚盤胞に到達するのは5~6割程度と考えられています。つまり、胚盤胞を移植するということは、受精卵のうち胚盤胞まで到達することのできた胚を移植できるということです。

このため、まだ胚盤胞に到達できるかわからない段階の初期胚を移植した場合と比較すると、胚移植あたりの妊娠率が高くなります。また、自然妊娠においては、初期胚の段階では、まだ卵管内にあり、胚盤胞となってから子宮に入ってきて着床します。子宮内と卵管内の環境は違うといわれていますが、一般的な胚移植の場合、初期胚・胚盤胞にかかわらず子宮内に移植します。このように、胚盤胞移植のほうが自然妊娠に近い環境であるということも、妊娠において有利になる可能性が高くなります。

その他にも、採卵を行ってから、胚盤胞になるくらいの時期のほうが、子宮の収縮運動が低下しているため、着床しやすいともいわれています。

胚盤胞移植のデメリットと問題点

メリットでご説明したとおり、受精卵が必ず胚盤胞まで到達するとは限りません。そのため、受精卵が1個も胚盤胞にならなかった場合は、その周期での胚移植や胚凍結保存がキャンセルとなります。また、胚盤胞まで培養する場合は、一般的に追加のコストが発生します。そして、胚を体外で胚盤胞になるまで培養する(5日間以上培養する)ことにより、胚への影響がまったくないと証明されているわけではありません。

その他には、胚盤胞移植が行われるようになってから、まだ20年程度のため、次世代への影響など、長期的なデータは存在しません。ですが、胚盤胞移植と初期胚移植で先天性異常の数に差がでるという報告はありません。また、一部の論文には、胚盤胞移植では、初期胚移植に比して一卵性双胎の発生頻度が上昇すると述べられているものもあります。しかし、田園都市レディースクリニックでは、初期胚移植と胚盤胞移植で一卵性双胎の発生頻度には有意差が出ておりません。

体外受精の際は胚のグレードが高いほど妊娠率が高くなる?

胚にはいくつかの「グレード」が存在します。グレードとは、顕微鏡下で観察された胚の状態を分類したものです。

しかしながら、一般的に用いられている胚のグレード評価は、あくまで顕微鏡下での「見た目の評価」です。そのため、胚の中身(染色体が正常であるかなど)はわかりません。グレードが高い胚のほうが低い胚よりも妊娠率が高くなりますが、グレードが高いから必ず妊娠するというわけではまったくありません。

最近、胚盤胞のグレードと染色体の正常性、着床率について調査した論文が発表されました。論文の内容には、胚盤胞のグレードが高いものほど正常な染色体である確率が高いものの、染色体が正常であれば胚のグレードに関わらず着床率は変わらないということが示されています。胚の成長率でも同様です。正常な染色体でれば、胚盤胞到達までが遅い胚でも着床率は変化しません。

このことは、グレード(見た目)がよい胚盤胞でも染色体異常があれば妊娠せず、グレードがあまり良好でなく胚盤胞到達までに時間がかかっても、染色体が正常であれば妊娠する可能性が高いことを示しているのです。

つまり、グレードという見た目だけでは、妊娠率が高そうなのか低そうなのかという推測はできても、本当の胚の良し悪しは判断できないということになります。なお、胚の染色体異常の有無を事前に検査すること(着床前診断)は、2017年時点の日本では一部の疾患のある方のみ認められています。現在学会が主導して、検査の安全性や有効性を検証しています。

胚移植の方法は? カテーテルを用いて胚を子宮に移植する

ほとんどの胚移植のケースでは、あらかじめ胚を吸い込んでおいたカテーテルを子宮頸管から経腟的に挿入し、子宮の体部に移植します。カテーテルは細くて非常に柔らかいため痛みを感じることは少なく、胚移植の際に麻酔をする必要はありません。また、胚移植に要する時間は一般的には1分程度です。

胚移植後の過ごし方について

通常どおり生活していただいて問題ありません。しかし、激しい運動はお勧めしません。

 

なお、受診を決めている方は以下予約専用ダイヤルにてお問い合わせいただけます。

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