たのうほうせいらんそうしょうこうぐん

多嚢胞性卵巣症候群

別名:PCOS
卵巣

目次

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概要

多嚢胞性卵巣症候群とは、卵巣に小さな卵胞が連なって詰まり、排卵に障害をきたす病気です。インターネット上では「PCOS」と検索されていることも多いようです。

多嚢胞性卵巣症候群は、月経異常や不妊の主な原因の一つとして重視されている病気です。

多嚢胞性卵巣症候群には、アンドロゲン過剰、LH(黄体形成ホルモン)高値、卵巣の多嚢胞(たのうほう)性変化という3つの大きな特徴があります。他にも、肥満や多毛など多彩な症状を伴います。このうち、日本人の女性では、無月経や不妊などの症状がみられやすく、欧米の女性に多い多毛や肥満などの症状は比較的少ないという特徴があります。

原因

原因は完全に解明されているわけではありませんが、脳下垂体から分泌される卵巣刺激ホルモン・ゴナドトロピンと、卵巣から分泌される女性ホルモンのバランスが崩れ、排卵が障害されると考えられています。

欧米では男性ホルモン値が高い方、太り気味の方、血糖値が高めの方に多いと指摘されていますが、日本では必ずしもあてはまりません。近年では、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)も注目されています。そのため、多嚢胞性卵巣症候群に高インスリン血症や脂質代謝異常を伴うことがあります。

症状

多嚢胞性卵巣症候群の自覚症状には、以下のものがあります。

  • 無月経
  • 月経が以前は順調だったのに現在は不規則
  • 不妊
  • にきびが多い
  • やや毛深い
  • 肥満
  • 糖代謝異常

検査・診断

検査方法としては、以下が挙げられます。

  • ホルモン検査(男性ホルモン、ゴナドトロピン:FSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)を調べます)
  • 超音波検査

多嚢胞性卵巣症候群は、以下の3つすべてを満たす場合に診断されます。

  • 月経異常(無月経、稀発月経、無排卵周期症のいずれか)
  • 両側卵巣に多数の小卵胞(超音波検査にて)
  • 血中男性ホルモン高値またはLH値≧FSH値

治療

妊娠希望の有無により方針は異なりますが、いずれの場合でも、肥満があれば減量や運動を行います。減量や運動は、排卵誘発の成功率も高めるために行います。

妊娠を希望していない場合の治療法

多嚢胞性卵巣症候群は、受診年齢や背景によって治療目標が異なります。

若年〜性成熟期女性

低用量ピル(経口避妊薬)を用い定期的に出血(消退出血)を起こします。ピルを用いて消退出血を起こす理由は、子宮内膜がんのリスクを回避するためです。無排卵により、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌を伴わない持続的なエストロゲン(卵胞ホルモン)の刺激を受けると、子宮内膜がんのリスクが高くなるとされます。そのため、少なくとも3か月ごとなど、定期的に消退出血を起こさせる必要があります。

エストロゲンの基礎分泌が保たれているため、黄体ホルモンで消退出血を起こすことができますが、エストロゲンとプロゲステロンを両方とも投与するKaufmann療法や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)も用いられます。

性成熟期以降

肥満の有無に関わらず高インスリン血症や脂質代謝異常を伴いやすく、2型糖尿病、メタボリックシンドローム、心血管疾患、脂肪肝などのリスクとなります。そのため、これらの予防が必要です。

妊娠を希望している場合の治療法

まず、排卵誘発剤を内服します。無効の場合はFSH製剤を注射する治療を行います。また、腹腔鏡下卵巣多孔術という手術が検討されることもあります。手術により卵巣表面の小さな卵胞に孔(穴)を開けることで、ゴナドトロピンのバランスが是正され、排卵機能が回復すると期待されます。

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