血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。血糖値が慢性的に上昇するもっとも代表的な病気が糖尿病であり、血糖値は主に糖尿病の診断や重症度あるいは血糖コントロール状態の評価のために調べられる検査項目です。
また、糖尿病は発症初期では自覚症状がほとんどないため、早期発見を目的として健康診断などでも広く調べられています。
一方、血糖値の低下(低血糖)では冷や汗、震えなどの症状のほか、重症な場合は意識障害も引き起こすため、これらの症状が見られた場合にはいち早く血糖値を調べることも少なくありません。
食事で摂取した炭水化物などが消化されてブドウ糖になると、小腸で吸収されて血液の中に入るため血糖値が上がります。すると、血糖値を下げるはたらきを持つインスリンと呼ばれるホルモンが膵臓から分泌され、そのはたらきでブドウ糖が細胞内に取り込まれて血糖値が下がります。
しかし、何らかの原因でインスリンのはたらきが弱まったり、分泌量が低下したりすると、血糖値が高い状態が続いてしまうのです。
また、逆に筋肉や肝臓に蓄えられているグリコーゲンを分解してブドウ糖を作り出し、血糖値を上げるはたらきを持つグルカゴンと呼ばれるホルモンも存在します。グルカゴンも膵臓から分泌されますが、血糖値が下がるとグルカゴンの分泌が亢進して血糖値が上がります。
血糖値に関連する病気の中ではやはり糖尿病が多く、日本国内で糖尿病が強く疑われる人は1000万人(平成28年度)にも上るとされています。重症化すると視力障害や神経障害、腎機能障害など重篤な合併症を引き起こすため、早期発見・早期治療が何よりも大切です。そのため血糖値を測定する意義は非常に大きく、さまざまな場面で測定が行われています。
血糖値の測定は、疲れやすい・喉が渇く・頻尿など糖尿病の症状が見られる場合や、冷や汗・動悸・手足の震え・めまいなどの低血糖の症状が見られる場合には必ず行われます。また、妊娠すると糖尿病のリスクが高まる場合もあることから、妊娠初期や中期の妊婦健診で測定するのが一般的です。
ただし、血糖値は検査前の食事など条件に大きく影響されやすいため、糖尿病の診断を目的として検査を行う場合は、その検査結果だけで糖尿病か否かを診断することはできません。
また何らかの病気が隠れている可能性もあるので、通常は過去1~2か月の血糖値の平均値を反映するHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー:グリコヘモグロビンともいう)を測定したり、ブドウ糖を含んだ液体を飲んで血糖値の変動を測る75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)などの精密検査が行われたりします。
このような診断以外にも、糖尿病をはじめとした生活習慣病などの病気の有無を幅広く調べるために、健康診断や人間ドックでも血糖値が測定されます。
血糖値は一般的な血液検査によって測定します。食事やアルコールの影響で値が大きく変動してしまうので、検査前の夜21時以降は食事をせず、アルコールも飲まないようにしましょう。
また、糖分を含んだ飲料を避け、検査前はお茶や水も念のため控えることがポイントです。食事をされた場合には何時頃、どのようなものを食べたかを医師や看護師に伝えるようにしましょう。
血液検査で用いる血液は、主に腕の血管(静脈)に針を刺して採取します。袖周りのきつい服装だと採血がしにくく、採血後に血液が漏れやすくなるので、検査の日には袖周りにゆとりのある服を着ておくのがよいでしょう。
上着は着脱しやすいものを選ぶと、よりスムーズに検査が受けられます。
採血自体はそれほど時間がかからず、スムーズにいけば数分程度で終わります。針を刺すときにチクっとした痛みを感じますが、痛みの程度は軽い場合であることがほとんどです。強い痛みやしびれを感じた場合には、我慢せずにすぐ採血担当者に伝えましょう。
空腹時の血糖値の基準値は、70~109mg/dLです。これよりも低い場合が低血糖(一般的には60mg/dLが多い)、高い場合が高血糖となります。ただし、血糖値は食事の影響を受けやすいため、診断で用いられる血糖値には食事のタイミングを考慮しない随時血糖、10時間以上絶食し空腹の状態で測る空腹時血糖、ほかにも精密検査として経口ブドウ糖負荷試験があります。
血糖値が高値を示した場合に疑われることの多い病気が糖尿病です。血液検査のほかの測定項目であるHbA1cも併せて確認したうえで糖尿病の可能性があると判断された場合には、精密検査として経口ブドウ糖負荷試験が実施されることがあります。多くの場合、このような検査を複数回行い、糖尿病の診断を確定します。
また、そのほかにも血糖値の異常を示す病気は多岐にわたります。具体的には、血糖値に関わるホルモンの異常分泌を引き起こす膵臓の病気、副腎不全、甲状腺機能亢進症などが挙げられます。これらの病気は血糖値の数値のみでは診断が下せませんので、腫瘍マーカーやホルモン値を含めた血液検査、CTやMRIといった画像検査などによる精密検査が必要に応じて行われます。
また、血糖値の測定は、関連する病気の治療中に経過観察を目的として行われることや、治療効果を評価するために行われることも多くあります。血糖値が異常値を示していたとしても前回よりも改善している場合には、特別な対処はせず、経過観察や治療が継続されることもあります。
血糖値は、1回だけでなく2回、さらには定期的な測定が必要です。継続的に検査が必要と判断されたら医師の指示に従い、忘れずに必ず受診するようにしましょう。
結果によっては生活習慣の改善や薬による治療などをすすめられる場合もあります。特に治療においては、自己判断で中止すると悪化してしまう可能性があるので自己判断で中止しないようにしましょう。また、簡易血糖自己測定器をお持ちの方はご自身で定期的に測定することが大切です。
本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。
周辺で血糖値に関連する治療の実績がある医師
朝日生命成人病研究所 所長
内科、腎臓内科、皮膚科、眼科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、甲状腺内科
東京都中央区日本橋馬喰町2丁目2-6 朝日生命須長ビル2・3・4F
JR中央・総武線「浅草橋」西口 徒歩5分、都営浅草線「浅草橋」A3出口 徒歩7分、JR総武本線「馬喰町」C4出口から徒歩2分 徒歩7分、都営新宿線「馬喰横山」C4出口から徒歩2分 徒歩8分
医療法人社団平永会 日下診療所 理事長、八丁堀3丁目クリニック 院長
特集コンテンツ
コミュニケーションを大切に、地域に根差したかかりつけ医として
医療法人社団平永会 日下診療所(東京都荒川区南千住5丁目21-7 1F:JR常磐線(上野~取手) 南千住 西口 徒歩5分)の病院ページ。
内科、小児科、糖尿病内科
東京都荒川区南千住5丁目21-7 1F
JR常磐線(上野~取手)「南千住」西口 徒歩5分
東京逓信病院 内分泌・代謝内科 部長
内科、血液内科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、感染症内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、総合診療科、病理診断科
東京都千代田区富士見2丁目14-23
JR中央・総武線「飯田橋」西口 徒歩5分、東京メトロ有楽町線「飯田橋」B2a出口(東京メトロ南北線も同様) 徒歩6分、都営大江戸線「飯田橋」A4出口(東京メトロ東西線も同様) 徒歩9分
武蔵野赤十字病院 内分泌代謝科部長
内科、血液内科、リウマチ科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器科、呼吸器外科、消化器科、腎臓内科、循環器科、心臓血管外科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、内分泌科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、緩和ケア内科、腫瘍内科、感染症内科、代謝内科、膠原病内科、頭頸部外科、総合診療科、病理診断科
東京都武蔵野市境南町1丁目26-1
JR中央線(快速)「武蔵境」南口 小田急バス、ムーバス(境南東循環):武蔵野赤十字病院下車 徒歩10分
朝日生命成人病研究所附属医院 糖尿病内科 診療部長・糖尿病内科部長 兼 治験部長
内科、腎臓内科、皮膚科、眼科、循環器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、甲状腺内科
東京都中央区日本橋馬喰町2丁目2-6 朝日生命須長ビル2・3・4F
JR中央・総武線「浅草橋」西口 徒歩5分、都営浅草線「浅草橋」A3出口 徒歩7分、JR総武本線「馬喰町」C4出口から徒歩2分 徒歩7分、都営新宿線「馬喰横山」C4出口から徒歩2分 徒歩8分