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しきゅうたいがん

子宮体がん

最終更新日
2020年07月28日
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2020/07/28
更新しました
2020/07/01
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

子宮体がんとは、子宮の内側を覆う“子宮内膜”と呼ばれる組織から発生するがんのことです。同じ子宮に生じるがんに“子宮頸がん”がありますが、がんの生じる部分が異なり、原因や症状、治療方法などがまったく異なる病気なので、注意が必要です。

がんの発生部位の違い(提供:PIXTA)

子宮は女性特有の臓器で、妊娠時に胎児を育てる重要な役割を果たします。子宮自体は筋肉でできていて、内側は受精卵が着床する場でもある子宮内膜と呼ばれる粘膜で覆われており、女性ホルモンの分泌バランスによって増殖・成熟したり、剥がれ落ちたりすることを繰り返しています。なお、“月経”は妊娠に向けて増殖・成熟した子宮内膜が剥がれ落ちたものが血液などと共に排出されたものです。

子宮体がんの好発年齢は50~60歳代で閉経後に発症するケースが多く、早期の段階から不正出血が生じるため比較的早く発見できるがんの1つでもあります。しかし、進行するとがん細胞が腹腔内をはじめさまざまな箇所に転移することもあります。

原因

子宮体がんの発症には“エストロゲン”と“プロゲステロン”という2つの女性ホルモンが関わっています。エストロゲンは子宮内膜の増殖を促す作用があります。一方で、プロゲステロンは子宮内膜の増殖を抑制する作用を持ち、エストロゲンの作用を調整しています。このプロゲステロンが不足して相対的にエストロゲンが過剰となる状態が続くと、刺激によって子宮内膜が異常に増殖し、子宮体がんを発症すると考えられています。

そのため、妊娠回数の少ない人や肥満の人などエストロゲンに過剰にさらされている期間が長い女性は、子宮体がんの発症リスクが高くなると考えられています。また、以前は更年期障害などの治療で卵胞ホルモン(エストロゲン)製剤だけのホルモン療法を行うことがあり、子宮のある女性にエストロゲンだけのホルモン治療をすることによって子宮体がんのリスクが上がることが懸念されました。しかし現在は、子宮のある女性に対してホルモン治療を行う場合はエストロゲンとプロゲステロンを併用することが一般的であるため、ホルモン治療によって子宮体がんにかかるリスクは小さくなっています。なお、手術により子宮を摘出した女性に対して行うホルモン治療では、エストロゲンのみのホルモン治療が行われます。

そのほかに月経不順のある人や糖尿病高血圧といった病気を持つ人は子宮体がんにかかりやすくなるといわれています。また、子宮体がんは遺伝子の異常によって引き起こされるケースもあり、同じ家系に大腸がん乳がんを患ったことがある人がいると通常より発症リスクが高いことが知られています。

症状

子宮体がんの中でもっともよく見られる症状が不正性器出血です。出血の現れ方は人によって異なりますが、初期症状として現れることもあり、早期発見に役立つ場合があります。月経のような赤い出血が見られるケースもあれば、茶色っぽいおりものが見られるのみのケースも少なくありません。子宮体がんは閉経後に発症しやすいため、閉経したにもかかわらず性器出血があるときは婦人科を受診する必要があります。

子宮体がんは進行すると腟や卵巣、卵管などを巻き込み破壊しながら増殖していき、リンパ節を含む遠隔転移を引き起こすこともあります。進行すると出血を伴う下腹部痛などの症状が見られるようになります。

検査・診断

子宮体がんが疑われたときには、次のような検査が行われます。

子宮内膜組織診(病理学的検査)

がんの組織や細胞の一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査です。子宮体がんの確定診断に必須の検査となっています。子宮体がんの確定診断では子宮内膜組織診を中心に行い、補助的に子宮内膜細胞診を行うことがあります。細胞診だけでは確実な診断を行うことが困難なため、すでに子宮体がんを疑うような症状が現れている人には組織診を行うことが一般的です。子宮内膜組織診とは、さじ状の器具もしくは吸引器具を使って子宮内部の組織を採取して行う検査のことです。一方、子宮内膜細胞診は、子宮の内部に細い棒状の器具を挿入し、細胞を採取して行う検査を指します。

超音波検査、子宮鏡検査

子宮の状態を調べるための検査です。超音波検査は腟の中やおなかの上から子宮に向けて超音波を当て、子宮の大きさやしこりの有無などを外来受診時に調べることができます。一方、子宮鏡検査は腟から子宮の内部に子宮鏡と呼ばれる特殊な器具を挿入し、内部の状態を詳しく調べる検査です。子宮体がんは子宮の内部から発生するので診断を下すうえで有用な検査となります。

画像検査

病気の広がりや転移の有無などを詳しく評価するため、MRIなどの画像検査が行われます。また、遠隔転移の状況を把握するためにCT 、PET検査が行われることもあります。

治療

子宮体がんの治療は進行度や全身の状態によって大きく異なり、主に次のようなものが行われます。

手術

子宮体がんの治療の第一選択は手術によって子宮を摘出することです。早期の子宮体がんであれば、腹腔鏡手術やロボットを使用した手術などの低侵襲手術(患者の体にかかる負担が少ない手術)が行われます。手術は体力さえ持てば、転移を起こしたような進行がんでも行うことがあります。摘出する範囲はがんの広がりによって異なり、がんが子宮の壁の浅い部分でとどまっている場合は子宮・卵管・卵巣を摘出しますが、子宮の壁全体に広がっているようなケースや周囲の臓器にまで及んでいるようなケースでは周囲のリンパ節などを含めて広範囲にわたる摘出が必要なケースも少なくありません。

薬物療法

手術で子宮を摘出してしまうと妊娠ができなくなってしまいます。そのため、患者が妊娠・出産を希望している場合には、子宮を残し、妊娠できる機能を残すことができる妊孕性(にんようせい)温存療法を行うことがあります。治療にはホルモン剤である高用量プロゲステロンを用いた薬物療法が行われます。ただし、妊孕性温存療法では出産後にがんが再発する確率が高く、遠隔転移などによって命を落とす危険を伴うこともあります。そのため、妊孕性温存療法を選択したケースでは、妊娠・出産後に子宮を摘出する手術が行われます。

術後の再発を予防するために抗がん剤治療や放射線治療が行われることがあります。また、手術ができないケース、完全に摘出できないケース、再発したケースなどにもこれらの薬物療法が行われるのが一般的です。

近年では進行・再発した子宮体がんに免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブ)という新しい薬による治療が行われるようになりました。ペムブロリズマブによる治療が適応となる例はあまり多くはありませんが、現在さまざまな治験が行われている最中であり、今後のさらなる効果が期待されています。

放射線治療

がんに放射線を照射してがんの縮小を目指す治療です。一般的に手術後の再発予防には抗がん剤が用いられますが、放射線治療が行われることもあります。また、術後に腟に再発した場合などは放射線治療の効果が期待できます。手術に耐えうる体力がないなど手術が行えないケースにも、手術よりも治療成績は芳しくないものの放射線治療が行われることがあります。

予防

子宮体がんは肥満高血圧糖尿病などの生活習慣が発症リスクを高めることが分かっています。そのため、発症を予防するには食生活や運動習慣などを調えていくことが必要です。また、生理不順のある人も子宮体がんにかかりやすい可能性があるため、気になる症状がある場合は婦人科の受診を検討しましょう。

さらに、家系内に大腸がん乳がんなどを発症したことがある女性は遺伝によって発症リスクが高いことが知られています。何かしらの症状が現れたり、異常を感じた場合には、放置したりせずに婦人科を受診するようにしましょう。

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