
子宮体がんは子宮体部にできるがんのことで、日本では年間約16,000人が子宮体がんと診断されます。また、患者は40歳代以降から増加し、50~60歳代の患者数がもっとも多くなっています。子宮体がんの症状には不正出血などがあり、症状があるにもかかわらず放置するとがんが進行し治療が困難になることもあります。そのため、気になる症状がある場合は放置せずに検査などを検討する必要です。
本記事では、子宮体がんの症状や放置する危険性、治療などについて詳しく解説します。
子宮体がんを発症した場合、約95%に不正出血があるとされているため、不正出血がある場合は子宮体がんの可能性があります。また、閉経後に不正出血がある方のうち、3人に1人の割合で子宮体がんが原因であるとされています。ただし、不正出血を引き起こす病気には子宮体がん以外にも感染症による炎症や月経異常、子宮筋腫などが挙げられます。いずれも不正出血がある場合は疾患の可能性があるため放置せず、子宮体がんやほかの病気であることを考えて婦人科の受診を検討しましょう。
また、20歳以上の女性であれば定期的に子宮がん検診を受けている人も多いことでしょう。しかし、一般的な子宮がん検診は子宮頸がんの検診であり、子宮体がんの有無を調べることはできません。そのため定期的に子宮がん検診を受けており、その検査で異常のない人でも、不正出血などの気になる症状がある場合は子宮体がん検査はあらためて受ける必要があります。
子宮体がんを放置しても自然に治るということはありません。
子宮体がんを放置すると症状が進行し、がんの深さや転移が進むことがあります。
子宮体がんの状態は“ステージ”で表すことができ、進行度合いによって0期~IV期に分類されます。ステージによって治療方法が異なり、放置して進行すればより複雑な治療を行ったり、場合によっては治療が不可能となり緩和ケアしか選択肢がないという状況になったりする可能性もあるため、早期検診・治療が非常に重要になります。
子宮体がんにはI型、II型の二つのタイプがあり、これは原因による分類です。I型はエストロゲンの刺激が長く続くことが原因の子宮体がんです。一方II型はエストロゲンとは関連がなく、糖尿病や遺伝などが原因といわれている子宮体がんです。一般的に子宮体がんはI型で進行はそれほど速くありませんが、II型は約10%で進行が速いとされています。そのため、タイプによっては進行が早くなるため、早い段階での発見・治療が必要です。
子宮体がんはステージや状態によって治療方法が異なりますが、基本は手術によって子宮、卵巣、卵管を取り除きます。
ただし、早期のがんであり、がんの組織型によってはホルモン療法で子宮温存ができる場合があります。一方進行すれば子宮全摘出のほか、周辺のリンパ節を切除したり、大網(大腸や小腸を覆う網のような脂肪組織)や腸管を切除したりする必要もあります。さらに進行している場合は手術が不可能となるほか、手術後に放射線治療や化学療法をさらに追加で行う必要もあります。したがって、早期検診・早期治療が非常に重要だといえます。
子宮体がんの手術後にはさまざまな不調が現れることがあります。子宮体がんの手術後に現れることがある症状には、主に便秘、むくみ、出血などがあり、症状に合わせた対処方法があります。ただし、術後に気になる症状があればまずは医師に相談をして、医師の指導のもと対処法を行うようにしましょう。
術後は便秘がちになることがあります。食物繊維の多い食材を食べたり、運動をしたりすることで便秘解消を目指しましょう。ただし、腸閉塞の傾向がある場合は消化のよいものを取るようにしましょう。また、調子が悪いときは絶食し、点滴が必要になることがあります。24時間以上ガスが出ない、腹痛が強い、嘔吐があるなどの場合は、放置せずにかかりつけ医に相談することを検討しましょう。
手術で骨盤リンパ節を摘出すると脚にむくみが生じることがあります。圧迫ストッキングの着用、体位の工夫、適度な体操や散歩などでむくみを予防するとよいでしょう。
ただし、脚に小さな傷などがあるとそこから細菌が入り、大腿部や下腹部で炎症を起こすことがあります。脚が赤く腫れたときは急ぎの受診が必要な場合があります。
そのほか、強い腹痛、嘔吐、脚や下腹部が赤くなる、熱を持っている、血便、血尿などがあるときは急ぎの受診が必要な場合があります。血便や血尿に関しては、腟や腸管、膀胱から出血し、尿、便に混じることがあります。
不正出血が生じている場合は、子宮体がんやほかの婦人科系疾患である可能性があります。そのため、不正出血が見られた場合は放置せず、婦人科の受診を検討しましょう。また、子宮体がんの術後に起こる不調の中にも放置してはならない症状があります。場合によっては急ぎの受診が必要なこともあるため注意しましょう。
NTT東日本関東病院 産婦人科部長
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