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子宮体がんとは?原因・症状・治療――再発リスクはあるのか?

子宮体がんとは?原因・症状・治療――再発リスクはあるのか?
メディカルノート編集部 [医師監修]

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子宮がんには2つの種類があります。なかでも子宮体がんは子宮内膜に生じるがんのことで、そのほとんどが“エストロゲン”という女性ホルモンに依存して発生・進行しているといわれています。また近年、子宮体がんに罹患する方が増えており、非常に注目されている病気であるといえます。

本記事では子宮体がんのタイプ、原因、症状などについて解説します。

子宮体がんとは、女性特有の臓器である子宮の袋状になった部分に生じるがんのことです。この部分を子宮内膜といい、月経が起きる元にもなっています。子宮体がんは近年罹患者が増加していることでも知られています。

50〜60歳代女性
写真:PIXTA

子宮体がん閉経後の女性が罹患しやすいがんで、50〜60歳代が罹患のピークといわれています。子宮頸がんと比較すると進行が早いことが多いのが特徴です。

子宮体がんにはその発生・進行によってタイプ1・タイプ2と2つのタイプがあります。

子宮体がんのおよそ90%がタイプ1に属します。タイプ1の子宮体がんは女性ホルモンである“エストロゲン”に大きく依存して発生・進行していくタイプを指します。エストロゲンは卵巣から分泌されるホルモンで、女性らしい体の形成や骨形成、自律神経調整などの役割を持っています。また、エストロゲンには子宮内膜を増殖させる作用があり、このエストロゲンによる刺激が長期間持続すると、子宮内膜増殖症という前がん病変(がんの一歩手前の状態)を引き起こし、最終的にがんが発生することがあります。

エストロゲンに依存した子宮体がんは閉経前後の女性に多く、早期から不正出血などの症状が現れやすいことが特徴として知られています。

一方で、子宮体がんのおよそ10%、エストロゲンに依存しない子宮体がんを総称してタイプ2といいます。タイプ2に分類されるがんは、ホルモンの依存なしに突然発生するものが多く、抗がん剤が効きにくい漿液性腺(しょうえきせいせん)がん*や明細胞腺がんなどの特殊ながんも含まれます。

漿液性腺がん:漿液という体液を産生するがん。卵巣がん子宮がんに多い。

これらのがんは閉経後の方に多く、特にご高齢の方に罹患しやすい特徴があります。タイプ1の子宮体がんと比較すると進行が早く、抗がん剤なども効きにくいことが多いため治療が難しいといわれています。

子宮体がんの原因は現在のところはっきりと明らかになっていません。しかし、エストロゲンに依存するタイプ1の子宮体がんの場合には、エストロゲンを多く分泌しやすい環境下で生活していると罹患のリスクが高まるといわれています。エストロゲンを分泌しやすい状態としてよく知られているのは“肥満”です。

肥満とエストロゲンには強い結びつきがあります。具体的なメカニズムとしては、脂肪細胞から分泌されるアロマターゼという酵素が体内の男性ホルモン“アンドロゲン”をエストロゲンに変換してしまいます。つまり肥満化すると脂肪細胞が増殖することになり、通常より多くのエストロゲンが分泌されてしまうことになります。

一方で、エストロゲンの分泌量を抑えるホルモンとして“プロゲステロン”があります。プロゲステロンは排卵後の卵の殻のようなものである“黄体”から分泌されるホルモンです。月経は子宮内膜を増殖させるエストロゲンと、それを阻止するプロゲステロンとのバランスによって起こります。肥満によってエストロゲンの分泌量が増加する一方で、いくら肥満化が進んでもプロゲステロンの分泌は排卵後に起きるだけで一定であるために、体内のエストロゲンが過剰になってしまうのです。

そのため特に食事の欧米化により肥満化が進んだ昨今では、子宮体がんの患者数が飛躍的に増加しているといわれています。糖尿病高血圧症に罹患している方が子宮体がんに罹患しやすい背景もこの肥満化が問題となっています。

また授乳期間中は排卵が抑制され、エストロゲンの分泌が抑えられることが分かっています。そのため未産、不妊など、出産・授乳経験のない方はエストロゲンに曝露される期間が出産を経験している方よりも長く、タイプ1の子宮体がんに罹患しやすいというデータもあります。

トイレ
写真:PIXTA

子宮体がんの初期症状としてあげられるのが月経以外の不正出血です。子宮体がんは子宮頸がんと比較すると症状が早期に出やすく、サインが分かりやすいといわれています。

特に子宮体がんは閉経後の女性に多いがんでもあるため、不正出血にも気付きやすいはずです。もし不正出血が見られた場合には、まず産婦人科を受診されることをおすすめします。

子宮体がんのほとんどは、このような不正出血をきっかけに産婦人科を受診することで発覚します。また、ときにおりものの匂い、色合いなどが気になって受診した結果、子宮体がんが発覚することもあります。おりものの異変は腟炎が原因であることがほとんどですが、まれにがんがひそんでいることもあります。

また子宮体がんには子宮頸がんと同様に検診がありますが、実は子宮体がんの検診でがんを発見できる確率は子宮頸がん検診に比べてそこまで高くないといわれています。子宮体がんの検診は、子宮の入り口から細い専用の器具を挿入し、子宮内膜の細胞をこすり取って検査を行います。しかし、この際にがんのある部を的確に採取できるとも限りません。そのため万一がんがあったとしても、その病変が早期で小さければ小さいほど、検診で発見できる確率が低くなります。

子宮体がんの治療方法には下記のような手段があります。

  • 手術治療
  • 放射線治療
  • がん剤治療
  • ホルモン療法

子宮体がんの治療法は、がんがどこまで広がっているかによって決定されます。がんがどこまで広がっているかを示す段階を“ステージ”あるいは“病期”と呼びます。

子宮体がんのステージは手術後に判断されます。これは、手術で子宮を摘出して初めてがんの広がりが明らかになるからです。そのため遠隔転移が多く、手術がどうしても難しい場合を除いて、基本的に手術を行います。

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独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 産婦人科 科長

やました ひろし

国立病院機構 東京医療センターー低侵襲な医療を患者さんに提供することで地域医療に貢献する

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おぎしま だいき

順天堂大学医学部附属練馬病院―“ワンチーム”で充実した医療を地域に届ける

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さとい えり

思春期から大人まで、様々な世代の女性の悩みに寄り添い続ける

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